科目 | (款)用地対策費 (項)売却用地基盤整備費 |
部局等の名称 | 東北、関東、中部、近畿、九州各支社 |
工事名 | 東北・東福島駅ホーム撤去他工事ほか14工事 |
工事の概要 | 旧貨物駅、旧操車場、旧工場等に存置されている建物、軌道施設等の鉄道施設を解体、撤去するなどの工事 |
工事費 | 1,854,643,417円(当初契約額1,659,750,000円) |
請負人 | 合資会社小野工業所ほか10会社 |
契約 | 昭和62年12月〜63年3月指名競争契約 |
上記の各工事において、廃棄物処理費に係る諸経費の積算が鉄道施設の解体、撤去により発生する土砂、コンクリート塊等の廃棄物の処理の実態に適合していなかったため、積算額が約5800万円過大になっていた。
このように積算額が過大になっているのは、廃棄物の処理の実態を積算の基準に反映させていなかったことによるもので、その処理の実態に適合した積算をする要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
日本国有鉄道清算事業団(以下「事業団」という。)では、日本国有鉄道から承継した非鉄道事業用地に存置されている旧貨物駅、旧操車場、旧工場等の建物、軌道施設等の鉄道施設を解体、撤去するなどの工事を多数施行しているが、このうち東北支社ほか4支社が昭和62事業年度に施行した建物等の解体、撤去等の工事15工事(工事費総額18億5464万円)について検査したところ、次のとおり、諸経費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、本件各工事は、主として建物、軌道施設等の鉄道施設の解体、撤去を行う工事であるが、これらの工事に伴い多量に発生する土砂、コンクリート塊、アスファルト塊等の廃棄物(以下「廃棄物」という。)の処理は、事業団が指定した専門の廃棄物処理業者の処理施設において処理することとしており、その処理費(以下「廃棄物処理費」という。)の積算についてみると、廃棄物処理業者が定めている料金を基に合計で3億8901万余円と算定し、さらに、この廃棄物処理費の額に対して、事業団が制定した「土木建築関係工事等予定価格積算標準」(以下「積算標準」という。)により、鉄道施設の解体、撤去や廃棄物の積込み・運搬等に要する経費と同様に、一般共通費(現場事務所等の仮設及び維持に要する費用)、現場経費(現場従業員に対する給与等現場管理の費用)及び一般管理費(請負業者の会社経営上の諸費用及び利潤)に係るそれぞれの所定の率を乗じて、本件各工事の諸経費を合計で9907万余円と算定していた。
しかしながら、本件各工事における廃棄物処理の実態についてみると、近年、産業廃棄物等の処理についての規制が強化されてきて、工事請負業者自ら廃棄物を処理することが困難となったため、その処理については廃棄物処理業者に委ねているのが実態であり、本件各工事についても工事請負業者は廃棄物に関してはその積込み作業、処理施設への運搬を行うにとどめて、その処理までは行っておらず、また、この廃棄物処理費は、廃棄物処理業者が定めている1m3
又は1t当たりの料金に処理数量を乗じて得た金額を廃棄物処理業者にそのまま支払っているので、鉄道施設の解体、撤去等の工事には必要な現場事務所の仮設等の経費としての一般共通費及び現場経費の算定の対象とする必要はなく、一般管理費のみの対象とすれば足りると認められた。
いま、仮に本件各工事において、廃棄物処理費は、一般共通費及び現場経費の算定の対象から除いて一般管理費のみの対象として積算したとすれば、積算額を約5800万円低減できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、日本国有鉄道清算事業団では、63年10月に積算標準を改正し、廃棄物処理費に係る諸経費の積算を廃棄物の処理の実態に適合したものに改め、同年11月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。