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独立行政法人国立病院機構病院において、診療報酬請求を適正なものとするための事務処理体制の整備を十分に図るよう意見を表示し及び改善の処置を要求したもの


独立行政法人国立病院機構病院において、診療報酬請求を適正なものとするための事務処理体制の整備を十分に図るよう意見を表示し及び改善の処置を要求したもの

科目 医業収益
部局等 独立行政法人国立病院機構本部、11機構病院
請求不足となっていた診療報酬 手術料、麻酔料、入院料等 等
11機構病院における請求不足額 1億2742万円 (平成21年度)

(前掲の「独立行政法人国立病院機構病院における診療報酬の請求に当たり、手術料等の請求額に過不足があったもの 」参照)

【意見を表示し及び改善の処置を要求したものの全文】

  独立行政法人国立病院機構病院における診療報酬請求に係る事務処理体制について

(平成23年10月28日付け 独立行政法人国立病院機構理事長宛て)

 標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示し及び改善の処置を要求する。

1 診療報酬請求事務の概要等

(1) 診療報酬の概要

 貴機構は、重症心身障害、神経・筋疾患等の分野の政策医療を担うとともに、地域における医療の中核的役割を果たしている。この役割を果たすため、貴機構が全国144か所に設置している病院(以下「機構病院」という。)は、臨床研究や医療従事者の養成を行うほか、保険医療機関として患者の診療を行っている。
 保険医療機関は、診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号。以下「厚生労働省告示」という。)により、診療報酬として医療に要する費用を所定の診療点数(以下「点数」という。)に単価(10円)を乗ずるなどして算定することとなっている。そして、保険医療機関は、健康保険法(大正11年法律第70号)等により、診療報酬のうち患者負担分を患者に請求して、残りの診療報酬については、診療報酬請求書に診療報酬の明細を明らかにした診療報酬明細書(以下「レセプト」という。)を添付して社会保険診療報酬支払基金等に対して請求することとなっている。
 診療報酬は、厚生労働省告示により、基本診療料と特掲診療料から構成されている。このうち、基本診療料は、初・再診料と、入院基本料、入院基本料等加算、特定入院料等の入院料等とに区分されている。また、特掲診療料は、具体的な診療行為ごとに定められた所定の点数、使用した器材等に応じて定められている加算項目に係る所定の点数、使用した特定保険医療材料(注1) 等の点数を合算するなどして算定するもので、処置料、手術料、麻酔料等に区分されている。
 そして、保険医療機関は毎月、患者ごとに、診療行為、加算項目、特定保険医療材料等及びこれらの点数を記載したレセプトを作成し、診療報酬を請求している。

 特定保険医療材料  厚生労働大臣が手術等の点数と合算してその費用を算定することができると定めている特定の保険医療材料で、人工弁(生体弁及び機械弁)、人工血管等がこれに該当する。

(2) 機構病院における診療報酬請求事務

 機構病院は、診療報酬請求事務についてコンピュータシステムを使用して、おおむね次のように行っている。
〔1〕  診療部門において、実施した手術名、使用した特定保険医療材料、医療機器、麻酔の方法等をオーダー画面に入力(以下「オーダー入力」という。)し、又は伝票に記入するなどして料金算定部門に送付する。
〔2〕  料金算定部門において、〔1〕 により入力又は記載された内容等を確認するなどして、それらの内容を傷病名、入院日数等の患者の基礎的データと併せてコンピュータに入力することでレセプトを作成する。
〔3〕  料金算定部門において、〔2〕 により作成されたレセプトを点検し、必要に応じて修正を行う。
〔4〕  料金算定部門において、診療報酬請求書にレセプトを添付し、社会保険診療報酬支払基金等に対して請求する。
 そして、機構病院の大半は、料金算定部門における業務の一部を業者に委託しており、これらの機構病院では、上記〔2〕 のレセプト作成に係る業務は委託先の職員(以下「委託職員」という。)が行っている。

