この銀行は、一般の金融機関と競争しないことを旨としつつ、我が国の輸出入若しくは海外における経済活動の促進又は国際金融秩序の安定に寄与するための貸付け等並びに開発途上にある海外の地域の経済及び社会の開発又は経済の安定に寄与するための貸付け等を行い、もって我が国及び国際経済社会の健全な発展に資することを目的として設置されているものである。その資本金は11年度(注1)
末現在で6兆6799億4447万余円(全額国の出資)となっている。
なお、同銀行は、11年10月1日、国際協力銀行法(平成11年法律第35号)附則第6条及び第7条の規定により解散した日本輸出入銀行及び海外経済協力基金の一切の権利及び義務を承継(注2)
して設立されたものである。
(注1) 国際協力銀行の11年度は、11年10月1日から12年3月31日までである。
(注2) この承継に係る日本輸出入銀行及び海外経済協力基金の貸借対照表上の資産、負債及び資本は次のとおりである。
(1) 日本輸出入銀行
貸付金等の資産12兆4156億6838万余円、借入金等の負債10兆8994億0309万余円及び政府出資金等による資本1兆5162億6529万余円
(2) 海外経済協力基金
貸付金等の資産10兆3056億0490万余円、借入金等の負債4兆7052億6148万余円及び政府出資金等による資本5兆6003億4342万余円
同銀行の11年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。
1 収入支出決算
区分 | 11年度 | |
千円 | ||
(収入) | ||
収入済額 | 456,384,549 | |
(支出) | ||
支出予算現額 | 511,825,538 | |
支出済額 | 401,801,581 | |
不用額 | 110,023,956 |
不用額の主なものは支払利息(支出予算現額4939億2149万円)の1065億9426万余円及び業務委託費(同36億5091万余円)の20億0270万余円である。
2 損益
区分 | 11年度 | |
千円 | ||
(国際金融等勘定一般勘定) | ||
経常収益 | 316,022,082 | |
(うち貸付金利息) | (259,373,368) | |
経常費用 | 276,149,220 | |
(うち借入金利息) | (126,619,709) | |
当年度利益金 | 39,872,862 | |
(利益金の処理) | ||
翌年度に準備金として整理 | 19,936,431 | |
産業投資特別会計に納付 | 19,936,431 | |
(国際金融等勘定特別勘定) | ||
経常収益 | 267 | |
(うち有価証券益) | (230) | |
当年度利益金 | 267 | |
(利益金の処理) | ||
翌年度に積立金として整理 | 267 | |
(海外経済協力勘定) | ||
経常収益 | 140,603,519 | |
(うち貸付金利息) | (131,346,771) | |
経常費用 | 105,800,064 | |
(うち借入金利息) | (91,989,091) | |
当年度利益金 | 34,803,454 | |
(利益金の処理) | ||
翌年度に積立金として整理 | 34,803,454 |
3 借入金等
区分 | 11年度末 | |
千円 | ||
(国際金融等勘定一般勘定) | ||
借入金残高 | 8,698,573,000 | |
(資金運用部資金等) | ||
債券発行残高 | 1,413,160,757 | |
準備金残高 | 503,351,008 | |
(国際金融等勘定特別勘定) | ||
借入金残高 | — | |
(一般会計) | ||
積立金残高 | 5,423,661 | |
(海外経済協力勘定) | ||
借入金残高 | 4,791,238,045 | |
(資金運用部資金等) | ||
債券発行残高 | 25,000,000 | |
積立金残高 | 90,798,943 |
4 主な業務実績
区分 | 11年度 | ||
(国際金融等勘定一般勘定) | |||
(1) 貸付業務 | |||
貸付け | 件数 | 249件 | |
金額 | 628,314,305千円 | ||
貸付金回収 | 金額 | 768,953,910千円 | |
年度末貸付金残高 | 件数 | 3,547件 | |
金額 | 11,217,177,214千円 | ||
上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に銀行において開示している債権 | |||
