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  • 平成13年度|
  • 第4章 特定検査対象に関する検査状況

産業基盤整備基金における債務保証業務及び利子補給業務について


第12 産業基盤整備基金における債務保証業務及び利子補給業務について

検査対象 産業基盤整備基金
基金業務の概要 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進等を図るための債務の保証、資金の出資、利子補給金の支給等の業務
出資金等の概要 債務保証業務のための出資金等 472億円
出資業務のための出資金 270億円
利子補給業務のための出資金 284億円
出資金等の総額 1026億円(平成13年度末現在)  

1 産業基盤整備基金の概要

(産業基盤整備基金の業務)

 産業基盤整備基金(以下「基金」という。)は、「民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法」(昭和61年法律第77号。以下「民活法」という。)に基づき、特定不況産業安定臨時措置法(昭和53年法律第44号)により設立された「特定産業信用基金」の業務及び権利・義務を承継して、昭和61年9月に「産業基盤信用基金」として設立された財務省及び経済産業省共管の特別認可法人である。
 この基金の業務は、民間事業者による研究開発・企業化基盤施設、国際見本市場等の特定産業基盤施設の整備を促進するため、これに必要な資金の借入れに係る債務を保証して、その資金の融通を円滑にすることであったが、その後、各法律により新たな債務保証業務、出資業務及び利子補給業務等が追加されてきた。そのため、民活法の改正により62年5月に現在の名称に改められた。
 そして現在、基金では民活法を含め11の法律(注1) 及び法律は既に廃止されているもののそれらの法律を廃止する法律の附則で基金の業務に関する規定がなお有効とされている4の法律(注2) に基づいて、債務の保証、資金の出資、利子補給金の支給等各種の業務を実施している。

(出資金等の推移)

 基金は、特定産業信用基金から承継した、日本開発銀行(平成11年10月1日に解散し、同日付で設立された日本政策投資銀行が同行及び北海道東北開発公庫の一切の権利及び義務を承継した。以下、これらを合わせて「政策銀行」という。)からの出資金80億円及び民間企業等からの出資金14億8702万円、計94億8702万円を資本金とし、また民間企業等からの出えん金7億0953万円を承継して設立された。
 その後、基金では上記業務の追加に応じ、その財源として国及び政策銀行からの出資金並びに民間企業等からの出資金及び出えん金を受け、その出資金及び出えん金(以下「出資金等」という。)の額は図のとおり年々増加しており、平成13年度末の出資金等は1026億5302万円となっている。

図 出資金等の推移

図出資金等の推移

(勘定区分等)

 基金では、民活法等の規定により、各業務ごとの経理を明確にするために、その経理を一般勘定及び6つの特別勘定に区分して整理しており、これらの勘定において更に各業務に対応した資金を設置して経理している。これらの勘定、資金、業務、根拠法律の関係をまとめると、13年度末現在では表1のとおりとなっている。

表1
勘定 資金 業務 根拠法律 注(1)
一般勘定 特別施設整備促進円滑化推進資金 利子補給 民活法
新事業創出促進推進資金 利子補給 構造転換法
情報提供 省エネ・リサイクル支援法
大学等技術移転促進法
新事業創出促進法
産業再生法
助成 大学等技術移転促進法
信用資金 債務保証 民活法
頭脳立地法
研究体制整備法
輸入・対内投資法
流通業務市街地整備法
事業革新円滑化法
地域産業集積活性化法
大学等技術移転促進法
新事業創出促進法
産業再生法
出資特別勘定 新事業創出促進出資資金 出資 構造転換法
繊維法 注(2)
新事業創出促進法
新規事業法
商業集積法
輸入・対内投資法
中心市街地活性化法
商業集積特別勘定 中心市街地商業活性化推進資金 利子補給 中心市街地活性化法
特定商業集積推進資金 情報提供 商業集積法
中心市街地活性化法
特定商業集積信用資金 債務保証 商業集積法
中心市街地活性化法
輸入促進特別勘定 輸入促進基盤整備出資資金 出資 輸入・対内投資法
エネルギー使用合理化特別勘定 エネルギー使用合理化推進資金 利子補給 省エネ・リサイクル支援法
エネルギー使用合理化信用資金 債務保証 省エネ・リサイクル支援法
再生資源利用等特別勘定 再生資源利用等推進資金 利子補給 省エネ・リサイクル支援法
再生資源利用等信用資金 債務保証 省エネ・リサイクル支援法
債務保証特別勘定 新事業創出促進信用資金 債務保証 新事業創出促進法
新規事業法
注(1) 根拠法律 法律の名称については略称で記述している。正式名称については、(注1)(注2) 参照。
注(2) 繊維法 繊維産業構造改善臨時措置法(昭和42年法律第82号)、この法律は、中小企業総合事業団法(平成11年法律第19号)により廃止、廃止前に実行した出資については、出資特別勘定で経理している。

