1 本院が要求した是正改善の処置
大阪大学では、医学部附属病院(以下「大学病院」という。)に特殊救急部を開設し、大阪府内の医療機関等から転送される重篤患者に対して救命救急医療を行っている。そして、救命救急医療を行う保険医療機関は、厚生省告示に定める施設基準に適合するものとして都道府県知事の承認を受けた場合、その救命救急医療について一般の保険医療機関の診療報酬に比べて高額な救命救急入院料を請求できることになっている。
しかし、大学病院は、施設基準を実質的に充足していると認められるのに、救命救急入院料の請求に必要とされる大阪府知事の承認を受けていないため、一般の保険医療機関と同様の診療報酬しか請求できない状況であった。
このような事態が生じているのは、大学病院で、施設基準を充足しているか否かについての検討が十分でなかったこと、施設基準に係る承認申請等について大阪府の関係部局との協議が十分でなかったことなどによると認められた。
救命救急医療の実態に適合した適正な診療報酬を請求するため、施設基準に係る承認申請を行うよう、大阪大学長に対し平成2年11月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。
2 当局が講じた是正改善の処置
大阪大学では、本院指摘の趣旨に沿い、4年4月に大学病院から大阪府知事に対して施設基準に係る承認申請を行い、6月に承認を得て、救命救急入院料を請求することができるようになった。