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上記固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の納付に当たり、課税対象とされた土地の一部が、地方税法(以下「法」という。)において固定資産税等を課することができないと規定されている公共の用に供する道路となっているのに、これを非課税扱いとするよう課税当局に申入れをするなどの処置を講ずることなく納税通知書に従って納付したため、昭和58年度から62年度までの間で47,516,100円を過大に納付していたと認められる。
(説明)
日本国有鉄道清算事業団(以下「事業団」という。)は、昭和62年4月1日、日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)の改革の実施に伴い、東日本旅客鉄道株式会社等11の法人に承継されない国鉄の資産、債務等を処理するなどのために国鉄から移行した法人であり、事業団が引き継いだ国鉄の土地は、国鉄時代から鉄道事業の用に供されていない宿舎用地、遊休地等が多く、これらについては、法に基づいて、その所在の市町村から固定資産税等を賦課されており、事業団の関東資産管理部(以下「管理部」という。)では、東京都昭島市(以下「市」という。)の区域に所在する旧五日市線廃線敷地約45,600m2 (注1) 等の土地約47,300m2 (注2) などに係る固定資産税等を市からの納税通知書を受けて納付している。また、この固定資産税等の納付は、国鉄当時は、東京西鉄道管理局(以下「西局」という。)によって毎年行われてきていた。
上記旧五日市線廃線敷地は、昭和20年の営業廃止により廃線敷地となったもので、このうち面積約30,000m2
(注3)
は道路敷地(延長計約3,000m)として使用されていて、この道路敷地分に係る固定資産税等の額は、58年度から62年度までの間で計47,516,100円となっている。そして、このように道路敷地として使用されている現況から、西局では、市との間で55年に覚書を締結し、以後、この覚書に基づき、西局及び管理部は、市への売却について交渉を重ねていたところである。
しかして、法第348条第2項及び第702条の2第2項の規定によれば、道路、運河、水道などの公共の用に供している土地については固定資産税等を課することができないとされており、一方、上記旧五日市線廃線敷地のうち道路敷地部分の現況について調査したところ、
〔1〕 幅員がおおむね6m以上あって、国道等の公道に通じている、
〔2〕 西局及び管理部では、一般の通行者が道路として利用することについて何ら制約を設けていない、
〔3〕 東京都公安委員会では、市の依頼を受けて47年頃から信号機を2機、道路標識等を多数設置している、
〔4〕 市では、54年度から56年度にかけて延長計2,688mの舗装を行っているなど、広く不特定多数の人の交通の用に供されている状況であった。
したがって、この道路敷地は、法で固定資産税等を課することができないとされている公共の用に供する道路に該当すると認められる。
しかるに、西局及び管理部では、市が本件道路敷地をも課税対象に含めて算定した固定資産税等を賦課徴収することに対し、これを非課税扱いとするよう市に申入れをするなどの処置を講ずることなく納税通知書に従って固定資産税等を納付していたため、この道路敷地分に係る固定資産税計39,130,920円、都市計画税計8,385,180円、合計47,516,100円が過大に納付されることになったのは処置当を得ないと認められる。
(注1) | 約45,600m2 | 58年度 | 46,053.30m2 、 | 59年度 | 46,130.24m2 、 | 60年度 | 46,130.24m2 、 |
61年度 | 46,130.24m2 、 | 62年度 | 45,569.24m2 | ||||
(注2) | 約47,300m2 | 58年度 | 48,249.58m2 、 | 59年度 | 48,537.36m2 、 | 60年度 | 48,537.36m2 、 |
61年度 | 48,363.36m2 、 | 62年度 | 47,298.36m2 | ||||
(注3) | 約30,000m2 | 58年度 | 29,984.55m2 、 | 59年度 | 30,048.49m2 、 | 60年度 | 30,048.49m2 、 |
61年度 | 30,048.49m2 、 | 62年度 | 29,949.49m2 |