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  • 平成12年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況|
  • 第15 財投機関の決算分析について|
  • 2 検査の状況|
  • (1) 財投機関の決算の状況|
  • ア 資産、負債・資本及び損益の状況

損益の状況


〔3〕 損益の状況

(財投機関の損益)

 財投機関45法人の12年度の損益の状況をみると、表8のとおり、当期利益金を計上している法人は9法人計4705億余円、当期損失金を計上している法人は29法人計1兆7123億余円、損益を計上していない法人は7法人となっている。
 損益を計上していない法人は、いずれも各種引当金の繰入前利益の全額を貸倒引当金、償還準備金等として繰り入れた結果、損益がゼロとなっている。また、当期損失金を計上している法人の中には、主たる事業では所定の引当金等の繰入れを行って基本的に損益がゼロとなっているが、付帯的な事業において当期損失金を計上しているものがある。
 財投機関45法人のうち、各法人の設置法等において国庫納付を規定しているものは25法人となっている。このうち国際協力銀行が12年度に国庫納付を行っている。

表8 当期損益の状況(12年度)
区分 当期利益金を計上している法人 損益を計上していない法人 当期損失金を計上している法人

財投機関
45法人
住宅金融公庫
簡易保険福祉事業団
国際協力銀行
  電源開発株式会社
水資源開発公団
  帝都高速度交通営団
  日本道路公団
都市基盤整備公団
沖縄振興開発金融公庫
国民生活金融公庫
農林漁業金融公庫
中小企業金融公庫
公営企業金融公庫
新東京国際空港公団
  阪神高速道路公団
  環境事業団
年金福祉事業団
中小企業総合事業団
  日本私立学校振興・共済事業団
通信・放送機構
  本州四国連絡橋公団
  科学技術振興事業団
石油公団
日本鉄道建設公団
新エネルギー・産業技術総合開発機構
  雇用・能力開発機構
運輸施設整備事業団
  情報処理振興事業協会
  労働福祉事業団
関西国際空港株式会社
日本政策投資銀行
  商工組合中央金庫
  生物系特定産業技術研究推進機構
  医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構
  基盤技術研究促進センター
  社会福祉・医療事業団
  日本下水道事業団
産業基盤整備基金
地域振興整備公団
  緑資源公団
金属鉱業事業団
奄美群島振興開発基金
  首都高速道路公団
国際協力事業団
  日本育英会
9法人 470,587百万円 7法人 29法人 ▲1,712,365百万円
2分の1
以上出資
法人等
79法人
21法人 
1,916,836百万円
8法人 50法人 ▲3,646,751百万円
(注)★は、国庫納付規定が設けられている勘定を有する法人である。

(財政負担の状況)

 財投機関には、補助金、交付金等、償還を要しない無償資金を主な財源として事業を実施するものがある。また、財政投融資資金等の有償資金を用いる法人の中にも、受益者負担だけで良質・低廉な財貨サービスを提供することが困難なため、一定の国の負担を必要としているものがある。
 財投機関45法人に対して国から交付された12年度の補給金、交付金、補助金の総額は、表9のとおり、2兆9475億余円となっている。また、これに政府出資金、無利子貸付金を含めた財政負担の総額は、5兆0504億余円となっている。

表9 財政負担の状況(12年度決算額ベース) (単位:百万円)
区分 補給金 交付金 補助金 小計 政府出
資金
無利子
貸付金
合計
一般会計 669,407 348,907 910,328 1,928,642 1,337,739 111,328 3,377,710
特別会計 161,084 643,999 213,858 1,018,942 540,798 112,950 1,672,692
  道路整備 100,781 10,400 111,181 301,453 22,248 434,882
産業投資 101,701 37,313 139,014
都市開発 15,560 15,560
空港整備 37,900 21,100 59,000
農業経営 16,728 16,728
労働保険 274,871 274,871 61,522 336,393
石炭石油 59,841 196,288 145,028 401,158 13,632 414,790
簡易生命保険 27,788 27,788 16,698 44,486
電源開発促進 462 2,792 57,532 60,786 60,786
厚生保険 64,275 64,275 7,812 72,087
国民年金 25,132 25,132 78 25,211
治水 52,851 897 53,748 53,748
合計 830,491 992,906 1,124,186 2,947,584 1,878,537 224,279 5,050,402
(注)
表9には委託費は含んでいない。また、特別会計の名称は一部省略している。

 「補給金」は、主として、長期低利融資を行う法人の逆ざやや収支差を国が補てんしたり、有償資金で社会資本整備を行う法人の建設コスト又は管理コストを抑制したりするものである。
 「交付金」は、主に国に代わって一定の公共サービスを提供する法人に対して、発生する費用の一部を補てんするものである。
 「補助金」は、運営経費や資本支出の一部を助成して原価を圧縮することにより、低廉な財貨サービス価格を可能にするものである。

(引当金、準備金等の状況)

 財投機関は、将来の特定の費用又は損失に備えて、各種の引当金を設け、その繰入れを行っている。現行の特殊法人等会計処理基準によれば、特定の支出又は損失に備えるための引当金は、各事業年度の費用又は損失とすることを相当と認められる額について計上するものとされている。
 財投機関の場合は、民間企業とは異なり、現金ベースの原則に立つ国の予算措置を前提として事業を行っており、法人内部に利益を蓄積することは予定されていない。
 そのため、見込まれる損失に対して規定された限度額まで引当金等を計上することとしている法人が多い。
 「貸倒引当金」については、おおむね、貸倒れによる回収不能額を見積もって計上するのではなく、期末貸付金残高の一定割合を限度として計上し、実際に貸倒損失が生じたときに予算措置される財源等で貸倒債権を償却する方法によることとされている。
 「退職給与引当金」は、所要額の全額を計上している法人もあるが、所要額の一部を 計上している法人や計上していない法人もある。
 「特別法上の引当金等」は、特別の法律又はこれに基づく主務大臣の命令等により、将来の特定の費用又は損失の発生等に備えるものである。その計上額は、将来の特定の費用又は損失の発生等のリスクを見積もるのではなく、あらかじめ定められた基準に基づき収支差額の範囲内で計上している法人が多い。
 社会資本整備を行う法人に多く例がみられるが、政策金融を行う公庫にも例がある。