この基金は、東南アジア地域その他の開発途上にある海外の地域の産業の開発又は経済の安定に寄与するため、海外経済協力を促進することを目的として設置されているものである。このため、これらの地域の開発又は安定に必要な資金で、日本輸出入銀行からの貸付けその他の信用の供与及び一般の金融機関からの供給を受けることが困難なものについて、その円滑な供給を図るなどのために必要な業務を行っている。その資本金は10事業年度末現在で5兆3818億4447万余円(全額国の出資)となっている。
同基金の10事業年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。
1 収入支出決算
区分 | 10事業年度 | (9事業年度) |
千円 | 千円 | |
(収入) | ||
収入決定済額 | 239,248,043 | 248,806,573 |
(支出) | ||
支出予算現額 | 211,767,015 | 236,771,495 |
支出決定済額 | 210,742,110 | 228,060,970 |
翌事業年度繰越額 | − | 11,499 |
不用額 | 1,024,904 | 8,699,025 |
2 損益
区分 | 10事業年度 | (9事業年度) |
経常収益 (うち貸付金利息) |
千円 262,628,648 (254,072,121) |
千円 258,171,372 (242,288,617) |
経常費用 (うち借入金利息) |
219,091,696 (199,948,278) |
234,443,280 (217,114,255) |
当期利益金 | 43,536,951 | 23,728,092 |
(利益金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 | − | 9,511,604 |
翌事業年度に積立金として整理 | 43,536,951 | 14,216,487 |
(繰越欠損金 | − | 9,511,604) |
3 借入金等
区分 | 10事業年度末 | (9事業年度末) |
借入金残高 (資金運用部資金等) |
千円 4,598,244,865 |
千円 4,371,470,575 |
海外経済協力基金債券発行残高 | 25,000,000 | 25,000,000 |
積立金残高 | 14,216,487 | − |
4 主な業務実績
(1)開発途上国政府等に対する円借款
区分 | 10事業年度 | (9事業年度) | |
貸付け | 件数 | 76件 | 118件 |
金額 | 903,076,911千円 | 645,717,437千円 | |
貸付金回収 | 金額 | 296,416,989千円 | 355,280,725千円 |
事業年度末貸付金残高 | 件数 | 1,914件 | 1,883件 |
金額 | 9,794,095,784千円 | 9,180,981,403千円 | |
上記のうち弁済期限を6箇月以上経過して延滞となっている貸付けの元金残高 | 376,734,852千円(注) | 386,276,085千円 | |
(うち1年以上延滞のもの) | (372,065,316千円) | (369,199,726千円) |
(注) 10年度末までに公的債務の繰延べ交渉を行う債権国会議(パリ・クラブ)において返済繰延べの合意がなされている貸付けに係る元金残高151,455,601千円(うち1年以上延滞のものに係る額は31,162,626千円)については除外している。
貸倒等引当金 | 979,409千円 | 918,098千円 | |
(貸倒等引当金計上率)(注) | (0.1/1000) | (0.1/1000) | |
(注) 貸倒等引当金に計上できる金額は、当該事業年度末の円借款の貸付残高に15/1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。 |
(2)民間企業等に対する海外投融資
区分 | 10事業年度 | (9事業年度) | |
貸付け | 件数 | 3件 | 1件 |
金額 | 1,919,902千円 | 1,146,002千円 | |
貸付金回収 | 金額 | 2,370,539千円 | 4,872,911千円 |
事業年度末貸付金残高 | 件数 | 28件 | 28件 |
金額 | 34,373,237千円 | 34,823,873千円 | |
上記のうち弁済期限を6箇月以上経過して延滞となっている貸付けの元金残高 | 1,050,000千円 | 1,050,000千円 | |
(うち1年以上延滞のもの) | (1,050,000千円) | (−) | |
貸倒等引当金 | 1,031,197千円 | 3,482千円 | |
(貸倒等引当金計上率)(注) | (30/1000) | (0.1/1000) | |
(注) 貸倒等引当金に計上できる金額は、当該事業年度末の海外投融資の貸付残高に30 /1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。 | |||
出資 | 会社等数 | 5 | 5 |
金額 | 4,955,261千円 | 2,739,236千円 | |
事業年度末出資金残高 | 会社等数 | 21 | 21 |
金額 | 154,178,454千円 | 149,242,111千円 | |
貸倒等引当金(注) | 5,273,590千円 | 4,867,398千円 | |
(注) 貸倒等引当金に計上できる金額は、各会社等ごとに当該事業年度末における各会社等に対する基金の出資金残高を限度として、各会社等の欠損金の額に各会社等の資本金に対する基金の出資金残高の割合を乗じて得た金額の合計額の範囲内とされている。 |
なお、この基金について検査した結果、「第4章 特定検査対象に関する検査状況」に「政府開発援助について」(参照) を掲記した。