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  • 平成10年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 農林水産省|
  • 平成9年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

先進的農業生産総合推進対策事業等による農産物処理加工施設、農産物集出荷施設の設置及び運営について


(1) 先進的農業生産総合推進対策事業等による農産物処理加工施設、農産物集出荷施設の設置及び運営について  

(平成9年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 農林水産省では、農業の生産性の向上等を図ることを目的として、昭和62年度から平成6年度までに、農業生産体質強化総合推進対策事業、先進的農業生産総合推進対策事業及び水田農業確立対策推進事業(以下、これらの事業を「生産総合対策事業等」という。)を、国庫補助事業として実施している。そして、生産総合対策事業等においては、市町村、農業協同組合等が事業主体となって、農産物を加工・販売する農産物処理加工施設(以下「加工施設」という。)及び農産物を集出荷する農産物集出荷施設(以下「集出荷施設」という。また、「加工施設」及び「集出荷施設」を合わせて「施設」という。)等の共同利用施設の整備事業等を実施している。
 事業主体は、収支計画等を定めて適正な管理・運営を行うこととしており、都道府県等は、事業を実施した年度から5年間、事業主体が作成する実施状況報告を基に、施設の管理・運営状況を審査し、施設が適正かつ効率的に運用されていない場合には、事業主体に対し、改善計画を作成させ、指導するなどとなっている。
 施設の設置及び運営について検査したところ、施設の運営を中止していたり、利用率が著しく低くなっていたり、運営収支が赤字となっていたりしていて、補助事業の効果が十分発現していないと認められる事態が見受けられた。
 このような事態が生じているのは、事業主体において、施設の規模についての調査・検討が十分でなかったり、道県において、運営の改善が見込めない施設について、補助対象範囲内で別の施設として有効利用するための検討が十分でなかったり、農林水産省において、道県に対し、施設の設置時における審査及び設置後における指導が十分でなかったりしていることなどによると認められた。

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 生産総合対策事業等及びこれに引き続いて実施している農業生産体制強化総合推進対策事業の効果が十分発現するよう、次のとおり、農林水産大臣に対し10年12月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。

(1) 加工施設について収支状況の報告を徹することとし、都道府県においてその状況が把握できる体制を整備すること

(2) 運営を中止するなどしている施設について、実施状況報告の提出期間を延長してその後の運営の状況を把握できる体制を整備すること

(3) 改善計画の作成を徹底させるため、改善計画を作成する場合の基準を具体的に定めること

(4) 都道府県に対して、次のような指導を行うこと

ア 施設の設置に当たり、事業主体に対し、施設の規模についての調査・検討、参画農家の意向等の把握を十分行わせること、及び加工施設については、専門的な指導を受けさせるなどして運営収支の見通しなどを検討させること、並びに都道府県がこれらについての審査・指導を十分に行うこと

イ 施設の運営に当たり、事業主体に対し、運営を中止するなどしている施設について原因の分析、改善計画の作成とともに、その内容を十分検討させること、及び加工施設については、販路の確保などを十分行わせること、並びに都道府県において、改善が見込めない施設は、補助対象範囲内で、別の施設として有効利用を図らせること

2 当局が講じた是正改善の処置

 農林水産省では、本院指摘の趣旨に沿い、11年4月に通達を改正するなどして、補助事業の効果が十分発現するよう、次のような処置を講じた。

(1) 加工施設について、収支状況(収支差、収支率、累積赤字額)の報告を徴し、都道府県においてその状況が把握できる体制を整備した。

(2) 運営を中止するなどしている施設について、実施状況報告の提出期間を延長して、改善計画の達成が見込まれるまでの間、事業の実績の報告を徴することとし、運営状況を把握できる体制を整備した。

(3) 改善計画の作成を徹底させるため、改善計画を作成する場合の基準を具体的に定めた。

(4) 都道府県に対して、施設の設置又は運営に当たり、事業主体に施設の規模についての調査・検討を十分行わせたり、運営を中止するなどしている場合の原因を十分検討させたりするなど指導の徹底を図った。