1 本院が要求した改善の処置
厚生省では、老人保健法(昭和57年法律第80号)に基づいて市町村が実施している健康教育、健康診査等の保健事業のうち、健康診査の実施に際しては、健康診査の区分、実施方法に応じて徴収基準単価を定めている。そして、負担金の算定方法において、健康診査に要する費用の徴収額は、徴収基準単価に受診者数を乗じて得た額(徴収基準額)によらず、市町村が実際の徴収に用いた単価に受診者数を乗じて得た額(実際徴収額)とされている。
しかし、この負担金の精算について調査したところ、徴収基準額より下回っている実際徴収額によって負担金を精算していたため、徴収基準額を徴収額とする場合に比べて負担金が 過大に交付されていて、適切を欠く事態が見受けられた。
このような事態が生じているのは、交付要綱において、徴収基準単価を負担金精算上の基準とする趣旨が生かされていなかったことによると認められた。
負担金の算定方法については、市町村間における負担金交付額の不均衡、不合理の解消を図るため、交付要綱を改め実際徴収額が徴収基準額を下回る場合には徴収基準額により算出するよう、厚生大臣に対し平成4年12月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
2 当局が講じた改善の処置
厚生省では、本院指摘の趣旨に沿い、5年10月に、実際徴収額が徴収基準額を下回る場合には徴収基準額により算出するよう交付要綱を改正し、5年度以降に交付する負担金について適用することとし、市町村間における負担金交付額の不均衡、不合理の解消を図る処置を講じた。