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  • 平成11年度|
  • 第6章 歳入歳出決算その他検査対象の概要|
  • 第2節 歳入歳出決算等検査対象別の概要|
  • 第7 政府関係機関及びその他の団体|
  • 4 公団、事業団その他20団体の決算|
  • (その他の団体)

雇用・能力開発機構


(10) 雇用・能力開発機構

 この機構は、労働者の有する能力の有効な発揮及び職業生活の充実を図るため、雇用管理の改善に対する援助、公共職業能力開発施設の設置及び運営等の業務を行うことにより、良好な雇用の機会の創出その他の雇用開発並びに職業能力の開発及び向上を促進し、もって労働者の雇用の安定その他福祉の増進と経済の発展に寄与することを目的として設置されているものである。その資本金は11事業年度(注1) 末現在で2兆0833億3225万余円(うち国の出資2兆0824億1427万余円)となっている。
 同機構の会計は、一般会計及び炭鉱離職者等援護業務特別会計に区分して経理され、一般会計は、さらに、雇用保険、雇用促進融資、駐留軍関係離職者等援護事業、勤労者財産形成促進事業及び介護労働者福祉事業の5勘定に区分されている。
 なお、同機構は、11年10月1日、雇用・能力開発機構法(平成11年法律第20号)附則第6条の規定により解散した雇用促進事業団の一切の権利及び義務を承継(注2) して設立されたものである。

 (注1)  雇用・能力開発機構の11事業年度は、11年10月1日から12年3月31日までである。
 (注2)  この承継に係る雇用促進事業団の貸借対照表上の資産、負債及び資本は次のとおりである。

 (1) 一般会計の資産2兆2690億4886万余円、負債6783億7784万余円及び資本1兆5906億7101万余円
 (2) 炭鉱離職者等援護事業特別会計の資産14億9348万余円、負債1億2485万余円及び資本13億6863万余円
 (3) 日本国有鉄道清算事業団職員等援護事業特別会計の資産490万余円、負債195万余円及び資本294万余円
 同機構の会計及び勘定別の11事業年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。

(一般会計)

 (雇用保険勘定)

 この勘定は、雇用管理の改善に対する援助、公共職業能力開発施設の設置、運営等の事業に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

  区分 11事業年度
  千円
(収入)
 収入決定済額 194,679,849
(支出)
 支出予算現額 366,503,665
 支出決定済額 143,048,492
 翌事業年度繰越額 139,355,997
 不用額 84,099,174

 翌事業年度繰越額は、受託業務費(支出予算現額1368億3742万余円)の1245億3292万余円、施設建設費(同321億3200万円)の84億1535万余円及び職業訓練業務費(同357億7469万円)の64億0771万余円である。また、不用額の主なものは、雇用安定業務費(同824億3542万余円)の694億5278万余円及び雇用福祉業務費(同101億3849万余円)の33億9106万余円である。

2 損益

  区分 11事業年度
  千円
 経常収益 120,264,059
 (うち政府交付金等収入) (85,479,519)
 経常費用 132,460,011
 (うち能力開発事業費) (42,928,866)
 特別利益 54,575
 特別損失 4,313,371
 当期損失金 16,454,748
(損失金の処理)
 翌事業年度に繰越欠損金として整理 16,454,748
(繰越欠損金 444,656,964)

3 主な業務実績

  区分 11事業年度
 公共職業能力開発施設等の運営 130箇所
 移転就職者用宿舎の運営 144,544戸
 福祉施設等の運営 2,162箇所

 (雇用促進融資勘定)

 この勘定は、労働者の雇用を促進することを目的として、移転就職者等を雇い入れる事業主等に対する労働者住宅、福祉施設、職業訓練施設等の設置又は整備に要する資金の貸付けの事業に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

  区分 11事業年度
  千円
(収入)
 収入決定済額 11,843,277
(支出)
 支出予算現額 7,771,262
 支出決定済額 6,722,170
 不用額 1,049,091

2 損益

  区分 11事業年度
  千円
 経常収益 1,671,247
 (うち貸付金利息) (935,595)
 経常費用 1,665,741
 (うち雇用促進融資業務費) (1,643,808)
 当期利益金 5,505
(利益金の処理)
 翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 5,505
(繰越欠損金 195,249)

3 借入金

  区分 11事業年度末
  千円
 借入金残高 55,143,548
 (資金運用部資金)