2 基金各業務の状況

(債務保証業務)

 基金では、民活法等に基づき、民間企業等の市中銀行等からの事業資金の調達のための借入れ及び発行する社債について、債務保証業務を実施している。
 そして、基金が主務大臣の承認を得て定めた産業基盤整備基金業務方法書(以下「業務方法書」という。)において、基金は、新規事業法及び新事業創出促進法による債務保証については出資金等から毎事業年度の利益又は損失を加減した額の6倍、それ以外の法律による債務保証については出資金等から毎事業年度の利益又は損失を加減するなどした額の10倍に相当する金額(以下「債務保証限度額」という。)まで債務の保証業務を行うことができることとしている。
 この債務保証業務には、特定産業信用基金から承継した出資金などを原資として行うこととされ一般勘定で経理しているものと、基金の設立後特定の法律に基づき債務保証業務を実施するために国等から追加出資等を受け、これを他勘定と区分するために特別勘定を設置して経理しているものとがある。そして債務保証業務を経理している特別勘定は、商業集積特別勘定(商業集積法及び中心市街地活性化法)、エネルギー使用合理化特別勘定(省エネ・リサイクル支援法)、再生資源利用等特別勘定(同)及び債務保証特別勘定(新規事業法及び新事業創出促進法)となっている。
 13年度末現在、上記の債務保証業務のための原資として、基金は一般勘定と各特別勘定を合わせて472億余円の出資金等を受けており、これらの出資金等から算出される13年度中の債務保証限度額の合計は3391億余円となっている。

(出資業務)

 基金では、新規事業法等に基づき、これらの要件を満たす民間企業、第3セクター等に対し、資金の出資業務を実施している。そして、これらの出資業務のための原資として、各法律に基づいて、国、政策銀行から計270億1655万円の出資金を受けており、これらを利用した民間企業等への資金の出資額は、13年度末で264億1300万円となっている。

(利子補給業務)

 基金では、民活法等に基づき、政策銀行及び沖縄振興開発金融公庫(以下、これらを「政策銀行等」という。)又は地域振興整備公団に対し、これらの機関が行う民間企業等への貸付けに対し利子補給金を支給する業務を実施している。
 そして、利子補給金の財源については、民活法及び中心市街地活性化法については利子補給業務のために出資された出資金の運用益で賄う方式としており、基金では、国及び政策銀行から計284億円の出資金を受けている。また、構造転換法及び省エネ・リサイクル支援法の再生資源利用等分については、債務保証業務のために出資された出資金の運用益で賄う方式としている。一方、省エネ・リサイクル支援法のエネルギー使用合理化分については、その支給額全額を国からの補助金で賄う方式としている。

