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  • 平成3年度|
  • 第1章 検査結果の概要|
  • 第2節 検査結果の大要|
  • 第1 事項等別の検査結果

特定検査対象に関する検査状況の概要


(2) 特定検査対象に関する検査状況の概要

(ア) 政府開発援助について

 我が国は、開発途上国の健全な経済発展を実現することを目的として、その自助努力を支援するため、政府開発援助を実施している。その額は無償資金協力や直接借款などいずれも毎年度多額に上っている。この政府開発援助について、本院は、外務省等の援助実施機関に対して検査を行うとともに、平成4年中に、5箇国の67事業について現地調査を実施した。これらの援助に対する検査は、相手国に対して本院の検査権限が及ばないことや事業現場が海外にあることなどの制約の下で実施したものであるが、現地調査を行った事業の大部分については、おおむね順調に推移していると認められた。しかし、相手国が自国予算で実施する関連事業が予定どおり進ちょくしていなかったり、移転された技術を活用して行う事業の実績が計画を下回っていたりなどしていて、援助の効果が十分発現していない事態が見受けられることから、今後も相手国の自助努力を絶えず促すとともに、相手国が実施する事業に対する支援のための措置をより一層充実させることが重要である。

(イ) 湾岸平和基金に対する拠出金について

 我が国は、イラクのクウェイト侵攻に関し、国際連合安全保障理事会の決議を基礎に問題の解決が図られるべきであるとの立場から、湾岸の平和と安定の回復に向けて活動している各国を支援するため、湾岸平和基金に対して資金を拠出している。そして、本院は、我が国からの基金に対する拠出金の支出については、すべて予算、法令等に従い適正に行われたことを確認した。しかし、基金を運用する運営委員会における拠出金の使用については、本院の検査権限は同委員会に及ばないので、外務省から交換公文に基づく我が国への通報等の提示を求めるなどしてその実態を把握することになるが、外務省の説明によれば、平成4年11月10日現在、同委員会による支払は完了しておらず、その財務に関する報告書の作成・提出はなされていない。