社会保険庁では、厚生年金保険の老齢厚生年金等の支給に当たり、配偶者を対象とする加給年金額を加算しているが、受給権者において、加給年金額の対象となる配偶者(以下「対象配偶者」という。)が死亡したとき、対象配偶者と離婚したとき又は対象配偶者が一定要件の老齢厚生年金等、障害基礎年金等、退職共済年金等の年金の支給を受けることとなったときの届出を速やかに行っていなかったこと、同庁において、その届出が行われなかったなどの場合の対策が十分に執られていなかったことなどのため、年金額の改定又は加給年金額の支給停止の必要があるのにこれが行われておらず、年金が過払となっている不適切な事態が多数見受けられたので、同庁において、受給権者本人の生存を確認する際に、対象配偶者の生存、婚姻関係等に関しても第三者の証明によるなどして現況の確認を行い、その確認のできないものについては加給年金額相当額の支給の一時差止めを行うことができるような体制の整備を図ったり、対象配偶者に係る老齢厚生年金等、障害基礎年金等の受給状況の確認についてはコンピュータを利用した調査等ができるような事務処理体制の確立を図ったり、対象配偶者に係る退職共済年金等の受給状況の確認については各共済組合等と連絡調整を図ったりするなどの措置を講じ、もって老齢厚生年金等の支給の適正化を図る要があると認め、昭和63年11月に是正改善の処置を要求した。
これに対し、社会保険庁では、本院指摘の趣旨に沿い、平成元年1月に対象配偶者の生存等に関して市町村長の証明等により確認が行えるように厚生年金保険法施行規則(昭和29年厚生省令第37号の一部を改正し、これにより現況の確認ができないものについては加給年金額相当額の支給の一時差止めが行えるようにするとともに、対象配偶者に係る老齢厚生年金等、障害基礎年金等の受給状況の確認についてはコンピュータを利用した調査等ができる事務処理体制を確立し、対象配偶者に係る退職共済年金等の受給状況の確認については各共済組合等と連絡調整を行うなどして、老齢厚生年金等の支給の適正化を図る処置を講じた。