4 主な業務実績

 (労働者住宅設置資金等の貸付け)
  区分 11事業年度
 貸付け 件数 27件
金額 1,996,780千円
 貸付金回収等 金額 2,639,699千円
 (うち繰上償還) 金額 (1,449,843千円)
 事業年度末貸付金残高 件数 1,257件
金額 50,022,441千円
  上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に機構において開示している債権
  破綻先債権 5,257,954千円
  延滞債権 1,299,121千円
  3カ月以上延滞債権 176,482千円
  貸出条件緩和債権
6,733,558千円
  貸倒引当金 21,932千円  
  (貸倒引当金計上率)(注) (0.4/1000)  
  (注) 貸倒引当金に計上できる金額は、当該事業年度末における貸付金残高に3/1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。

 (駐留軍関係離職者等援護事業勘定)

 この勘定は、駐留軍関係離職者等の再就職を促進するため、開業資金の債務保証、職業講習等を実施する事業に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

  区分 11事業年度
  千円
(収入)
 収入決定済額 42,841
(支出)
 支出予算現額 1,131
 支出決定済額
 不用額 1,131

2 損益

  区分 11事業年度
  千円
 経常収益 10
 (受取利息)
 経常費用
 当期利益金 10
(利益金の処理)
 翌事業年度に積立金として整理 10

3 積立金

  区分 11事業年度末
  千円
 積立金残高 42,830

 (勤労者財産形成促進事業勘定)

 この勘定は、勤労者の財産形成を促進するため、中小事業主等に対する財産形成持家分譲資金等の貸付けの事業に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

  区分 11事業年度
  千円
(収入)
 収入決定済額 161,225,024
(支出)
 支出予算現額 319,687,704
 支出決定済額 152,493,778
 不用額 167,193,925

 不用額の主なものは、財形融資貸付金(支出予算現額1726億3837万円)の1406億1930万円、借入金償還金(同1226億5900万円)の145億6000万円及び支払利息(同150億7531万余円)の45億7097万余円である。

2 損益

  区分 11事業年度
  千円
 経常収益 8,393,342
 (うち貸付金利息) (6,669,555)
 経常費用 12,251,380
 (うち勤労者財産形成促進業務費) (11,506,050)
 当期損失金 3,858,038
(損失金の処理)
 翌事業年度に繰越欠損金として整理 3,858,038
(繰越欠損金 21,545,344)

3 債券発行等

  区分 11事業年度末
  千円
 雇用・能力開発債券発行残高 422,800,000
 借入金残高 155,186,000
 (市中金融機関等)

4 主な業務実績

 (財形融資貸付)
  区分 11事業年度
 貸付け 件数 1,967件
金額 32,019,070千円
 貸付金回収等 金額 27,903,917千円
 (うち繰上償還) 金額 (15,343,894千円)
 (うち貸付金償却) 金額 (3,496千円)
 事業年度末貸付金残高 件数 52,225件
金額 533,201,286千円
  上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に機構において開示している債権
   破綻先債権 183,424千円
   延滞債権 6,329千円
   3カ月以上延滞債権 4,322千円
   貸出条件緩和債権
194,076千円
 貸倒引当金 589,013千円  
 (貸倒引当金計上率)(注) (1.1/1000)  
 (注) 貸倒引当金に計上できる金額は、当該事業年度末における貸付金残高に3/1000を乗じて得た金額の範囲内とされている。

(介護労働者福祉事業勘定)

 この勘定は、介護労働者の福祉の増進を図るため、施設の設置資金等の債務保証、介護労働者の負傷、疾病等に係る援助に対する助成等の事業に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

  区分 11事業年度
  千円
(収入)
 収入決定済額 563,478
(支出)
 支出予算現額 245,965
 支出決定済額 167,461
 不用額 78,503

2 損益

  区分 11事業年度
  千円
 経常収益 123,240
 (うち有価証券利息) (110,711)
 経常費用 167,461
 (雇用福祉事業費)
 当期損失金 44,221
(損失金の処理)
 翌事業年度に積立金を減額整理 44,221

3 積立金

  区分 11事業年度末
  千円
 積立金残高 892,546

(炭鉱離職者等援護業務特別会計)

 この会計は、炭鉱離職者の再就職を促進するため職業訓練等を実施する事業などに関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

  区分 11事業年度
  千円
(収入)
 収入決定済額 390,553
(支出)
 支出予算現額 450,130
 支出決定済額 283,814
 不用額 166,315

2 損益

  区分 11事業年度
  千円
 経常収益 283,966
 (うち政府補助金収入) (255,239)
 経常費用 299,519
 (うち炭鉱離職者等援護事業費) (202,889)
 特別損失 4,865
 当期損失金 20,418
(損失金の処理)
 翌事業年度に積立金を減額整理 20,418

3 積立金

  区分 11事業年度末
  千円
 積立金残高 1,368,634

 なお、この機構について検査した結果、「第3章 個別の検査結果」に「中小企業雇用創出人材確保助成金の支給が適正でなかったもの」 を掲記した。