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  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第12 日本国有鉄道清算事業団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

コンクリート舗装の取壊し費の積算を作業の実態に適合するよう改善させたもの


(2) コンクリート舗装の取壊し費の積算を作業の実態に適合するよう改善させたもの

科目 (款)用地対策費 (項)売却用地基盤整備費
部局等の名称 北海道、東北、関東、中部、近畿各支社及び新潟資産管理部
工事名 遠軽駅舗装てっ去他工事ほか19工事
工事の概要

旧貨物駅、旧操車場、旧工場等に存置されている貨物ホーム、通路等のコンクリート舗装を撤去するなどの工事

工事費

996,409,700円(当初契約額734,192,000円)

請負人

新太平洋建設株式会社ほか15会社

契約 昭和62年10月〜63年3月指名競争契約

 上記の各工事において、コンクリート舗装の取壊し費の積算が作業の実態に適合していなかったため、積算額が約4400万円過大になっていた。
 このように積算額が過大になっているのは、コンクリート舗装の取壊し作業について積算の基準が定められていなかったことによるもので、作業の実態に適合した歩掛かり等を定める要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 日本国有鉄道清算事業団(以下「事業団」という。)では、日本国有鉄道から承継した非鉄道事業用地に存置されている旧貨物駅、旧操車場、旧工場等の貨物ホーム、通路等の鉄道施設を撤去するなどの工事を多数施行しているが、このうち北海道支社ほか4支社及び1資産管理部が昭和62事業年度に施行した貨物ホームの撤去等の工事20工事(工事費総額9億9640万余円)について検査したところ、次のとおり、コンクリート舗装の取壊し費の積算について、適切でないと認められる点が見受けられた。
  すなわち、上記各工事は、主として貨物ホーム、通路等のコンクリート舗装を取り壊し撤去するものであるが、このうち、コンクリート舗装の取壊し費の積算についてみると、事業団が制定した「土工積算要領(案)」(以下「積算要領」という。)に定められているコンクリート構造物の取壊しに係る歩掛かり及び機械経費を適用して、無筋コンクリート舗装については、1作業編成を大型ブレーカを装着した0.6m3 級バックホウ(以下「大型ブレーカ」という。)1台、これに係る特殊運転手1人、飛散したコンクリート破片の片付けや防じんのための水まき等の要員として普通作業員2人とし、1日当たり21m3 取り壊すものとして、1m3 当たり4,230円から4,748円、15,692m3 分で7011万余円と算定し、また、鉄筋コンクリート舗装については、上記の編成に鉄筋を切断するための溶接工1人を加えて、1日当たり16.8m3 取り壊すものとして、1m3 当たり6,200円から8,183円、3,331m3 分で2323万余円と算定し、計19,023m3 分で総額9335万余円と積算していた。

  しかして、積算要領に定められている歩掛かり等は、土留壁など作業地盤と高低差のある立体状のコンクリート構造物を取り壊す場合のもので、その作業内容は、大型ブレーカののみを上、横あるいは斜めの多方向から打ち込んでコンクリートを破砕するとともに、鉄筋についてはコンクリートを破砕しながら溶接工が切断し、また、高低差があるため落下し飛散するコンクリート破片の片付け等を行うものとなっている。

 しかしながら、本件各工事におけるコンクリート舗装の取壊し作業は、その実態をみると、無筋コンクリート舗装の場合は大型ブレーカののみを上から打ち込んで破砕するものであり、また、鉄筋コンクリート舗装の場合は、使用している鉄筋が径の小さい鉄網等であるので、大型ブレーカで一次破砕を行ったうえで、溶接工によらず圧砕機を装着した0.6m3 級バックホウ(以下「圧砕機」という。)で細かく圧砕しながら鉄網等を切断、分離するものであり、また、いずれの場合も、大型ブレーカや圧砕機の使用により水まき等の人員は要するものの、コンクリート舗装が床版状であるため破片はほとんど飛散せずその片付けのための人員は必要としないものであることから、本件取壊し費の積算に当たり積算要領の歩掛かり等をそのまま適用しているのは適切とは認められない。

 そして、上記の取壊し作業の実態を基にした作業編成の場合の1日当たり作業量を試験施工を行うことなどにより調査したところ、無筋コンクリート舗装については、骨材として再生処理できるように径50cm以下の塊に取り壊す場合は32m3 程度、再生処理を考慮しない場合は48m3 程度、また、鉄筋コンクリート舗装については37m3 程度であり、いずれも本件積算における作業量を著しく上回る効率の良いものとなっている。
 いま、仮に、前記20工事について、実態に基づいた作業編成及びその場合の1日当たり作業量の調査結果により、コンクリート舗装の取壊し費を積算したとすれば、無筋コンクリート舗装については3343万余円、鉄筋コンクリート舗装については1496万余円、総額で4839万余円となり、本件積算額を約4400万円低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本国有鉄道清算事業団では、63年11月、積算要領において作業の実態に即したコンクリート舗装の取壊しに係る歩掛かり及び機械経費を定め、同月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。