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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第10 農林水産省 |
  • 平成24年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1)農地・水保全管理支払交付金事業の実施について


平成24年度決算検査報告参照

1 本院が求めた是正改善の処置及び表示した意見

農林水産省は、農地、農業用水等の保全管理を行う地域ぐるみの共同活動及び老朽化が進む農業用用排水路等の長寿命化のための補修・更新の工事等を行う向上活動を支援するために、農地・水保全管理支払交付金事業を実施している。しかし、共同活動に取り組む組織が遊休農地の発生を防止するための保全管理を適切に実施しているか具体的に確認できず、実施期間の最終年度である平成23年度末に遊休農地が相当数発生していたおそれがある状況となっていたり、向上活動に取り組む組織(以下「向上活動組織」という。)が取得した財産に関して市町村等への譲渡が進んでいないことから財産の帰属及び管理責任の所在が明確になっていない状況となっていたり、財産譲渡のために必要となる図面等の書類の整備が十分でなかったりしている事態が見受けられた。

したがって、農林水産省において、共同活動の支援に係る事業の実施主体である地域協議会及び共同活動に取り組む組織が所在する市町村に保全管理の実施状況を調査させた上で保全管理が適切に行われていない農用地について地域協議会に交付金の返還の措置を講じさせたり、農用地の保全管理の状況の確認方法を定めるとともに地域協議会及び市町村に対して指導したり、向上活動組織が施設の長寿命化のための更新工事を行う場合に市町村等への財産譲渡のために必要となる図面等の書類を整備し、工事終了後できるだけ速やかに財産を譲渡するなどして財産の帰属及び管理責任の所在を明確にすることについての取扱いを定めるとともに向上活動組織に対して指導又は助言を行ったりするよう、農林水産大臣に対して25年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求め及び同法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 地域協議会及び市町村に共同活動に係る農用地の保全管理に係る実態把握調査を行わせ、実施期間終了時に保全管理が適切に行われていなかった農用地37,585a(52協議会)について、地域協議会に当該農用地に係る国庫交付金相当額を26年10月までに国庫に返還させた。

イ 地域協議会及び市町村に対して、農用地の保全管理の状況の確認方法を示して、その指導の徹底を図るとともに、26年4月に、農地・水保全管理支払交付金の組替えなどにより新たに創設した多面的機能支払交付金の実施要領にもこの確認方法を定めて周知した。

ウ 市町村等が所有し管理する施設において向上活動組織が施設の長寿命化のための更新工事を行う場合には、財産管理上必要となる図面等の書類を整備したり、工事終了後できるだけ速やかに当該市町村等に対する財産譲渡を行ったりするよう指導の徹底を図るとともに、上記の実施要領にこの取扱いを定めて周知した。