ページトップ
  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第13 日本私学振興財団|
  • 不当事項|
  • 補助金

私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの


(164)-(170) 私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの

科目 (補助金勘定) (款)補助金 (項)補助金
部局等の名称 日本私学振興財団
補助の対象 私立大学等における専任教職員等の給与その他教育又は研究に要する経常的経費
補助の根拠 私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)
事業主体 学校法人日本ルーテル神学大学ほか6学校法人
上記に対する財団の補助金交付額の合計 1,495,632,000円

 上記の7事業主体において、補助金の交付を受けるため日本私学振興財団(以下「財団」という。)に提出した資料に、補助金算定の対象とはならない教職員を記入するなどしているのに、財団では、これに基づいて補助金の額を算定したため、補助金12,809,000円が過大に交付された結果となっている。これを学校法人別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)

 この補助金は、私立学校振興助成法に基づき、私立の大学、短期大学及び高等専門学校(以下「私立大学等」という。)の教育条件の維持及び向上並びに学生の修学上の経済的負担の軽減を図ることなどを目的として、財団が国の補助金を財源として、私立大学等における専任教職員等の給与その他教育又は研究に要する経常的経費に充てるため学校法人に交付するものである。

 この補助金について、財団では、補助金額算定の資料として、各学校法人に補助金交付申請書とともに、前年度の12月末日現在の専任教員等の数、専任職員数及び学生数、前年度決算に基づく学生納付金収入、教育研究経費支出及び設備関係支出などに関する資料を提出させ、補助金額の算定に当たっては、経常的経費を専任教員等給与費、専任職員給与費、教育研究経常費等の経費に区分し、それぞれの経費ごとに専任教員等の数、専任職員数又は学生数等に所定の補助単価等を乗じて得た額を補助金の基準額とし、さらに、各私立大学等の教育研究条件の良否によって補助金額に差異を設けるため、学生総定員に対する在籍学生数の割合、学生納付金収入に対する教育研究経費支出と設備関係支出との合計額の割合等に基づいて算出した調整係数を基準額に乗ずるなどの方法により得られた金額を合計して、補助金の額を算定することとしている。

  そして、補助金額算定の基礎となる専任教員等又は専任職員については、当該私立大学等の専任教員等又は専任職員として前年度の4月30日以前に発令され、当該学校法人から主たる給与(本俸と諸手当の合計額とし、役員報酬は含まない。)として前年の1月から12月までの各月(中途採用者については採用月の翌月以降の各月)において所定の額以上の支給を受け、かつ、当該私立大学等に常時勤務していることなどの要件に該当する者としている。
  しかして、前記の7事業主体においては、前記の資料に、補助金算定の対象とはならない教職員を記入するなどしているのに、財団では、これに基づいて補助金の額を算定したため、補助金12,809,000円が過大に交付された結果となっている。

(別表)

事業主体
(本部所在地)
年度 補助金交付額 不当と認めた補助金額

(164)

学校法人

日本ルーテル神学大学

60
千円
68,966
千円
1,490
(東京都三鷹市)
上記の学校法人は、財団に提出した資料に、日本ルーテル神学大学に在籍する昭和59年12月末日現在の学生数を134人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、同学校法人に対する補助金を68,966,000円と算定していた。しかし、上記の学生数には5人が過大に計上されており、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少し、また、学生総定員に対する在籍学生数の割合等に基づいて算出した調整係数も下がることになるため、適正な補助金は67,476,000円となり、1,490,000円が過大に交付されていた。
 
(165) 学校法人 東京女学館
(東京都渋谷区)
62 38,586 1,215
上記の学校法人は、財団に提出した資料に、東京女学館短期大学に所属する昭和61年12月末日現在の専任職員の数を10人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、同学校法人に対する補助金を38,586,000円と算定していた。しかし、上記の専任職員のうち1名は、61年4月30日以前には専任職員として発令されておらず、補助金算定の対象とはならないので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するため、適正な補助金は37,371,000円となり、1,215,000円が過大に交付されていた。
 
(166) 学校法人 京浜大学
(神奈川県鎌倉市)
61 105,106 1,576
上記の学校法人は、財団に提出した資料に、京浜女子大学に所属する昭和60年12月末日現在の専任教員等の数を32人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、同学校法人に対する補助金を105,106,000円と算定していた。しかし、上記の専任教員等のうち1名は、所定の額以上の給与を支給されていない月があり、補助金算定の対象とはならないので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するため、適正な補助金は103,530,000円となり、1,576,000円が過大に交付されていた。
 
(167) 学校法人 ソニー学園
(神奈川県厚木市)
61 94,459 1,252
上記の学校法人は、財団に提出した資料に、湘北短期大学に所属する昭和60年12月末日現在の専任職員の数を15人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、同学校法人に対する補助金を94,459,000円と算定していた。しかし、上記の専任職員のうち1名は、企業からの出向者として中途採用されたものであるが、採用後4箇月は給与を企業から支給されていて、同学校法人からは支給されておらず、補助金算定の対象とはならないので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するため、適正な補助金は93,207,000円となり、1,252,000円が過大に交付されていた。
 
(168) 学校法人 京都薬科大学
(京都府京都市)
60
61
小計
493,308
426,239
919,547
1,848
3,053
4,901
上記の学校法人は、財団に提出した資料に、京都薬科大学に所属する昭和59年12月末日及び60年12月末日現在の専任職員の数をそれぞれ61人及び66人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、60年度及び61年度の同学校法人に対する補助金をそれぞれ493,308,000円及び426,239,000円と算定していた。しかし、上記の専任職員のうち1名は、59年12月末日及び60年12月末日現在専任職員として発令されておらず、また、1名は、60年3月以降職務に従事しておらず、前者は両年度、後者は61年度において補助金算定の対象とはならないので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するため、適正な補助金は60年度491,460,000円及び61年度423,186,000円となり、それぞれ1,848,000円及び3,053,000円が過大に交付されていた。
 
(169) 学校法人 京都精華学園
(京都府京都市)
60 173,042 1,286
上記の学校法人は、財団に提出した資料に、京都精華大学短期大学部に所属する昭和59年12月末日現在の専任職員の数を11人と記入しており、財団では、この数値等に基づき、同学校法人に対する補助金を173,042,000円と算定していた。しかし、上記の専任職員のうち1名は、59年4月から11月まで職務に従事しておらず、補助金算定の対象とはならないので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するため、適正な補助金は171,756,000円となり、1,286,000円が過大に交付されていた。
 
(170) 学校法人 四国高松学園
(香川県高松市)
62 95,926 1,089
上記の学校法人は、財団に提出した資料に、高松短期大学に所属する昭和61年12月末日現在の専任教員等の年間給与支給総額を173,409,451円と記入しており、財団では、この数値等に基づき、同学校法人に対する補助金を95,926,000円と算定していた。しかし、上記の年間給与支給総額のなかには専任教員等の給与に該当しない役員報酬3,150,000円が含まれているので、これを除外して算定すると、補助金の基準額が減少するため、適正な補助金は94,837,000円となり、1,089,000円が過大に交付されていた。
 
1,495,632 12,809