2 本院の検査結果

 (検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 機構病院における入院患者に係る診療報酬の請求内容は多岐にわたっており、その額も多額に上っている。本院は、貴機構において診療報酬請求額が不足していた事態を平成20年度決算検査報告及び平成21年度決算検査報告に不当事項として掲記している(平成20年度決算検査報告 及び平成21年度決算検査報告 参照)。これらのうち、平成21年度の診療報酬請求額が不足していたものは、4機構病院(注2) において659件、28,483,730円となっており、本年次においても昨年次に引き続き21年度の診療報酬請求について検査した結果、7機構病院(注3) において診療報酬請求額が不足していたものが1,796件、98,939,340円見受けられた。したがって、これらを合わせると、21年度の診療報酬請求額が不足していたものは、11機構病院で計2,455件、127,423,070円となっていた。
 そして、これらの請求不足は、主に手術料、麻酔料及び入院料等に係るものとなっており、その発生原因は、診療部門におけるオーダー入力漏れ又は伝票への記入漏れ、料金算定部門におけるコンピュータへの入力漏れ、厚生労働省告示、診療報酬の算定に関する通知等(以下、これらを合わせて「算定ルール」という。)の認識不足、診療報酬の算定の可否の確認漏れ、システムの設定誤りなどであった。
 貴機構本部は、「診療報酬請求事務の改善について」(平成21年10月26日企発第1026001号。以下「通達」という。)を各機構病院に発して、委託職員が作成したレセプトの内容が適正なものとなっているかを確認するために、病院職員がレセプト点検を毎月実施するよう指示するなど、適正な診療報酬請求事務の実施に向けて指導を行っているところであるが、依然として前記のように多額の診療報酬の請求不足が生じている。
 そこで、効率性等の観点から、診療報酬の請求不足が生じている発生原因に応じて診療報酬請求に係る事務処理体制に改善すべき点はないかなどに着眼して、貴機構本部及び前記の11機構病院において、診療報酬請求事務の実施状況を聞き取るなどの方法により会計実地検査を実施した。

(注2)
 4機構病院  千葉東病院、医王病院、長崎医療センター、長崎川棚医療センター。なお、医王病院は重症心身障害児(者)等に特化して診療を行っていて、手術は行っていない。
(注3)
 7機構病院  水戸医療センター、高崎総合医療センター、三重中央医療センター、香川小児病院、九州医療センター、都城病院、鹿児島医療センター

 (検査の結果)

 検査したところ、貴機構本部及び11機構病院において、21年度の診療報酬請求額が不足していた2,455件、127,423,070円について、診療報酬請求を適正なものとするための事務処理体制が十分でない事態が次のとおり見受けられた。

(1) 診療報酬区分ごとの診療報酬請求事務の実施状況

 診療報酬区分ごとに診療報酬請求事務の実施状況等をみると、次のとおりである。

ア 手術料及び麻酔料

 前記11機構病院のうち、手術を行っている10機構病院の手術料及び麻酔料に係る診療報酬請求事務について、請求不足の主な発生原因ごとにみると、次のとおりである。

(ア) 発生原因が診療部門におけるオーダー入力又は伝票への記入漏れである場合

請求不足となっていた件数及び金額:639件 30,189,270円

 手術における特定保険医療材料及び薬剤、自動縫合器又は自動吻(ふん)合器加算(注4) (以下、自動縫合器と自動吻合器とを合わせて「縫合器等」という。)の算定漏れや、マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔(注5) (以下「全身麻酔」という。)における患者の状態(注6) 及び方法・体位等(注7) に応じた点数区分の適用誤りについての主な発生原因は、別表のとおり、診療部門におけるオーダー入力又は伝票への記入漏れであると認められた。
 これらの診療部門による伝票への記入漏れなどを防ぐために、4機構病院では、診療部門において、記入済である伝票等を料金算定部門に送付する前に、再度、使用した特定保険医療材料及び薬剤、縫合器等、全身麻酔における患者の状態及び方法・体位等などが漏れなく記入されているかを確認しているが、残りの6機構病院では、診療部門において再度の確認を行っていなかった。
 上記に加え、請求不足を防ぐためには、伝票の記載内容等について、料金算定部門において審査及び確認を行うことが重要である。そのために、6機構病院では、料金算定部門において、伝票に記入されるなどした特定保険医療材料及び薬剤、縫合器等、全身麻酔における患者の状態及び方法・体位等などと、診療部門において記載された手術記録や麻酔記録等との照合を行っているが、残りの4機構病院では、このような照合を行っていなかった。
 また、特定保険医療材料及び薬剤については、ある特定の手術を実施する際には必ず使用されるもの(注8) があり、縫合器等については、使用されることの多い手術が機構病院ごとに決まっていることがある。また、全身麻酔についても、その方法・体位等が手術によって明確に決まっているものがある。このように、手術名と診療報酬請求との対応関係が明確なものについては、料金算定部門においてその対応関係を把握していれば、診療部門で伝票への記入漏れなどが生じていた場合であっても、請求不足を防ぐことが可能となる。しかし、9機構病院では、料金算定部門において手術名と診療報酬請求との対応関係を把握するための取組を行っていなかった。

