農業共済再保険特別会計の家畜勘定、果樹勘定及び園芸施設勘定において、一般会計からの繰入金が、国庫が実際に負担すべき共済掛金の金額を超えて過大になっていて、同特別会計において保有されるなどの状況となっている事態が見受けられた。また、食料安定供給特別会計の調整勘定において、農業経営安定勘定では当年度に交付を要しないため不用になることが確実な交付金の額を、同勘定における翌年度の交付金の財源として繰り越して保有することを目的として、一般会計から繰り入れている事態が見受けられた。さらに、食料安定供給特別会計の国営土地改良事業勘定において、歳出予算の執行過程で把握していた執行見込額を、また、国有林野事業特別会計において、歳出予算の執行過程で把握していた不用見込額を、それぞれ一般会計からの繰入額に反映させていない事態が見受けられた。
したがって、農林水産省において、農業共済再保険特別会計の家畜勘定、果樹勘定及び園芸施設勘定については、一般会計からの繰入金の額は共済の引受けにより各年度に国が実際に支払うべき国庫負担額とすることなどにより、一般会計からの繰入れを適正化する処置を講ずるよう、また、食料安定供給特別会計の調整勘定については、農業経営安定勘定における交付金の支払額が予算額を下回り不用になることが確定しているのに一般会計から予算額全額を繰り入れて同勘定に繰り入れ、翌年度の交付金の財源として繰り越すことを行わないようにするための方策を検討するよう、さらに、食料安定供給特別会計の国営土地改良事業勘定及び国有林野事業特別会計については、執行の見込みや不用の見込みを一般会計からの繰入額に確実に反映させることにより、一般会計からの繰入額を抑制する処置を講ずるよう、農林水産大臣に対して平成22年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求め並びに同法第36条の規定により意見を表示し及び改善の処置を要求した。
本院は、農林水産本省及び林野庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、特別会計への一般会計からの繰入れを適正化するとともに、繰入額を抑制するよう、次のような処置を講じていた。
そして、農林水産省は、食料安定供給特別会計の調整勘定については、交付金の財源として一般会計から同勘定を経て農業経営安定勘定に繰り入れた額と実際に交付した額との差額を特別会計に保有して翌年度の財源に充てることにより、財政状況に左右されずに安定的な事業の運営を確保することなどが必要であるとして、23年9月現在においては、本院が表示した意見の趣旨に沿った方策の検討には至っていない。