1 本院が表示した改善の意見
郵政省では、増加する郵便物を円滑に処理し区分作業の合理化・効率化を図るため、郵便番号制度を導入するとともに、郵便番号自動読取区分機(以下「区分機」という。)の配備を積極的に推進してきている。一方、非常勤職員の雇用人員及び賃金支払額は近年急増してきており、この非常勤職員の相当数は、郵便物の区分作業要員として雇用されている。
そこで、区分作業の実態等について、区分機配備の利点が大きいと思われる郵便局を抽出して調査した。
調査の結果、区分機による処理の対象となる郵便物の大半は事業所から差し出された郵便物で、あて名記載方法も多種多様なものとなっていて、その相当数が、郵便番号の記載位置及び記載形式に問題があったり、郵便物の形態に問題があったりしているなどのため、区分機による処理が困難となっていた。そして、区分機により区分されたものは約45%にすぎず、過半数の約55%は非常勤職員等の手作業により区分されている状況で、区分機の処理能力からみて、区分機配備の効果が十分に上がっていないと認められた。
このような事態となっているのは、次のようなことなどによると認められた。
(ア) 郵便番号の記載方法を定めた告示は、昭和43年に制定された後、基本的な改正が行われないまま20年以上を経ており、この間のあて名記載方法の多種多様化などに対応できなくなっていること
(イ) 区分機による処理が困難な郵便物の多くは大口利用者や発送代行業者が差し出すもので、その態様も差出人ごとに区々となっているのに、記載態様の改善方について差出人ごとにきめ細かな要請がなされていないこと
郵便需要の拡大が見込まれるなどの状況のもとで、郵便番号を有効に活用するためにも、次のような施策を講じ、区分機の処理効率の改善を図るよう、郵政大臣に対し平成4年11月に、会計検査院法第36条の規定により改善の意見を表示した。
(ア) 郵便番号の記載位置、記載形式等について更に調査、検討のうえ、告示を改める。
(イ) 区分機による処理が困難な郵便物を差し出している事業所等への協力要請について、これを実効あるものとするため、より組織的に実施できる体制を確立する。
2 当局が講じた改善の処置
郵政省では、本院指摘の趣旨に沿い、区分機の処理効率の改善を図るため、次のような処置を講じた。
(ア) あて名記載方法の多種多様化などに対応できるものにするため、5年7月に郵便番号の記載方法を定めた告示を改正し、郵便切手貼付位置と郵便番号記載位置の明確化及び郵便番号を印刷する場合の印刷活字の標準(書体)を明示するなどの処置を講じた。
(イ) 区分機による処理が困難な郵便物を差し出している事業所等への協力要請について、これを実効あるものとするため、5年3月に指導通達を発して、差出人ごとに協力を要請するための具体的な方策を示し、より組織的に実施するための体制を整備した。