(注4)
 自動縫合器又は自動吻合器加算  自動縫合器は、胸・腹部臓器の切離と縫合閉鎖を同時に、かつ自動的に行える機器であり、自動吻合器は、二つの管腔(くう)臓器を環状につなぐ機器である。それぞれ特定の手術において使用した場合は、使用した個数に応じた点数を当該手術の点数に加算することとなっている。
(注5)
 閉鎖循環式全身麻酔  閉鎖循環式全身麻酔器を用いて、患者の呼気中の炭酸ガスを除去しながら、麻酔ガスと酸素を補給する吸入麻酔法
(注6)
 患者の状態  人工呼吸を行っているなど、麻酔が困難な状態にある患者に対して全身麻酔を行った場合は、それ以外の患者に対して行った場合に適用される点数より高い点数により麻酔料を算定することとなっている。
(注7)
 方法・体位等  全身麻酔を行う際、その方法・体位等により算定できる麻酔料が異なる。肺悪性腫瘍手術においては分離肺換気(左右の肺を別々に換気する方法)により行われ、椎弓切除術においては伏臥(が)位で行われるなど、対応関係が明確なものがある。
(注8)
 必ず使用されるもの  弁置換術に使用される人工弁、大動脈瘤(りゅう)切除術に使用される人工血管等、対応関係が明確なものがある。

(イ) 発生原因が料金算定部門におけるコンピュータへの入力漏れである場合

請求不足となっていた件数及び金額:367件 26,233,930円

 手術料及び麻酔料における休日又は時間外若しくは深夜加算(注9) (以下、これらを合わせて「休日等加算」という。)の算定漏れなどについての主な発生原因は、別表 のとおり、料金算定部門におけるコンピュータへの入力漏れであると認められた。休日等加算については、8機構病院において請求不足が生じており、その額も多額となっていた。
 上記の休日等加算についての料金算定部門におけるコンピュータへの入力漏れの原因についてみたところ、休日等加算の算定要件である手術及び麻酔の実施日及び開始時間についてはオーダー入力等により診療部門から料金算定部門に伝達されていることから、レセプト作成を担当する委託職員の注意が不足していたり休日等加算を適切に算定することの意識が十分でなかったりなどしていたことによると認められた。

 休日又は時間外若しくは深夜加算  手術又は麻酔を、緊急のために、休日又は診療時間以外の時間若しくは深夜に行った場合は、それぞれ当該手術又は麻酔の点数に所定の加算が行われることとなっている。

(ウ) 発生原因が料金算定部門における算定ルールの認識不足である場合

請求不足となっていた件数及び金額:111件 20,728,880円

 体重1,500g未満の患者に対して実施した手術における加算(以下「極低出生体重児加算(注10) 」という。)区分の適用漏れ及び心拍動下冠動脈、大動脈バイパス移植術用機器加算(注11) (以下「機器加算」という。)の算定漏れについての主な発生原因は、別表のとおり、料金算定部門における算定ルールの認識不足であると認められた。このような算定ルールの認識不足の場合は、通常、行った同種の診療行為の全件について算定漏れが生じることになるため、機構病院に多大な損失が生ずることになる。
 したがって、算定ルールの認識を十分なものにするためには、通達にも定められているように、料金算定部門を中心にして、診療報酬の改定時に限らず、委託職員だけでなく病院職員も含めて、算定ルールについての勉強会や研修等を行うことが重要である。しかし、7機構病院では、このような病院職員も含めた勉強会や研修等を行っていなかった。

