(平成21年度決算検査報告 参照)
総務省は、「国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律」(昭和25年法律第179号)に基づき、国会議員の選挙等の執行経費を算定して都道府県及び市町村に交付している。しかし、執行経費の算定において、投票所経費及び開票所経費の基本額の算定の基礎となっている選挙事務従事者の従事時間数や配置人数等が実態とかい離していたり、選挙人の数が3万人を超える選挙人の数1万人ごとに行われる加算が実態を適切に反映していなかったりなどしている事態が見受けられた。
したがって、総務省において、選挙事務従事者の従事時間数や配置人数等について実態を調査して基本額の算定に反映させること、開票所経費の加算の対象となる開票所の実態を調査した上で加算率の見直しなどを行うこと、調整費の交付要件を周知するとともに、具体的な手続を定めて調整費の要望に対し十分な審査を行うこと、選挙事務における備品の購入の実態を調査し、経費の算定に適切に反映するよう検討することなどにより執行経費の適正化を図るよう、総務大臣に対して平成22年9月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、総務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、総務省は、本院指摘の趣旨に沿い、選挙事務従事者の従事時間数、配置人数等の実態等を踏まえ、投票所経費及び開票所経費については、基本額を改定し、開票所経費の加算については加算率を見直した「国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案」を作成した。なお、同法律案は、22年10月に、第176回国会(臨時会)に提出され、23年9月現在、継続審議となっている。
そして、調整費については、次回の選挙までに関係者に対して交付要件を周知するとともに、具体的な手続を定めて十分な審査を行い、備品の購入については、次回の選挙までに調整費等における取扱いを明確にするなどとしている。