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雇用保険の地域雇用開発助成金の支給が適正でなかったもの


(270) 雇用保険の地域雇用開発助成金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)雇用安定等事業費
部局等の名称 北海道ほか2県(支給庁)
名寄公共職業安定所ほか3公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方 4事業主
地域雇用開発助成金の支給額の合計 地域雇用奨励金 22,914,861円
地域雇用特別奨励金 14,000,000円
36,914,861円
不適正支給額 地域雇用奨励金 13,566,324円
地域雇用特別奨励金 14,000,000円
27,566,324円

1 保険給付の概要

(地域雇用開発助成金)

 地域雇用開発助成金は、雇用保険(前掲の「雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの」参照) で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、雇用機会が不足している地域の雇用構造の改善を図るため、施設や設備の新設、増設、購入又は賃借(以下「施設等の設置・整備」という。)を行って当該地域に居住する求職者等を雇用した事業主に対して支給されるものである。この助成金は、〔1〕 雇い入れた労働者に支払った賃金の一部を助成する地域雇用奨励金(以下「奨励金」という。)、〔2〕 施設等の設置・整備に要した費用と雇い入れた労働者数に応じて所定の額を助成する地域雇用特別奨励金(以下「特別奨励金」という。)及び〔3〕 施設等の設置・整備に伴う従業員等の移転に要した費用を助成する地域雇用移転給付金から成っている。

(地域雇用開発助成金の支給)

 このうち、奨励金及び特別奨励金は、公共職業安定所が、事業主から提出された奨励金及び特別奨励金の支給申請書等に記載されている雇用労働者数、雇用年月日、支払賃金額、施設等の設置・整備の内容等を審査して支給を決定し、これに基づいて、各都道府県が支給することとなっている。奨励金及び特別奨励金の支給要件、支給額及び支給対象期間は次のとおりとなっている。

(1) 奨励金

(ア) 支給要件は、事業主が、〔1〕 地域雇用開発等促進法(昭和62年法律第23号)に基づいて政令で指定された雇用機会増大促進地域等(注1) において、施設等の設置・整備をしたこと、〔2〕 これに伴い、公共職業安定所に対して「事業所設置・整備及び雇入れ計画書」を提出した日(以下「計画日」という。)から「事業所設置・整備及び雇入れ完了届」を提出した日(以下「完了日」という。)までの間に、当該地域に居住する求職者等を公共職業安定所の紹介により新たに常用労働者として雇い入れたことなど

(イ) 支給額は、計画日から完了日までの間に雇い入れた労働者に対して完了日以降支払った賃金の額に、所定の助成率(注2) を乗じて得た額

(ウ) 支給対象期間は、6箇月ごとに計1年間など

(2) 特別奨励金

(ア) 支給要件は、事業主が計画日から完了日までの間に行った施設等の設置・整備に要した費用の合計額が500万円以上で、これに伴い公共職業安定所の紹介により新たに常用労働者として雇い入れた労働者等が5人(小規模企業事業主(注3) にあっては3人)以上であることなど

(イ) 支給額は、施設等の設置・整備に要した費用と雇い入れた労働者等の数に応じて年25万円から500万円(計画日が平成6年2月9日から7年6月30日までの間である場合には暫定措置として50万円から1000万円)など

(ウ) 支給対象期間は、1年ごとに計3年間など

(注1)  雇用機会増大促進地域  多数の求職者が居住し、雇用機会が相当程度不足していて、その状態が相当期間にわたり継続することが見込まれる地域

(注2)  所定の助成率 1/4(中小企業事業主にあっては1/3)であるが、計画日が平成6年2月9日から7年6月30日までの間である場合には暫定措置として1/2(同2/3)となっている。

(注3)  小規模企業事業主 常時雇用する労働者の数が20人(卸売業、小売業、飲食店又はサービス業を主たる事業とする事業主については5人)を超えない事業主

2 検査の結果

(検査の対象)

 北海道ほか9県(支給決定庁 函館公共職業安定所ほか57公共職業安定所)から地域雇用開発助成金の支給を受けた事業主のうち、195事業主(奨励金支給額655,290,753円、特別奨励金支給額655,500,000円、計1,310,790,753円)について、公共職業安定所における地域雇用開発助成金の支給決定の適否を検査した。

(不適正支給の事態)

 検査したところ、北海道ほか2県で、4事業主に対する支給(奨励金支給額22,914,861円、特別奨励金支給額14,000,000円、計36,914,861円)について27,566,324円(奨励金13,566,324円、特別奨励金14,000,000円)が不適正に支給されていた。これは、名寄公共職業安定所ほか3公共職業安定所において、事業主が誠実でなかったなどのため、既に雇用している者を新たに雇用したこととしているなど支給申請書等の記載内容が事実と相違していたのに、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行っていたことによるものである。
 なお、これらの不適正支給額については、本院の指摘により、すべて返還の処置が執られた。
これらの不適正支給額を道県別に示すと次のとおりである。

雇用保険の地域雇用開発助成金の支給が適正でなかったものの図1