3 検査の背景及び着眼点

 基金は、民活法に基づく債務保証業務を行うことにより資金の融通を円滑にすることを目的として設立されたが、その後、その時々の経済情勢に弾力的に対応するため、各種の政策目的を持つ立法措置により、その業務を拡大させてきている。そして、前記のとおり、これらの財源としては、補助金等ではなく、新規の施策が実施される際に国等から必要額の出資を受けるという方式をとっているものがほとんどとなっている。
 一方、行政改革の一環として、13年12月の「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)において、基金については、集中改革期間中である14年4月1日から18年3月31日までに業務内容の見直しを行った上で廃止し、中小企業総合事業団の業務を承継する法人等に統合することとされた。
 このような状況を踏まえ、これまでの基金の業務の実施状況を総括するとともに、今後基金の業務を承継する法人で実施される事業にいかしていくことを念頭に置いて、基金の利子補給業務及び債務保証業務の実施状況、国の財政負担等によりこれまでに拠出されてきた出資金の活用状況に着眼して検査を実施した。
 なお、基金が実施している業務のうち、出資業務については、平成12年度決算検査報告第4章「財投機関の決算分析について」 において、出資先企業の欠損金等の状況を掲記している。

4 検査の状況

(利子補給業務の実施状況)

 基金の利子補給業務の実施状況を各根拠法律別に見ると、構造転換法が8年に廃止されたことなどから表2のとおり支給実績が年々減少しており、このうち、民活法及び中心市街地活性化法による利子補給金の支給については、次のように全く実績がなく出資金が有効に活用されていない状況となっていた。

表2 利子補給金の支給実績の推移
(単位:百万円)
年度
法律名
昭62〜平3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
構造転換法 1,251 583 611 542 458 370 282 216 148 99 15 4,579
省エネ・リサイクル支援法                        
エネルギー使用合理化分     1 15 16 15 13 11 9 7 92
再生資源利用等分     0 0 0 1 1 1 1 1 1 10
民活法        
中心市街地活性化法              
1,251 583 611 544 474 388 300 231 161 110 24 4,682
(注)
網掛けは制度自体がないもの、「—」は制度はあるが実績がないもの

 

(注)

ア 民活法による利子補給業務の実施状況について
 基金では、7年11月に改正された民活法に基づき経済産業大臣の認定を受けた研究開発・企業化基盤施設、国際見本市場等の特定産業基盤施設を整備する民間企業等に対する、政策銀行等の日本電信電話株式会社の株式売却益を利用した低利貸付(以下「NTT低利貸付」という。)に対し、政策銀行等に利子補給金を支給することとなっていた。
 この利子補給金は、貸付金利が年3.5%以上の貸付けを対象として支給されるものとされ、業務方法書により8年3月から12年3月までの間に政策銀行等が実施した上記貸付けについて、その残高に年0.5%を上限として乗じた額を18年3月まで利子補給金として支給することとなっていた。
 基金は、この利子補給金の財源として、8年3月に国から272億円の出資金を受けている。この出資金の額は、上記特定産業基盤施設の整備事業の1件当たりの事業費を130億円、これらの事業の年間実施件数を9件とし、これに政策銀行等の融資比率40%、利子補給幅0.5%を乗じて得た金額2億3400万円に、この規模の事業が5年間毎年実施されるとして算出した11億7000万円を年間の利子補給金額とし、この額を7年8月当時の運用利回り4.3%で運用益として生み出すのに必要な額として算定されていた。
 基金は、8年10月に、政策銀行等と利子補給契約を締結したが、これ以降、政策銀行にはNTT低利貸付の実績はあるものの、貸付利率が2.0%から3.0%と3.5%以上となっているものがなかったことなどから、利子補給金の支給対象となる貸付けが、対象期限である12年3月まで、1件の実績もない状況となっていた。
 そして、基金では、12年3月で利子補給金の支給対象となる貸付けの貸付対象期間が終了し、利子補給金を支給する可能性がなくなった後においても、出資金272億円を保有、管理していた。
イ 中心市街地活性化法による利子補給業務の実施状況について
 基金では、10年7月に施行された中心市街地活性化法に基づき、経済産業大臣の特定事業計画の認定を受けた民間企業等が行う店舗等の特定商業施設等整備事業に対する貸付けに対し、貸付けを行った政策銀行等に利子補給金を支給することとなっている。
 この利子補給金は、政策銀行等が実施した上記貸付けについて、財投金利が3.0%以上の場合は、貸付金利と3.0%の差、財投金利が3.0%未満の場合は、貸付金利と財投金利の差について、業務方法書において、それぞれ0.4%を上限として支給することとされた。
 基金は、この利子補給金の財源として、10年8月に政策銀行より12億円の出資金を受けている。この出資金の額は、上記特定商業施設等整備事業に対する融資残高を90億円として、これに、利子補給幅0.4%を乗じた3600万円を年間の利子補給金額とし、この額を、9年12月当時の運用利回り3.0%で運用益として生み出すのに必要な額として算定されていた。
 基金は、10年11月に、政策銀行等と利子補給契約を締結したが、これ以降、政策銀行等による上記特定商業施設等整備事業への貸付けがなかったことから、利子補給金の支給対象となる貸付けは、13年度末まで、1件の実績もない状況となっている。
 そして、基金では、利子補給金の支給対象となる貸付けの貸付対象期間も限定されていないこともあり、出資金12億円を保有、管理していた。

