1 本院が表示した改善の意見
文部科学省(平成13年1月5日以前は文部省)では、小学校、中学校等においてコンピュータ等の情報機器や情報通信ネットワーク等を活用し得る基礎的な能力の育成を図るなどのための施策を推進している。
また、同省では、義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)等に基づき、公立小・中学校の校舎等の新増改築事業又は既存校舎等の大規模改造事業を行う市町村に対し、事業に要する経費の一部として公立学校施設整備費補助金等を交付しており、公立小・中学校のコンピュータ教室は、これらの事業により整備されている。また、これと並行してコンピュ一タ教室へのコンピュータ機器の整備が進められている。
一方、学習指導要領においては、情報教育について、小学校段階では児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ適切に活用する学習活動を充実することとし、中学校段階では生徒がこれらの情報手段を積極的に活用するよう学習活動の充実に努めることとしている。
そこで、コンピュータ教室の利用状況等について検査したところ、各公立小・中学校間において、コンピュータ教室の利用時間数やコンピュータを利用した授業内容に大きな開きが生じていたり、利用計画等の内容に差異が生じていたりなどしている事態が見受けられ、多額の国費を投入して整備しているコンピュータ教室等の効果的な活用の面からみて、改善の必要があると認められた。
このような事態が生じているのは、文部科学省及び都道府県において、コンピュータ教室の効果的な活用について十分な指導・助言を行っていないこと、各公立小・中学校において、補助事業により整備したコンピュータ教室等の効率的な活用のための体制の整備が十分でないことによると認められた。
効果的な情報教育を実施していくため、コンピュータ教室等の効果的な活用を図るよう、次のとおり、文部科学大臣に対し13年11月に、会計検査院法第36条の規定により改善の意見を表示した。
(ア) 新学習指導要領の実施、学校における情報環境の整備等を踏まえ、様々な教科等においてその学習目的に応じてコンピュータ教室等を積極的に活用するよう、都道府県及び市町村に対して必要な指導・助言を行うこと
(イ) コンピュータ教室等の効果的な活用を促すよう、各学校において必要な利用計画等及び研修体制等の整備が図られるよう、都道府県及び市町村に対して必要な助言を行うこと
2 当局が講じた改善の処置
文部科学省では、本院指摘の趣旨に沿い、14年1月以降同省主催の各種会議を開催したり、同年6月に学校の教員向けの指導資料を作成したりして、次のような処置を講じた。
(ア) 各教科等の授業時間のみならず学校教育活動全体を通じてコンピュータ教室等を効果的に活用するよう、都道府県及び市町村に対し指導・助言を行った。
(イ) 各学校において利用計画を作成してコンピュータ教室等を有効活用したり、教科間の連携による指導計画を作成したり、教員がコンピュータを活用して指導を行えるものに研修体制等を改善したりするよう、都道府県及び市町村に対し助言を行った。