この公団は、鉄道の建設等を推進することにより、鉄道交通網の整備を図り、もって経済基盤の強化と地域格差の是正に寄与するとともに、大都市の機能の維持及び増進に資することなどを目的として設置されているものである。その資本金は11事業年度末現在で641億8044万余円(全額国の出資)となっている。
同公団の会計は、一般及び特例業務(注)
の2勘定に区分して経理されており、その勘定別の11事業年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。
(注) 特例業務勘定の10事業年度は、10年10月22日から11年3月31日までである。
(一般勘定)
1 収入支出決算
区分 | 11事業年度 | (10事業年度) |
千円 | 千円 | |
(収入) | ||
収入決定済額 | 880,146,516 | 771,591,753 |
(支出) | ||
支出予算現額 | 1,022,407,259 | 893,966,147 |
支出決定済額 | 877,768,983 | 779,836,082 |
翌事業年度繰越額 | 106,965,589 | 74,683,881 |
不用額 | 37,672,686 | 39,446,183 |
翌事業年度繰越額の主なものは、建設費(支出予算現額5532億4817万余円)の1034億7870万余円及び受託業務費(同198億1186万余円)の33億5699万余円である。また、不用額の主なものは、建設費の244億4980万余円、業務外支出(鉄道建設債券支払利子及び消費税等。同4106億0980万円)の54億8735万余円及び受託業務費の47億0228万余円である。
2 損益
区分 | 11事業年度 | (10事業年度) |
千円 | 千円 | |
経常収益 | 211,998,639 | 205,176,670 |
(うち貸付収入) | (85,959,575) | (87,908,861) |
経常費用 | 210,500,016 | 203,910,897 |
(うち債券利息) | (70,296,041) | (75,550,956) |
特別損失 | 14,744,815 | 18 |
当期利益金(△当期損失金) | △13,246,192 | 1,265,754 |
(利益金又は損失金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 | — | 1,265,754 |
翌事業年度に繰越欠損金として整理 | 13,246,192 | — |
(繰越欠損金 | 1,642,255 | 2,908,010) |
なお、特別損失の主なものは、同公団が、自主廃業した千葉急行電鉄株式会社に対して有した債権の弁済に代えて所有することとなった千葉急行線の鉄道施設等の資産及び工事中止となった千葉急行線のために所有していた線路設備、土地等の資産の売却による固定資産売却損147億1749万余円である。
3 借入金等
区分 | 11事業年度末 | (10事業年度末) |
千円 | 千円 | |
借入金残高 | 930,650,565 | 786,959,271 |
(資金運用部資金等) | ||
鉄道建設債券発行残高 | 2,102,642,000 | 2,186,774,000 |
4 主な業務実績
区分 | 11事業年度 | (10事業年度) | |||
新幹線 | 建設 | 3線 | 628km | 3線 | 628km |
(東北新幹線ほか) | |||||
貸付線 | 貸付 | 10線 | 497km | 10線 | 497km |
(北陸新幹線ほか) | |||||
都市鉄道線 | 建設 | 3線 | 79km | 3線 | 67km |
(常磐新線ほか) | |||||
民鉄線 | 新線建設 | 5線 | 29km | 5線 | 29km |
(臨海副都心線ほか) | |||||
大改良 | 5線 | 43km | 5線 | 43km |
(特例業務勘定)
1 収入支出決算
区分 | 11事業年度 | (10事業年度) |
千円 | 千円 | |
(収入) | ||
収入決定済額 | 920,299,640 | 229,028,814 |
(支出) | ||
支出予算現額 | 816,471,848 | 383,403,484 |
支出決定済額 | 772,977,275 | 245,175,913 |
翌事業年度繰越額 | 10,187,159 | 50,843,774 |
不用額 | 33,307,413 | 87,383,795 |
翌事業年度繰越額の主なものは用地対策費(支出予算現額515億6672万余円)の96億6465万余円である。また、不用額の主なものは、用地対策費の217億7180万余円及び管理諸費(同281億0028万余円)の54億7210万余円である。
2 損益
区分 | 11事業年度 | (10事業年度) |
千円 | 千円 | |
経常収益 | 943,029,352 | 843,690,304 |
(うち固定資産売却収入) | (739,789,917) | (705,956,845) |
経常費用 | 851,964,705 | 205,051,730 |
(うち共済年金等費用) | (674,961,455) | (117,190,194) |
特別損失 | 2,635,833 | — |
当期利益金 | 88,428,814 | 638,638,574 |
(利益金の処理) | ||
翌事業年度に積立金として整理 | 88,428,814 | 638,638,574 |
3 借入金等
区分 | 11事業年度末 | (10事業年度末) |
千円 | 千円 | |
借入金残高 | 275,102,199 | 309,966,798 |
(民間借入金) | ||
鉄道建設債券発行残高 | — | 511,000 |
積立金残高 | 3,124,800,977 | 2,486,162,403 |
なお、11事業年度末の長期債務の残高は、本州四国連絡橋公団債務の54億3076万円であり、これに、同公団が支払うこととされている日本鉄道共済年金負担金等の将来費用及び厚生年金移換金債務を加えた長期債務等は、11年度末現在、3兆4135億円となっている。
4 主な業務実績
区分 | 11事業年度 | (10事業年度) | |
土地の売却実績 | 件数 | 352件 | 201件 |
面積 | 474ha | 67ha | |
金額 | 52,925,318千円 | 52,229,818千円 | |
株式の売却実績 | 会社数 | 1社 | — |
株数 | 1,000千株 | — | |
金額 | 652,000,000千円 | — |
11事業年度の株式の売却実績は、すべて同公団保有の東日本旅客鉄道株式会社の株式(1,500千株)の一部売却に係るものである。
なお、この公団について検査した結果、「第4章 第2節 特定検査対象に関する検査状況」に「日本鉄道建設公団が建設し第3セクター等に譲渡した民鉄線に係る譲渡代金の償還状況等について」 を掲記した。