1 本院が表示した改善の意見
郵政省では、全国2万余の郵便局における適正な資金管理のため、日本銀行便局に指定した242の郵便局に、その管轄する郵便局から業務に係る資金として保管すべき額を超える現金(以下「過超金」という。)を集めて日本銀行に預入させることとしている。この過超金は、日本銀行に預入されるまでの間、日本銀行便局で保管されている。
近年、過超金のうちの硬貨(以下「硬貨過超金」という。)の増加が著しく、自局内での整理及び保管に困難を来した東京中央郵便局ほか53の日本銀行便局では、これらの業務を外部に委託していた。そして、外部に委託して保管している硬貨過超金は、平成11年度末で43,924袋、74億6042万余円に上り、委託費として同年度に6億3955万余円を支払っていた。
日本銀行便局での硬貨滞留の背景には、消費税の導入など社会経済的な要因による硬貨の市中流通量の増加という事情のほか、過超金を直接市中金融機関に預金できる郵便局が減少し硬貨過超金が日本銀行便局へ集中するようになったこと、金庫の収容力等の関係から日本銀行代理店の多くで硬貨過超金の全量預入が困難になったことなど、郵便局と市中金融機関との関係の変化などの構造的な要因があると認められた。
郵政省では、大蔵省や日本銀行と協議するなどして硬貨過超金の滞留の解消に努めてきたが、滞留の解消には至っていなかった。
硬貨過超金の滞留を解消し、効率的な資金管理を確保するとともに経費を節減するよう、次のとおり、郵政大臣に対し12年11月に、会計検査院法第36条の規定により改善の意見を表示した。
(1)日本銀行等の関係機関と引き続き協議して、硬貨過超金を円滑に処理できるようにすること
(2)各日本銀行便局の硬貨過超金の滞留状況を把握し、近隣の日本銀行便局間で移送して滞留が解消する場合は、これを積極的に進めること
2 当局が講じた改善の処置
郵政省(13年1月6日以降は総務省郵政事業庁)では、本院指摘の趣旨に沿い、日本銀行本支店と協議するなど、効率的な資金管理が確保されるよう、次のような処置を講じた。
(1)日本銀行便局に滞留している硬貨過超金を、12年11、12月に日本銀行本支店へ緊急に預入するとともに、今後、硬貨の滞留が発生しないよう、引き続き同省地方郵政局等と日本銀行本支店との間で協議することとした。
(2)日本銀行代理店への預入が依然として困難であって、硬貨過超金の滞留が顕著な日本銀行便局については、12年12月以降、日本銀行本支店を預入先とする近隣の日本銀行便局に移送するなどして日本銀行本支店に預入し、滞留の解消を促進することとした。