(債務保証業務の実施状況)

 基金の債務保証業務の実施状況を各根拠法律別に見ると表3のとおりとなっており、このうち、一般勘定で経理されている流通業務市街地整備法など3つの法律及び商業集積特別勘定で経理されている中心市街地活性化法に基づく債務保証の実績は皆無となっている。また、各年度末における基金全体の債務保証残高と債務保証限度額とを比較すると、いずれの年度も債務保証残高は債務保証限度額を大きく下回っており、13年度末においても、債務保証限度額3391億余円に対し債務保証残高は259億余円にすぎない状況となっている。

表3 債務保証実績等の推移
(単位:百万円)
年度
法律名
昭63〜平3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 保証累計 13年度末保証残高
民活法 40 717 350 450 380 1,937 1,106
頭脳立地法 413 250 380 460 420       1,923 316
研究体制整備法 5,670 665 360 6,695 11
輸入・対内投資法   394 311 852 686 280 323 19 2,867 112
事業革新円滑化法         700 6,080 7,660 1,260 15,700 12,703
産業再生法                 1,000 1,000 1,000
流通業務市街地整備法    
地域産業集積活性化法            
大学等技術移転促進法              
商業集積法 200 600 2,000 900 3,700 1,519
中心市街地活性化法              
省エネ・リサイクル支援法                          
エネルギー使用合理化分     170 170
再生資源利用等分     160 830 70 580 1,030 2,670 2,110
新規事業法 133 350 2,170 2,019 1,634 4,510 2,793 3,087 3,077 336 20,110 6,944
新事業創出促進法               122 122 88
債務保証実績 計 5,843 1,628 3,174 2,871 3,816 7,046 5,790 10,810 11,328 2,556 2,030 56,894 25,914
債務保証限度額 a   228,850 271,214 265,230 316,819 314,839 311,998 414,036 382,223 353,706 339,178    
債務保証残高 b   8,206 10,544 12,199 14,031 18,545 21,495 28,468 32,996 29,722 25,914    
債務保証率 b/a(%)   3.6% 3.9% 4.6% 4.4% 5.9% 6.9% 6.9% 8.6% 8.4% 7.6%    
(注)
網掛けは制度自体がないもの、「—」は制度はあるが実績がないもの

 

(注)

