この機構は、労働者の有する能力の有効な発揮及び職業生活の充実を図るため、雇用管理の改善に対する援助、公共職業能力開発施設の設置及び運営等の業務を行うことにより、良好な雇用の機会の創出その他の雇用開発並びに職業能力の開発及び向上を促進し、もって労働者の雇用の安定その他福祉の増進と経済の発展に寄与することを目的として設置されているものである。その資本金は11事業年度(注1)
末現在で2兆0833億3225万余円(うち国の出資2兆0824億1427万余円)となっている。
同機構の会計は、一般会計及び炭鉱離職者等援護業務特別会計に区分して経理され、一般会計は、さらに、雇用保険、雇用促進融資、駐留軍関係離職者等援護事業、勤労者財産形成促進事業及び介護労働者福祉事業の5勘定に区分されている。
なお、同機構は、11年10月1日、雇用・能力開発機構法(平成11年法律第20号)附則第6条の規定により解散した雇用促進事業団の一切の権利及び義務を承継(注2)
して設立されたものである。
(注1)
雇用・能力開発機構の11事業年度は、11年10月1日から12年3月31日までである。
(注2)
この承継に係る雇用促進事業団の貸借対照表上の資産、負債及び資本は次のとおりである。
(1) 一般会計の資産2兆2690億4886万余円、負債6783億7784万余円及び資本1兆5906億7101万余円
(2) 炭鉱離職者等援護事業特別会計の資産14億9348万余円、負債1億2485万余円及び資本13億6863万余円
(3) 日本国有鉄道清算事業団職員等援護事業特別会計の資産490万余円、負債195万余円及び資本294万余円
同機構の会計及び勘定別の11事業年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。
(一般会計)
(雇用保険勘定)
1 収入支出決算
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
(収入) | ||
収入決定済額 | 194,679,849 | |
(支出) | ||
支出予算現額 | 366,503,665 | |
支出決定済額 | 143,048,492 | |
翌事業年度繰越額 | 139,355,997 | |
不用額 | 84,099,174 |
翌事業年度繰越額は、受託業務費(支出予算現額1368億3742万余円)の1245億3292万余円、施設建設費(同321億3200万円)の84億1535万余円及び職業訓練業務費(同357億7469万円)の64億0771万余円である。また、不用額の主なものは、雇用安定業務費(同824億3542万余円)の694億5278万余円及び雇用福祉業務費(同101億3849万余円)の33億9106万余円である。
2 損益
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
経常収益 | 120,264,059 | |
(うち政府交付金等収入) | (85,479,519) | |
経常費用 | 132,460,011 | |
(うち能力開発事業費) | (42,928,866) | |
特別利益 | 54,575 | |
特別損失 | 4,313,371 | |
当期損失金 | 16,454,748 | |
(損失金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金として整理 | 16,454,748 | |
(繰越欠損金 | 444,656,964) |
3 主な業務実績
区分 | 11事業年度 | |
公共職業能力開発施設等の運営 | 130箇所 | |
移転就職者用宿舎の運営 | 144,544戸 | |
福祉施設等の運営 | 2,162箇所 |
(雇用促進融資勘定)
1 収入支出決算
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
(収入) | ||
収入決定済額 | 11,843,277 | |
(支出) | ||
支出予算現額 | 7,771,262 | |
支出決定済額 | 6,722,170 | |
不用額 | 1,049,091 |
2 損益
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
経常収益 | 1,671,247 | |
(うち貸付金利息) | (935,595) | |
経常費用 | 1,665,741 | |
(うち雇用促進融資業務費) | (1,643,808) | |
当期利益金 | 5,505 | |
(利益金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 | 5,505 | |
(繰越欠損金 | 195,249) |
3 借入金
区分 | 11事業年度末 | |
千円 | ||
借入金残高 | 55,143,548 | |
(資金運用部資金) |
4 主な業務実績
(労働者住宅設置資金等の貸付け) | |||
区分 | 11事業年度 | ||
貸付け | 件数 | 27件 | |
金額 | 1,996,780千円 | ||
貸付金回収等 | 金額 | 2,639,699千円 | |
(うち繰上償還) | 金額 | (1,449,843千円) | |
事業年度末貸付金残高 | 件数 | 1,257件 | |
金額 | 50,022,441千円 | ||
上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に機構において開示している債権 | |||
破綻先債権 | 5,257,954千円 | ||
延滞債権 | 1,299,121千円 | ||
3カ月以上延滞債権 | 176,482千円 | ||
貸出条件緩和債権 | — | ||
計 | 6,733,558千円 | ||
貸倒引当金 | 21,932千円 | ||
(貸倒引当金計上率)(注) | (0.4/1000) | ||
