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  • 平成12年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 平成11年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

医療用の酸素に係る診療報酬の請求について


(1)医療用の酸素に係る診療報酬の請求について

(平成11年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 医療機関は、酸素吸入の処置等に医療用の酸素を使用した場合、酸素の購入価格を10円で除すなどして得た点数を診療報酬として請求することとなっている。この酸素の購入価格は、各医療機関が地方社会保険事務局長(平成11年度以前は都道府県知事)に対して届け出た酸素の購入単価(以下「届出単価」という。)に、各患者に使用した酸素の容積及び補正率を乗じるなどして得た額とされている。そして、医療機関は、酸素の使用に係る診療報酬を請求する場合、届出単価及びその使用量を診療報酬明細書(以下「レセプト」という。)の摘要欄に記載することとなっている。
 酸素に係る診療報酬の請求について検査したところ、酸素の購入価格が過大に算定されていたり、社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会(以下、これらを「審査支払機関」という。)や市町村等において審査を十分行うことができるようになっていなかったりして、酸素の使用に係る診療報酬の請求が適正に行われていない事態が見受けられた。
 このような事態が生じているのは、主として次のことによると認められた。
(ア)厚生省において、酸素の届出単価等を届け出る時期を7月と定めていること、レセプトの摘要欄に補正率を記載する旨を記載要領に示していないこと及び酸素の届出単価等の統一した届出様式を定めていないこと
(イ)地方社会保険事務局(11年度以前は都道府県)において、酸素の届出単価に関する情報を審査支払機関や市町村等へ適時適切に提供していないこと
(ウ)医療機関において、酸素の購入価格を届出単価により算定することなど本制度についての認識が十分でないこと

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 酸素の使用に係る診療報酬が適正に請求されるよう、次のとおり、厚生大臣に対し12年11月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。
(ア)毎年度当初における診療報酬請求の審査に間に合わせるため、地方社会保険事務局長に対する酸素の届出単価等の届出を遅くとも3月までに行うように改めるとともに、レセプトの摘要欄に補正率を記載するよう記載要領を改め、また、届出単価等について統一した届出様式を定めること
(イ)地方社会保険事務局に対し、酸素の届出単価に関する情報を審査支払機関や市町村等へ適時適切に提供するよう指導すること
(ウ)医療機関に本制度の周知徹底を図るよう指導すること

2 当局が講じた是正改善の処置

 厚生省では、本院指摘の趣旨に沿い、12年12月に地方社会保険事務局長等に通知を発するなどして、酸素の使用に係る診療報酬が適正に請求されるよう、次のような処置を講じた。
(ア)地方社会保険事務局長に対する酸素の届出単価等の届出を2月15日までに行うようにするとともに、レセプトの摘要欄に補正率を記載するよう記載要領を改め、また、届出単価等の統一した届出様式を定めた。
(イ)地方社会保険事務局において、届出を受けた購入単価について、審査支払機関に対し通知するとともに、市町村等に対し情報提供を行うこととした。
(ウ)地方社会保険事務局及び都道府県を通じて、管下医療機関に対して酸素の使用に係る診療報酬の請求方法について改正の趣旨を十分周知し、適正な請求が行われるよう指導することとした。