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  • 平成9年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第4 厚生省|
  • 平成4年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

柔道整復師の施術に係る療養費の支給について


柔道整復師の施術に係る療養費の支給について

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 厚生省では、健康保険法(大正11年法律第70号)等の医療保険各法及び老人保健法(昭和57年法律第80号)に基づき、国、市町村等が行う医療給付に要する費用の一部を負担している。この医療給付には、医療機関における療養の給付に代えて支給される療養費の一つとして柔道整復師に係る施術料がある。
 柔道整復師に係る施術料は、医療機関の治療を受けている負傷部位については支給対象とならず、また、神経痛等の内因性疾患については施術対象とはならないとされている。そして、施術は療養上必要な範囲及び限度で行うものとし、長期又は濃厚な施術とならないよう努めなければならないとされている。また、施術に係る療養費については、患者からの受領委任を受けた柔道整復師に支給することが認められている。
 しかし、柔道整復師の施術料について調査したところ、療養費が、柔道整復師の施術の対象とならない傷病について請求されていたり、患者の療養上必要な範囲及び限度を超えて行われた施術について請求されていたりなどしている事態が多数見受けられた。
 このような事態が生じているのは、柔道整復師、保険者等が療養費制度及び受領委任制度の趣旨を十分認識していなかったこと、柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準等が不備であること、保険者等による審査が十分行われていないことなどによると認められた。

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 柔道整復師の施術に係る療養費について、その適正な支給を期するため、次のとおり、厚生大臣に対し平成5年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。

(ア) 柔道整復師、保険者等に対し、療養費制度及び受領委任制度の趣旨を周知徹底させること

(イ) 不適正な請求を防止するために算定基準等について所要の改正を行うこと

(ウ) 審査委員会を設置し、審査基準を明確にするなど審査体制の整備を図ること

(エ) 施術所に対する指導、監査の体制の整備を図ること

2 当局の処置状況

 厚生省では、本院指摘の趣旨に沿い、事態の改善を図るため、次のような処置を執っている。

(ア) 6年中に保険者等に対して療養費支給の適正化について周知を図り、9年4月に柔道整復師に対して療養費制度及び受領委任制度の周知を図った。

(イ) 6年中に多部位及び長期間にわたる施術について算定基準を改正した。さらに、8年5月及び8月に、療養費の請求の一層の適正化を図るため、算定部位数に上限を設けるなど算定基準等を改正した。

(ウ) 8年5月及び8月に、上記の算定基準等の改正により審査基準の明確化を図るとともに、審査委員会の設置については、10年7月までに全都道府県において完了した。

(エ) 施術所に対する指導、監査の体制の整備については、引き続き具体的な施策等の検討を行っている。