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  • 昭和63年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
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雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったもの


(141) 雇用保険の特定求職者雇用開発助成金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)雇用安定等事業費
部局等の名称 山形県ほか5県(支給庁)
酒田公共職業安定所ほか6公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 9事業主
特定求職者雇用開発助成金の支給額の合計 57,437,666円

 上記の9事業主に特定求職者雇用開発助成金57,437,666円を支給しているが、支給決定に当たって申請に対する調査確認が十分でなかったため、10,016,078円が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道ほか24都府県(支給決定庁札幌公共職業安定所ほか248公共職業安定所)において2,102事業主に対して支給した5,326,788,619円について本院が調査した結果である。

(説明)
 特定求職者雇用開発助成金は、雇用保険(前掲の「雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの」の説明参照 )で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、55歳(昭和62年7月1日から平成元年3月31日までの間は45歳)以上65歳未満の高年齢者など就職が特に困難な者(以下「特定求職者」という。)の雇用機会の増大を図るため、特定求職者を雇用した事業主に対して当該雇用労働者に支払った賃金の一部を助成するもので、公共職業安定所の紹介により事業主が特定求職者を新たに常用労働者として雇い入れたことなどが支給要件となっており、その支給対象期間は雇入れ後1年又は1年6箇月、支給額は支給対象期間に支払った賃金に所定の支給率(注) を乗じて得た額となっている。そして、その支給の決定は、公共職業安定所が事業主から提出された申請書に記載されている当該雇用労働者の氏名、生年月日、雇用年月日、支払賃金額等を審査して行い、これに基づいて各都道府県が支給することとなっている。
 しかして、特定求職者雇用開発助成金の支給決定の適否について検査したところ、前記の249公共職業安定所のうち酒田公共職業安定所ほか6公共職業安定所において、82事業主のうち9事業主について、事業主が誠実でなかったなどして、既に雇用している者を新たに雇用したこととしているものなど申請書の記載内容が事実と相違しているものがあったにもかかわらず、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったなどのため、これに基づいて山形県ほか5県が上記の9事業主に対して支給した57,437,666円のうち、10,016,078円が不適正に支給されていた。

(注)  所定の支給率 雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)において定められており、高年齢者の支給率は1/4(中小企業事業主の場合は1/3)とされているが、昭和62年4月1日から平成元年3月31日までの間は暫定措置として1/2(中小企業事業主の場合は2/3)となっている。

(別表)

県名 公共職業安定所 本院が調査した事業主数 不適正受給事業主数 左の事業主に支給した特定求職者雇用開発助成金 左のうち不適正特定求職者雇用開発助成金
千円 千円
山形県 酒田 10 1 1,804 737
福島県 福島 8 1 11,358 505
埼玉県 行田 8 1 4,510 647
千葉県 船橋 32 3 31,417 4,773
三重県 松阪 10 1 4,748 2,010
鹿児島県 国分ほか1 14 2 3,598 1,341
 計 7箇所 82 9 57,437 10,016