1 本院が要求した是正改善の処置及び表示した改善の意見
文部省(平成13年1月6日以降は文部科学省)では、国立大学の医学部等に附属する病院(以下「大学病院」という。)を設置しており、大学病院においては患者給食業務を直営又は委託により実施している。この患者給食業務について、収入面も考慮して経費が経済的・効率的に使用されているか、また、外部委託を行っている場合の契約事務は適切に行われているかなどに着眼して検査したところ、次のような事態が見受けられた。
(1)「入院時食事療養の基準等」(平成6年厚生省告示第238号。以下「食事療養基準」という。)に定める特別食に該当しない食種を特別食として取り扱って委託料及び給食材料の調達額を算定していて適切と認められないもの
(2)外部委託に当たり、随意契約を採用しているものについて、一般競争契約の導入を図る要があると認められるもの
このような事態が生じているのは、主として次のことによると認められた。
(1)については、
ア 各大学病院において、委託料及び給食材料の調達額の算定に当たり、保険医療機関として、診療報酬に見合った経費を支出するという意識が十分でないこと
イ 文部省において、特別食として取り扱う食種を明確に定めていないこと
(2)については、
ア 各大学病院において、患者給食業務を取り巻く環境の変化等に対応して、外部委託契約を改善する方策の検討が十分でないこと
イ 文部省において、上記についての各大学病院に対する指導が十分でないこと
大学病院において、患者給食業務に係る経費の経済的な使用に努め、かつ、その契約の透明性、客観性及び競争性を確保するよう、次のとおり、文部大臣に対し12年11月に、上記の(1)については、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求し、(2)については、同法第36条の規定により改善の意見を表示した。
(1)については、特別食の範囲を、原則として食事療養基準に定める特別食の範囲と同一とすること
(2)については、随意契約を採用している大学病院に対し、計画的に一般競争契約に移行するなど外部委託契約を改善する方策を検討し、適切な措置を講ずるよう指導を行うこと
2 当局が講じた改善の処置
文部省では、本院指摘の趣旨に沿い、12年12月に、国立大学経理部長等に対し通知を発するなどして、患者給食業務に係る経費の経済的な使用に努め、かつ、その契約の透明性、客観性及び競争性を確保するよう、次のような処置を講じた。
(1)については、特別食の範囲を、原則として食事療養基準に定める特別食の範囲と同一とすることとした。
(2)については、計画的に一般競争契約に移行するなど外部委託契約を改善する方策を検討し、適切な措置を講ずるよう指導した。