(注10)
 極低出生体重児加算  体重が1,500g未満の患者に対して特定の手術を行った場合は、当該手術の点数に所定の加算が行われることとなっている。
(注11)
 心拍動下冠動脈、大動脈バイパス移植術用機器加算  人工心肺を使用しない冠動脈、大動脈バイパス移植術において、同移植術用の機器を使用した場合は、所定の点数を加算することとなっている。

イ 入院料等

 前記11機構病院の入院料等に係る診療報酬請求事務のうち、主な請求不足の態様についてみると、次のとおりである。

(ア) 超重症児(者)入院診療加算等の算定漏れ

請求不足となっていた件数及び金額:220件 10,187,000円

 超重症児(者)入院診療加算及び準超重症児(者)入院診療加算(注12) (以下、これらを合わせて「超重症児(者)入院診療加算等」という。)の算定漏れは、7機構病院において生じていた。超重症児(者)入院診療加算等の対象となる患者は入院期間が長期となることが多く、同一の患者について数箇月以上にわたって算定漏れが生じている事例も多数見受けられた。
 超重症児(者)入院診療加算等を算定する機構病院では、診療部門が、超重症児(者)の判定基準による判定スコアが記載された書類(以下「スコア表」という。)を作成して算定要件を満たすか否かを判断し、料金算定部門がスコア表の送付を受けて算定を行っている。したがって、算定漏れを防ぐためには、診療部門に対して超重症児(者)入院診療加算等の算定要件等の周知徹底を図った上で、特別な医学的管理を必要とする状態が6か月間継続している患者については、診療部門において確実にスコア表を作成すること、また、料金算定部門においても、入院期間が6か月に達するなど算定が見込まれる患者については、診療部門にスコア表の作成を依頼するなどの体制を整備することが重要となる。しかし、超重症児(者)入院診療加算等の算定漏れが生じていた7機構病院のうち6機構病院では、診療部門が確実にスコア表を作成したり、料金算定部門が診療部門にスコア表の作成を依頼したりするなどの体制を整備していなかった。

 超重症児(者)入院診療加算及び準超重症児(者)入院診療加算  人工呼吸器を使用するなど特別な医学的管理を必要とする状態が6か月以上継続している患者について、入院基本料の点数に入院1日ごとに所定の点数を加算することとなっている。超重症児(者)の判定基準による判定スコアが所定の点数以上であれば、超重症児(者)等であると判定される。

(イ) 救急医療管理加算の算定漏れ

請求不足となっていた件数及び金額:606件 17,650,000円

 救急医療管理加算(注13) の算定漏れは、8機構病院において生じていた。救急医療管理加算については、診療部門が伝票を作成して料金算定部門に送付したり、料金算定部門において患者の入院時の状態を診療部門に確認したりするなどして算定を行っているが、いずれの場合であっても、算定漏れを防ぐためには、緊急に入院した患者について、入院時に救急医療管理加算を算定できる重症の状態であったか否かについての確認を確実に行うことが重要である。そのために、料金算定部門において、患者が緊急で入院しているのに救急医療管理加算を算定していないレセプトについては、毎月の診療報酬請求前に、再度患者の入院時の状態を確認している機構病院もある。しかし、救急医療管理加算の算定漏れが生じていた8機構病院のうち7機構病院では、毎月の診療報酬請求前までに、作成済のレセプトについて算定漏れが生じていないかの確認を行っていなかった。

 救急医療管理加算  緊急に入院した患者が、緊急手術を必要とするなどの重症の状態にある場合に、入院日から7日を限度として入院基本料の点数に所定の点数を加算することとなっている。