産業基盤整備基金における債務保証業務及び利子補給業務についての図1

 これらのうち、特別勘定を設置し特に債務保証業務のための出資金等を受けているが、この出資金等の額から見て債務保証業務の実績が低調となっている省エネ・リサイクル支援法、新規事業法及び新事業創出促進法の3法律に係る債務保証の実施状況についてみると、次のとおりである。
ア 省エネ・リサイクル支援法による債務保証業務の実施状況について
 基金では、省エネ・リサイクル支援法に基づき事業者が主務大臣の承認を受けて行う特定事業活動に必要な資金等の借入れに対して債務保証を行うこととなっており、このうち、エネルギー使用合理化に関する債務保証の財源として国から6年1月に21億0100万円の出資金を受けている。
 この出資金の額は、エネルギー有効利用型産業用認定設備等の融資対象事業費に民間融資比率、債務保証限度割合等を乗じるなどして必要となる債務保証対象額を220億円とし、これを保証倍率の10で除した22億円から、当時の予算節減分として4.5%を減じることにより算定されていた。
 しかし、債務保証の実績は、7年9月に、1社1億7000万円を実施した以降全くなく、13年度末の債務保証残高もなく著しく低調となっている。
イ 新規事業法による債務保証業務の実施状況について
 基金では、元年度から新規事業法に基づき債務保証業務を行っている。当初、この債務保証業務の経理については一般勘定において実施していたが、10年度からは債務保証特別勘定を設置して区分経理している。そして、その原資となる出資金等は、同勘定を設置した際に一般勘定から振り替えられた70億9000万円(政策銀行及び民間企業等からの出資金等)及び10年8月に政策銀行から追加出資を受けた122億5000万円の計193億3998万余円となっている。
 このうち、出資金122億5000万円の額は、1社当たりの債務保証対象額15億円のものが77社分あるとして、必要となる債務保証対象額を1155億円とし、この額から既存の保証枠420億円を控除した735億円を保証倍率の6で除すことにより算定されていた。
 しかし、各年度末における債務保証残高は最大でも11年度末の109社分125億8682万余円、13年度末では88社分69億4494万余円となっていて、これは上記必要債務保証対象額の1155億円に比べ低調となっている。
ウ 新事業創出促進法による債務保証業務の実施状況について
 基金では、新事業創出促進法に基づき債務保証を行うこととなっており、その財源として、政策銀行から11年3月に95億円の出資金を受けている。
 この出資金の額は、1社当たりの債務保証対象額15億円のものが38社分あるとして、必要となる債務保証対象額を570億円としこれを保証倍率の6で除すことにより算定されていた。
 しかし、債務保証の実績は、11年12月に、1社1億2250万円を実施したのみで、13年度末の債務保証残高は8872万余円と著しく低調となっている。

(債務保証履行後の管理状況)

 基金では、債務保証契約に基づき、保証した債務の弁済が履行されない場合において、貸付機関、社債権者(以下「貸付機関等」という。)から保証履行の請求があった場合には、審査を行った上で保証債務を履行(以下「代位弁済」という。)している。新規事業法等に基づく債務保証に係る代位弁済額は、9年度に最初の代位弁済を行って以来13年度末までに35社分94億5660万余円に上っている。そして、このうち、11億0459万余円を13年度に償却している。
 基金の代位弁済額、求償権の回収額、年度末求償権残高、回収率等の年度ごとの実績は表4のとおりとなっている。

表4 代位弁済額等の推移 (単位:千円)
年度 9 10 11 12 13
代位弁済額 425,454 1,638,252 4,067,149 1,786,287 1,539,462 9,456,607
回収額 500 574,000 767,215 151,601 193,655 1,686,972
年度末求償権残高 424,954 1,489,206 4,789,141 6,423,826 6,665,034
償却額 1,104,599 1,104,599
回収率 0.1% 27.8% 13.8% 2.3% 2.8%  
(注)
 回収率=当該年度の求償権の回収額/(前年度末求償権残高+当該年度代位弁済額−当該年度償却額)

 

(注)

 そして、このうち、求償権の回収状況を見ると、これまで被保証者、再保証人から計16億8697万余円を回収しているものの、求償権残高は年々増加しており13年度末現在におけるその残高は、66億6503万余円となっている。
 また、基金が貸付機関等から代位弁済を求められ、基金において審査中のものが、7社11億5589万余円あったり、被保証者が貸付機関等に延滞しているものもあったりして、今後、代位弁済額の増加が見込まれる状況となっている。