(注) 貸倒引当金に計上できる金額は、当該事業年度末における貸付金残高に3/1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。 |
(駐留軍関係離職者等援護事業勘定)
1 収入支出決算
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
(収入) | ||
収入決定済額 | 42,841 | |
(支出) | ||
支出予算現額 | 1,131 | |
支出決定済額 | — | |
不用額 | 1,131 |
2 損益
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
経常収益 | 10 | |
(受取利息) | ||
経常費用 | — | |
当期利益金 | 10 | |
(利益金の処理) | ||
翌事業年度に積立金として整理 | 10 |
3 積立金
区分 | 11事業年度末 | |
千円 | ||
積立金残高 | 42,830 |
(勤労者財産形成促進事業勘定)
1 収入支出決算
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
(収入) | ||
収入決定済額 | 161,225,024 | |
(支出) | ||
支出予算現額 | 319,687,704 | |
支出決定済額 | 152,493,778 | |
不用額 | 167,193,925 |
不用額の主なものは、財形融資貸付金(支出予算現額1726億3837万円)の1406億1930万円、借入金償還金(同1226億5900万円)の145億6000万円及び支払利息(同150億7531万余円)の45億7097万余円である。
2 損益
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
経常収益 | 8,393,342 | |
(うち貸付金利息) | (6,669,555) | |
経常費用 | 12,251,380 | |
(うち勤労者財産形成促進業務費) | (11,506,050) | |
当期損失金 | 3,858,038 | |
(損失金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金として整理 | 3,858,038 | |
(繰越欠損金 | 21,545,344) |
3 債券発行等
区分 | 11事業年度末 | |
千円 | ||
雇用・能力開発債券発行残高 | 422,800,000 | |
借入金残高 | 155,186,000 | |
(市中金融機関等) |
4 主な業務実績
(財形融資貸付) | |||
区分 | 11事業年度 | ||
貸付け | 件数 | 1,967件 | |
金額 | 32,019,070千円 | ||
貸付金回収等 | 金額 | 27,903,917千円 | |
(うち繰上償還) | 金額 | (15,343,894千円) | |
(うち貸付金償却) | 金額 | (3,496千円) | |
事業年度末貸付金残高 | 件数 | 52,225件 | |
金額 | 533,201,286千円 | ||
上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に機構において開示している債権 | |||
破綻先債権 | 183,424千円 | ||
延滞債権 | 6,329千円 | ||
3カ月以上延滞債権 | 4,322千円 | ||
貸出条件緩和債権 | — | ||
計 | 194,076千円 | ||
貸倒引当金 | 589,013千円 | ||
(貸倒引当金計上率)(注) | (1.1/1000) | ||
(注) 貸倒引当金に計上できる金額は、当該事業年度末における貸付金残高に3/1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。 |
(介護労働者福祉事業勘定)
1 収入支出決算
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
(収入) | ||
収入決定済額 | 563,478 | |
(支出) | ||
支出予算現額 | 245,965 | |
支出決定済額 | 167,461 | |
不用額 | 78,503 |
2 損益
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
経常収益 | 123,240 | |
(うち有価証券利息) | (110,711) | |
経常費用 | 167,461 | |
(雇用福祉事業費) | ||
当期損失金 | 44,221 | |
(損失金の処理) | ||
翌事業年度に積立金を減額整理 | 44,221 |
3 積立金
区分 | 11事業年度末 | |
千円 | ||
積立金残高 | 892,546 |
(炭鉱離職者等援護業務特別会計)
1 収入支出決算
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
(収入) | ||
収入決定済額 | 390,553 | |
(支出) | ||
支出予算現額 | 450,130 | |
支出決定済額 | 283,814 | |
不用額 | 166,315 |
2 損益
区分 | 11事業年度 | |
千円 | ||
経常収益 | 283,966 | |
(うち政府補助金収入) | (255,239) | |
経常費用 | 299,519 | |
(うち炭鉱離職者等援護事業費) | (202,889) | |
特別損失 | 4,865 | |
当期損失金 | 20,418 | |
(損失金の処理) | ||
翌事業年度に積立金を減額整理 | 20,418 |
3 積立金
区分 | 11事業年度末 | |
千円 | ||
積立金残高 | 1,368,634 |
なお、この機構について検査した結果、「第3章 個別の検査結果」に「中小企業雇用創出人材確保助成金の支給が適正でなかったもの」 を掲記した。