(2) システムの設定誤り

 請求不足となっていた件数及び金額

別表 の発生原因(ア)から(オ)における件数及び金額の内数):121件 11,082,760円

 極低出生体重児加算の請求不足が生じていた3機構病院のうち2機構病院においては、システムの自動算定の設定が誤っており、本来、患者の手術時の体重をコンピュータに入力すれば自動的に極低出生体重児加算を算定できるのに、より低い加算割合(注14) の加算が行われ、同加算を正しく算定できない事態となっていた。そして、このようなシステムの設定誤りは、別表 のとおり、他の加算等でも見受けられた。

 低い加算割合  極低出生体重児加算の算定対象となる患者を除く、3歳未満の乳幼児等に対して手術を行った場合は、同加算より低い加算割合による加算を行うこととなっている。

 (改善を必要とする事態)

 貴機構本部は、各機構病院に通達等の文書を発するほか、診療報酬改定の時期に合わせて、全144機構病院の診療報酬請求事務を担当する病院職員を対象とした研修を実施するなどして、適正な診療報酬請求事務の実施に向けて指導、注意喚起等を行っている。また、これを受けて各機構病院においても診療報酬請求を適正なものとするための事務処理体制を整備することに努めている。
 しかし、前記のとおり、診療報酬請求を適正なものとするための事務処理体制の整備が十分でないと認められる機構病院が見受けられ、このようなことが多額の請求不足の事態が続く原因にもなっていると認められる。このような事態は適切とは認められず、改善の要があると認められる。

 (発生原因)

 このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められる。
ア 11機構病院において、診療報酬請求を適正なものとするための事務処理体制の整備についての検討が十分でないこと
イ 貴機構本部において、算定ルールの認識不足及びシステムの自動算定の設定誤りが生じている事態について、各機構病院に対する注意喚起を行っていないこと
ウ 11機構病院において、貴機構本部が指示している病院職員によるレセプト点検の重要性についての認識が十分でないこと

3 本院が表示する意見及び要求する改善の処置

 機構病院は、政策医療を担うとともに、地域における医療の中核的役割を果たしており、診療報酬請求は今後も継続して行われ、その額も引き続き多額に上ることが見込まれる。また、機構病院が、質の高い医療を提供するには安定した経営基盤が不可欠であり、診療報酬請求事務をより適切に行う必要がある。そのために、機構病院全体で統一的に取り組むべき事項がある一方で、各機構病院においては、診療内容、規模、職員数等の状況が異なることから、それぞれの機構病院の事情に即した診療報酬請求事務を検討せざるを得ない面もある。
 ついては、貴機構において、機構病院の診療報酬請求を適正なものとするための事務処理体制の整備を十分図るよう、アのとおり意見を表示するとともに、イ及びウのとおり改善の処置を要求する。

ア 請求不足を防ぐための各機構病院における取組、参考となる事例の収集に努め、これらを各機構病院に示すなどして情報の共有を図るとともに、各機構病院において適切かつ有効な事務処理体制を検討させるよう、より一層の指導を行うこと

イ 極低出生体重児加算、機器加算等の算定ルールの認識不足を原因とした請求不足が生じていた診療報酬項目については、該当する手術等の診療行為を行う機構病院に対して、算定ルールの認識を十分なものとするよう注意喚起を行うとともに、極低出生体重児加算等のシステム上自動的に算定される診療報酬項目については、各機構病院に対して、システムの設定が正しくなされているか確認させること

ウ 各機構病院に対して、点検する項目を決めるなどして委託職員が作成したレセプトの内容について病院職員にレセプト点検を行わせるよう改めて周知徹底するとともに、各機構病院において、必要に応じて、委託職員に対する指導を実施すること

