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  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第15 北海道旅客鉄道株式会社、第16 東日本旅客鉄道株式会社、第17東海旅客鉄道株式会社、第18 西日本旅客鉄道株式会社、第19 四国旅客鉄道株式会社、第20 九州旅客鉄道株式会社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

自動車整理場の使用料金を周辺の駐車場の料金と比較考量して適切に設定するよう改善させたもの


自動車整理場の使用料金を周辺の駐車場の料金と比較考量して適切に設定するよう改善させたもの

科目 営業収益
部局等の名称 (1)北海道旅客鉄道株式会社本社ほか2支社
(2)東日本旅客鉄道株式会社東北地域本社ほか4支社等
(3)東海旅客鉄道株式会社本社
(4)西日本旅客鉄道株式会社本社ほか3支社
(5)四国旅客鉄道株式会社
(6)九州旅客鉄道株式会社本社ほか1支店
使用料金の内容 鉄道利用者等のために駅前などに設置している自動車整理場の使用料金
使用料金収入額
(昭和62年度)
(1) 133,242,400円
(2) 408,656,528円

(3)

96,350,000円

(4)

256,392,005円

(5)

48,422,200円

(6)

280,744,250円

1,223,807,383円

 上記の旅客鉄道株式会社(以下「各会社」という。)において、鉄道利用者等のために駅前などに設置している自動車整理場(以下「整理場」という。)の使用料金が周辺の駐車場の料金よりも低額となっていたため、使用料金収入が(1)において約4960万円、(2)において約1億4120万円、(3)において約3520万円、(4)において約6600万円、(5)において約1010万円及び(6)において約7100万円、計約3億7310万円低額となっていた。
 このような事態を生じたのは、整理場の使用料金を周辺の駐車場の料金と比較考量して妥当な金額に設定したり、適時見直したりしていなかったことによるもので、使用料金の設定、見直しなどについて明確な基準を定めて使用料金を適切に設定する要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 各会社では、次表のとおり、111駅の駅前広場等における138箇所の整理場の運営業務を行っているが、これらの整理場は、日本国有鉄道当時から設置されているもので、その使用料金は、周辺の駐車場の料金等を勘案するなどして整理場ごとに定めており、昭和62年度の使用料金収入として4,001,116,178円を収納している。

整理場設置箇所数

使用料金収入

北海道旅客鉄道株式会社

8駅 10箇所 239,018,640円

東日本旅客鉄道株式会社

35駅 41箇所 1,393,383,518円

東海旅客鉄道株式会社

8駅 12箇所 366,350,510円

西日本旅客鉄道株式会社

34駅 43箇所 1,226,131,440円

四国旅客鉄道株式会社

6駅 6箇所 66,060,800円

九州旅客鉄道株式会社

20駅 26箇所 710,171,270円

111駅 138箇所 4,001,116,178円

 しかして、上記111駅における138箇所の整理場の使用料金及び周辺の比較的大規模な公営又は民営の駐車場の料金について調査したところ、25駅の34箇所(注) の整理場(以下「本件整理場」という。)では、最初の1時間(鉄道利用者の送迎時間等を考慮して無料としている最初の20分又は30分を含む。)の使用料金を100円から300円、以後の割増料金は1時間ごとに150円若しくは200円又は30分ごとに100円から200円としたり、また、駐車時間を定めずに1回の使用料金を300円又は500円としたりしており、一方、本件整理場の周辺の駐車場112箇所の料金は、最初の1時間(いずれも無料の時間帯は無い。)を150円から500円、以後の割増しは1時間ごとに100円から300円又は30分ごとに50円から250円としたり、また、駐車時間を定めずに1回の料金を500円から1,500円としたりしていて、本件整理場の使用料金は、ごく一部の整理場の最初の1時間以後の割増料金を除き、周辺の公営又は民営の駐車場の料金よりも低額なものとなっており、なかには最初の1時間の使用料金が周辺の駐車場の料金の半額以下となっているものもある状況であった。

 しかしながら、本件整理場は、一般に開放されていて鉄道及び駅の利用者以外の者も使用できること、また、駅前広場等にあって立地条件が優れ、周辺には百貨店、事務所ビル等があって駐車場の需要が多い場所に設置されていること、さらに、62年4月に日本国有鉄道の分割民営化によって各会社が設立された経緯からして、事業運営においては増収策を講じて経営体質を強化する必要があることなどを考え合わせると、本件整理場の使用料金を周辺の駐車場の料金よりも低額のままにしていた事態は適切とは認められない。

 このような事態を生じたのは、各会社において、整理場の使用料金を周辺の駐車場の料金と比較考量して妥当な金額に設定したり、適時見直したりなどするための明確な基準を定めていなかったことなどによると認められる。
 いま、仮に、本件整理場の使用料金を周辺の駐車場の料金と比較考量して改定したとして、これにより本件整理場の62年度の使用料金収入を算定してみると、(1)では約4960万円、(2)では約1億4120万円、(3)では約3520万円、(4)では約6600万円、(5)では約1010万円、(6)では約7100万円、計約3億7310万円を増収できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、各旅客鉄道株式会社では、本件整理場のうち11駅の13箇所の整理場の使用料金を改定するとともに、63年11月、周辺の駐車場の料金の調査を毎年行い、整理場の使用料金を周辺の駐車場のそれと同程度とすることなどを内容とする「自動車整理場料金設定基準」を定め、これに基づき残りの整理場についても使用料金を見直すこととする処置を講じた。

(注)  34箇所の整理場  札幌(北口、西口)、北見、函館(駅前、さん橋前)、青森、盛岡、仙台(西口)、秋田、横手、郡山、平、新潟(万代口第一、万代口第二、南口)、長岡(大手口、東口)、高岡、福井、名古屋(東口、西口)、京都、奈良、岡山、広島、徳島、高知、博多、小倉、佐賀(南口、北口)、西鹿児島(A、B、C)各整理場