会計名及び科目 | 一般会計(雇用保険勘定) | (款)職業訓練事業費 (項)職業訓練業務費 |
部局等の名称 | 岡山職業訓練短期大学校ほか22職業訓練施設 | |
契約名 | 電気需給契約 | |
契約の相手方 | 中国電力株式会社ほか7電力会社 | |
契約期間 | 昭和62年4月〜63年3月 | |
支払電気料金 | 204,246,023円 |
上記各職業訓練施設において、変圧器の総容量に基づいて決定されている契約電力が過大となっていたため、これに基づき算出される電気料金が約4900万円不経済になっていた。
このような事態を生じているのは、変圧器ごとの使用電力を把握し、変圧器の総容量を適切なものとする配慮が十分でなかったことによるもので、電力使用の実態を調査し、変圧器の総容量をこれに適合したものに改めたうえ、契約電力を低減することによって電気料金を節減する要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
雇用促進事業団が設置している職業訓練短期大学校等合計91の職業訓練施設(注1)
では、電気需給契約に基づき、電力会社から職業訓練機器、事務所の照明設備等に必要な電力の供給を受け、これに対して、契約電力等に応じた電気料金を支払っており、昭和62 年度に支払った電気料金は総額705,390,729円となっている。
そして、これらの電気需給契約は、いずれも電力会社が定める電気供給規程による業務用電力又は高圧電力甲(契約電力は50KW以上500KW未満)に該当していて、上記の職業訓練施設のうち、最大需要電力に基づいて契約電力を決定している2施設を除く89施設では、各施設ごとの変圧器の総容量に対して所定の係数(注2)
を乗じて得た値を契約電力としている。このように、これら89施設の契約電力は変圧器の総容量に応じて決定されるところから、経済的な契約電力を設定するには、各変圧器ごとに最大使用電力(注3)
を把握し、変圧器の総容量を必要最小限とする配慮が必要である。
しかして、本院において、上記89職業訓練施設の62年4月から63年3月における月間の使用電力量が最も大きい月の1時間当たりの使用電力(負荷設備が1日8時間稼動するものとして計算)を調査したうえ、これに見合う変圧器の総容量からみて契約電力が著しく過大と推定される23施設(注4)
について、電力需要が多いと認められる夏期の一定期間(おおむね5日間)、通常の職業訓練を実施している状態における各施設の変圧器の最大使用電力を測定装置により調査したところ、その実測値は変圧器の総容量に対し17%から71%程度(平均35%)となっていた。そして、この実測値を基に、各施設ごとの過去の使用電力を考慮するなどしてより経済的な契約電力となるよう変圧器の総容量を改めることとすれば、23施設における変圧器の総容量は合計で8,231.5KVA、これに対応する契約電力は合計で5,144KWとなり、現行契約における変圧器の総容量の合計13,098.62KVA及び契約電力の合計7,550KWは、それぞれ4,867.12KVA、2,406KW過大になっていると認められた。
いま、仮に、上記23職業訓練施設(電気料金支払額合計204,246,023円)について、上記の実測値等に基づいて変圧器の総容量を適切なものに改めたうえ契約電力の変更を行うこととすれば、初年度には変圧器の撤去、交換等のための工事費として3900万円程度を要するが、電気料金は合計155,245,478円となり、年間約4900万円が節減できる計算となる。
このような事態を生じているのは、変圧器ごとの最大使用電力を測定装置により実測するなどして変圧器の総容量を適切なものにする配慮が必要であったのに、従来の経験値によって変圧器の総容量を設定していたことによるもので、電力使用の実態を調査のうえ、変圧器の総容量を適切なものとするための指針を整備するなどして早急に契約電力を変更する処置を講じ、もって経費の節減を図る要があると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、雇用促進事業団では、63年10月に「契約受電設備容量の改善について」の通達を発し、各職業訓練施設における電力使用の実態を調査し、本部において適切な変圧器の総容量を定めることとするなど、契約電力を適切なものに改善するための処置を講じた。
(注1) | 91の職業訓練施設 北海道職業訓練短期大学校ほか13職業訓練短期大学校、函館総合高等職業訓練校ほか13総合高等職業訓練校及び旭川技能開発センターほか62技能開発センター |
(注2) | 所定の係数 電力会社の電気供給規程において、変圧器の総容量等に乗じることとされている係数で、最初の50KVAにつき80%、次の50KVAにつき70%、次の200KVAにつき60%、次の300KVA につき50%、600KVAを超える部分につき40% |
(注3) | 最大使用電力 負荷設備が最も多く使用されている状態における電力の値で、個々の変圧器について測定装置により原則として30分ごとに測定したものの最大値をいう。 |
(注4) | 23施設 岡山職業訓練短期大学校、新発田、千葉、愛知、大阪各総合高等職業訓練校、釧路、宮城、秋田、山形、内郷、栃木、埼玉、君津、神奈川、三重、南伊勢、滋賀、京都、広島、愛媛、長崎、荒尾、鹿児島各技能開発センター |