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  • 平成4年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 厚生省|
  • 平成3年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

国民年金の未納保険料の収納の促進について


(3) 国民年金の未納保険料の収納の促進について 

(平成3年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 社会保険庁では、国民年金法(昭和34年法律第141号)に基づき、国民の老齢、障害等に関して年金の給付を行っており、その費用は被保険者の納付する保険料などにより賄われている。この国民年金の保険料の収納未済額、不納欠損額が多額に上っていることから、現年度の保険料の収納事務を行う市区町村及び過年度の保険料の収納事務を行う社会保険事務所において未納者に対する債権管理が適切に行われているかについて検査を行った。
 その結果、19都道府県における保険料の未納者のうち、国民健康保険の保険料を最高限度額で納付しており、かつ過去に国民年金の保険料の納付実績もあって納付督励を強化する要があると認められる者が多数見受けられた。また、ほとんどの市区町村で、国民健康保険の保険料を納めているのに国民年金の保険料は納めていない者について十分な把握がされておらず、社会保険事務所においてもこれらの者に対する適切な債権管理が行われていなかった。
 このような事態が生じているのは、社会保険庁において、国民年金の保険料の収納について国民健康保険と連携をとるよう指導をしていないこと、社会保険事務所等において負担能力が十分あると認められる者について適切な債権管理の体制を執るよう指導をしていないことなどによると認められた。

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 未納保険料について積極的な解消対策に取り組む必要があると認められ、なかでも、未納者が多い都市部における未納保険料を減少させるため、当面、次の処置を執るなどして、もって未納保険料の収納の促進を図るよう、社会保険庁長官に対し平成4年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。

(ア) 納付督励を強化する要があると認められる者について具体的な選定要件及び選定方法を定めて市区町村に示し、これらの者に対する積極的な納付督励を行うよう指導すること

(イ) 社会保険事務所において、市区町村と連携をとってこれらの者について戸別訪問等の積極的な納付督励を行うこと

2 当局が講じた是正改善の処置

 社会保険庁では、本院指摘の趣旨に沿い、国民年金の未納保険料の収納の促進を図るため、都道府県に対して4年12月に通知を発するなどして、次のような処置を講じた。

(ア) 国民年金の現年度の保険料未納者のうち、特に納付督励を強化すべき者を未納対策対象者とし、その選定に当たっては、〔1〕 未納者対策の強化が必要と認められる市区(特別区、政令指定都市、県庁所在都市及び社会保険庁が別途指定する人口20万人以上の市等)に居住する者であること、〔2〕 前年の課税所得金額が一定額以上の者であることなどを要件とするよう定め、都道府県を通じて市区町村に示した。
 そして、上記の未納対策対象者について国民年金の保険料の納付状況に関する個別の管理カードを作成し債権管理を行うこととするとともに、これらの者に対して複数回の戸別訪問を行い面談による納付督励を行うこととした。

(イ) 国民年金の過年度の保険料未納者については、これを管理する社会保険事務所において、市区町村が選定した未納対策対象者に係る管理カードの引継ぎを受けるとともに、市区町村と共同して戸別訪問等の積極的な納付督励を実施するよう指導した。