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  • 平成21年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 経済産業省|
  • 平成20年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

中小企業金融安定化特別基金の活用について


(4) 中小企業金融安定化特別基金の活用について

平成20年度決算検査報告 参照)

1 本院が要求した改善の処置

 平成10年度から12年度まで実施された中小企業金融安定化特別保証(以下「特別保証」という。)から生ずる損失補てんを行うために全国52の信用保証協会(以下「協会」という。)に設置された中小企業金融安定化特別基金(以下「特別基金」という。)は、19年度末の特別保証債務残高等から試算すると、31協会に391億3005万円が取り崩されることなく保有され続けることが見込まれる状況となっていた。また、20年10月に原材料価格高騰対応等緊急保証制度(21年4月に同制度の名称は「緊急保証制度」とされた。以下、原材料価格高騰対応等緊急保証及び緊急保証を合わせて「緊急保証」という。)が創設されて以降、特別保証付借入れから緊急保証付借入れへの借換えにより、特別基金が更に使用されなくなるという事態も見受けられた。しかし、現行の制度では、特別基金は特別保証の収支計算に係る欠損の補てんにのみ充てることができるとされていて、緊急保証に係る損失処理等には使用できないこととなっている。
 したがって、経済産業省において、特別基金の使途が特別保証による欠損の補てんに限定されている現行の制度を改めて、緊急保証による欠損の補てんにも充当できるようにするなどして特別基金の有効活用を図るよう、経済産業大臣に対して21年7月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。

2 当局が講じた処置

 本院は、経済産業省中小企業庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、経済産業省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
 すなわち、経済産業省は、内閣府と協議して、信用保証協会法施行規則(昭和28年大蔵省・通商産業省令第3号)の一部を改正する命令(平成21年内閣府・経済産業省令第2号)を定め、21年度末をもって特別基金を廃止した。そして、中小企業庁は、特別基金の有効活用を図るため、社団法人全国信用保証協会連合会(以下「連合会」という。)に対して通知を発し、同年度末の特別基金残高を各協会の21年度決算において損失補償金勘定へ振り替え、これを、22年度以降、協会における特別保証に係る損失を処理する資金としてのほか、緊急保証等に係る損失を処理する資金としても活用することができることとした。これを受けて、21年度末に特別基金残高のあった32協会は、同年度の決算において特別基金残高計410億4547万余円を損失補償金勘定へ振り替えた。
 また、中小企業庁は、緊急保証等に係る損失を処理するために国の補助金(22年度当初予算額39億円)により連合会に造成中の経営安定関連保証等特別基金から受ける損失補償(21年度の損失補償額は236億余円)については、損失補償金勘定の残高がなくなるまで請求できないなどとするよう制度を改めた。