破綻先債権 | 1,012,766千円 | ||
延滞債権 | 91,903,920千円 | ||
3カ月以上延滞債権 | 66,401,367千円 | ||
貸出条件緩和債権 | 69,580,849千円 | ||
計 | 228,898,903千円 | ||
貸倒等引当金 | 33,651,531千円 | ||
(貸倒等引当金計上率)(注) | (3.0/1000) | ||
(注) 貸倒等引当金に計上できる金額は、当該事業年度末における貸付金残高に3/1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。 | |||
これに加えて、貸付金残高のうち、重債務最貧国に対する公的債務救済措置(ナポリターム)の適格国に対して有する特定貸付金については、この貸倒れによる損失に備えるために、下記のように別途貸倒等引当金を計上している。 | |||
貸倒等引当金 | 4,787,629千円 | ||
(貸倒等引当金計上率)(注) | (300.0/1000) | ||
(注) 貸倒等引当金に計上できる金額は、当該事業年度末における対象債権残高にそれぞれの国について適用される債務削減率を乗じて計算した額の合計額に2分の1を乗じて計算した額以下の額とされている。 |
(2) 保証業務 | |||
保証 | 件数 | 64件 | |
金額 | 60,908,653千円 | ||
減少した保証債務 | 金額 | 18,231,607千円 | |
年度末保証債務残高 | 件数 | 606件 | |
金額 | 342,516,626千円 | ||
(3) 出資業務 | |||
出資 | 会社数 | — | |
件数 | — | ||
金額 | — | ||
年度末出資金残高 | 会社数 | 1社 | |
件数 | 1件 | ||
金額 | 1,141,359千円 | ||
(国際金融等勘定特別勘定) | |||
貸付業務 | |||
貸付金回収 | 金額 | 473,698千円 | |
年度末貸付金残高 | 件数 | — | |
金額 | — | ||
(海外経済協力勘定) | |||
(1) 貸付業務 | |||
貸付け | 件数 | 507件 | |
金額 | 437,473,066千円 | ||
貸付金回収 | 金額 | 168,634,383千円 | |
年度末貸付金残高 | 件数 | 1,994件 | |
金額 | 10,304,056,460千円 | ||
上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に銀行において開示している債権 | |||
破綻先債権 | — | ||
延滞債権 | 399,427,778千円 | ||
3カ月以上延滞債権 | 80,045,182千円 | ||
貸出条件緩和債権 | 9,339,600千円 | ||
計 | 488,812,560千円 | ||
(開発途上国政府等に対する円借款) | |||
貸倒等引当金 | 1,027,158千円 | ||
(貸倒等引当金計上率)(注) | (0.1/1000) | ||
(注) 貸倒等引当金に計上できる金額は、当該事業年度末の円借款の貸付残高に15/1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。 | |||
(民間企業等に対する海外投融資) | |||
貸倒等引当金 | 974,137千円 | ||
(貸倒等引当金計上率)(注) | (30/1000) | ||
(注) 貸倒等引当金に計上できる金額は、当該事業年度末の海外投融資の貸付残高に30/1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。 |
(2) 出資業務 | |||
出資 | 会社等数 | 1 | |
金額 | 258,488千円 | ||
年度末出資金残高 | 会社等数 | 21 | |
金額 | 154,651,331千円 | ||
貸倒等引当金(注) | 5,880,018千円 | ||
(注) 貸倒等引当金に計上できる金額は、各会社等ごとに当該事業年度末における各会社等に対する銀行の出資金残高を限度として、各会社等の欠損金の額に各会社等の資本金に対する銀行の出資金残高の割合を乗じて得た金額の合計額の範囲内とされている。 |
なお、この銀行について検査した結果、「第4章 国会からの検査要請事項及び特定検査対象に関する検査状況」に、「「政府開発援助に関する決議」の実施状況に関する会計検査の結果について」 及び「政府開発援助について」 を掲記した。