別表  11機構病院における請求不足の主な態様及び発生原因 (単位:件、円)
発生原因
請求不足の主な態様
診療部門におけるオーダー入力漏れ、伝票への記入漏れ
(ア)
  料金算定部門におけるコンピュータへの入力漏れ
(イ)
料金算定部門における算定ルールの認識不足
(ウ)
料金算定部門における算定の可否についての確認漏れ
(エ)
その他
(オ)
(ア)〜(オ)のうちシステムの設定誤りが生じていたもの
(ア)のうち手術名との対応関係が明確となっているもの
<手術料>
特定保険医療材料及び薬剤の算定漏れ 件数 241 199 120 28 14 14
請求不足額 13,589,260 10,950,910 4,854,980 2,104,670 533,680 533,680
自動縫合器又は自動吻合器加算の算定漏れ 件数 126 88 47 36 2
請求不足額 9,310,000 6,380,000 3,845,000 2,875,000 55,000
休日又は時間外若しくは深夜加算の算定漏れ 件数 174 11 163
請求不足額 11,861,480 297,800 11,563,680
体重 1,500g未満の患者に対して実施した手術における加算(極低出生体重児加算)区分の適用漏れ 件数 96 96 88
請求不足額 18,010,080 18,010,080 10,057,080
心拍動下冠動脈、大動脈バイパス移植術用機器加算の算定漏れ 件数 10 3 7
請求不足額 3,000,000 900,000 2,100,000
手技料の算定漏れ・算定誤り 件数 59 32 22 5
請求不足額 4,329,890 2,308,300 1,524,790 496,800
手術料計 件数 706 330 167 252 110 14 102
請求不足額 60,100,710 19,937,010 8,699,980 18,968,140 20,661,880 533,680 10,590,760
<麻酔料>
全身麻酔における点数区分の適用誤り(患者の状態) 件数 192 185 6 1
請求不足額 6,082,560 5,904,360 154,000 24,200
全身麻酔における点数区分の適用誤り(方法・体位等) 件数 164 122 58 42
請求不足額 5,763,080 4,177,780 2,173,460 1,585,300
休日又は時間外若しくは深夜加算の算定漏れ 件数 49 2 47
請求不足額 2,358,060 170,120 2,187,940
出生時体重 2,500g未満の患者に対して実施した全身麻酔における加算区分の適用漏れ 件数 21 20 1
請求不足額 3,405,550 3,338,550 67,000
麻酔料計 件数 426 309 58 115 1 1
請求不足額 17,609,250 10,252,260 2,173,460 7,265,790 67,000 24,200
手術料及び麻酔料の計 件数 1,132 639 225 367 111 15 102
請求不足額 77,709,960 30,189,270 10,873,440 26,233,930 20,728,880 557,880 10,590,760
<入院料等>
超重症児(者)入院診療加算等の算定漏れ 件数 220 96 50 11 63
請求不足額 10,187,000 3,031,000 3,145,000 951,000 3,060,000
救急医療管理加算の算定漏れ 件数 606 341 109 137 19 19
請求不足額 17,650,000 10,260,000 2,928,000 3,970,000 492,000 492,000
難病患者等入院診療加算の算定漏れ 件数 142 38 14 90
請求不足額 5,800,000 1,475,000 550,000 3,775,000
小児入院医療管理料等を算定する患者における人工呼吸器使用加算の算定漏れ 件数 32 10 19 3
請求不足額 4,596,000 1,356,000 2,802,000 438,000
入院料等計 件数 1,000 485 178 28 290 19 19
請求不足額 38,233,000 16,122,000 8,875,000 1,939,000 10,805,000 492,000 492,000
手術料、麻酔料及び入院料等の合計 件数 2,132 1,124 225 545 139 290 34 121
請求不足額 115,942,960 46,311,270 10,873,440 35,108,930 22,667,880 10,805,000 1,049,880 11,082,760
注(1)  主な態様には、11機構病院で請求不足額が100万円以上であった態様を掲げている。これらの態様の請求不足額で、手術料、麻酔料、入院料等における全請求不足額の約95%を占めている。
注(2)  発生原因(エ)は、入院料等における入院基本料等加算を算定する際に、料金算定部門において、患者の状態を診療部門に問い合わせるなどして算定の可否を確認する方法をとっている場合において、料金算定部門による患者の状態の確認がなされなかったものである。例えば、超重症児(者)入院診療加算等であれば、料金算定部門において、算定が見込まれる患者について、スコア表の作成を診療部門に依頼しなかったために算定漏れが生じている。