1 本院が表示した改善の意見
農林水産省では、平成2年度から4年度までの3年間を期間として、水田農業確立後期対策を実施しており、この後期対策の円滑な推進に資することを目的として2年3月に水田農業確立特別交付金(以下「交付金」という。)を交付している。この交付金は、その交付の趣旨からして後期対策の期間内に事業の効果を確保することが要請されている。
しかし、検査したところ、後期対策が最終年度を迎えた時期において、交付された町村等で多額の交付金が未使用となっていたり、その使途が交付金の交付目的に沿わなかったりしていて、適切とは認められない事態が見受けられた。
このような事態が生じているのは、農林水産省において交付金の趣旨について市町村等を十分指導していなかったことなどによると認められた。
未使用となっていた交付金については、その後の状況を把握し、適切な措置を講ずるとともに、今後、この種の交付金を交付する場合には、交付金の趣旨の徹底等について適切な指導を行い、その効果を十分確保するよう、農林水産大臣に対し4年11月に、会計検査院法第36条の規定により改善の意見を表示した。
2 当局が講じた改善の処置
農林水産省では、本院指摘の趣旨に沿い、4年12月に地方農政局等に通達を発するなどして、未使用となっていた交付金について、その使用状況を把握し、交付金の趣旨に即した適正かつ有効な共同事業が、計画的かつ速やかに実施されるよう指導した。その結果、交付金のほとんどが4年度末までに交付目的に沿って使用された。また、今後、この種の交付金を交付する場合には、その必要性等を十分検討の上、交付目的、使途等を明確にするなど、交付金の趣旨の徹底等につき適切な指導を行うこととした。