5 本院の所見

 基金の債務保証業務及び利子補給業務は、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進、エネルギーの使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進、中心市街地の活性化、新たな事業の創出の促進等を図るため、これらの事業に必要な資金の融通を円滑にすることを目的としたものであり、そのために国等から出資された額は多額に上っている。
 しかし、我が国の経済が長期にわたり低迷する中、事業者の資金需要が縮小したり、低金利下において利子補給の効果が低下しているなどの事情もあり、基金の債務保証業務及び利子補給業務の中には実績が皆無となっていたり、著しく低調となっているものがある状況となっている。また、近年では、新規事業法による債務保証を中心に多額の代位弁済が発生し、求償権の残高が年々増加している。
 基金の廃止及び基金の業務を承継する法人の設立については、第155回国会(臨時会、14年10月18日召集)に独立行政法人中小企業基盤整備機構法案等の関連法案が提出されており、この中で、政策的必要性が低下したと判断された債務保証業務や利子補給業務を廃止するなどの措置が盛り込まれている。一方、その業務に要する出資金については、新法人が承継する業務を確実に実施するために必要な資産以外の資産は機構成立の時に国が承継するなどの措置が盛り込まれているが、その具体的な額等については、今後政令等において定められることになる。この際には、必要額を的確に把握するよう努めることが肝要である。また、将来、上記の新法人等に新たな業務を実施させる場合にも、その業務に要する資金の額については、政策目的のみならず対象となる事業者の意向や経済情勢等も踏まえて的確な額を把握することが望まれる。
 なお、求償権の回収については、基金において既に取組を始めているところであるが、中小企業総合事業団の業務を承継する法人等への移行を控え、一層の回収促進を図ることが重要である。

(注1) 11の法律
  (1) 民活法 民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和61年法律第77号)
  (2) 省エネ・リサイクル支援法 エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法(平成5年法律第18号)
  (3) 大学等技術移転促進法 大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律(平成10年法律第52号)
  (4) 新事業創出促進法 新事業創出促進法(平成10年法律第152号)
  (5) 産業再生法 産業活力再生特別措置法(平成11年法律第131号)
  (6) 研究体制整備法 産業技術に関する研究開発体制の整備等に関する法律(昭和63年法律第33号)
  (7) 輸入・対内投資法 輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法(平成4年法律第22号)
  (8) 流通業務市街地整備法 流通業務市街地の整備に関する法律(昭和41年法律第110号)
  (9) 地域産業集積活性化法 特定産業集積の活性化に関する臨時措置法(平成9年法律第28号)
  (10) 商業集積法 特定商業集積の整備の促進に関する特別措置法(平成3年法律第82号)
  (11) 中心市街地活性化法 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(平成10年法律第92号)
(注2) 4の法律
  (1) 構造転換法 産業構造転換円滑化臨時措置法(昭和62年法律第24号)[この法律は、「産業構造転換円滑化臨時措置法を廃止する法律」(平成8年法律第49号)により廃止。ただし、廃止の際現に行われている基金の利子補給についての本法の規定は、廃止法の施行日から5年を経過する日までの間、なおその効力を有する。]
  (2) 頭脳立地法 地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律(昭和63年法律第32号)[この法律は、新事業創出促進法により廃止。ただし、廃止の際現に行われている基金の債務保証業務については引き続き実施。]
  (3) 事業革新円滑化法 特定事業者の事業革新の円滑化に関する臨時措置法(平成7年法律第61号)[この法律は、産業再生法により廃止。ただし、事業革新円滑化法に規定する承認事業革新計画に従って事業を行う者に関する基金の債務保証業務及び事業革新円滑化法の廃止の際現に行われている基金の債務保証業務については、引き続き実施。]
  (4) 新規事業法 特定新規事業実施円滑化臨時措置法(平成元年法律第59号)[この法律は、「新事業創出促進法の一部を改正する法律」(平成11年法律第223号)により廃止。ただし、新規事業法に定める認定計画に係る特定新規事業の実施に関する基金の債務保証業務及び新規事業法の廃止の際現に行われている基金の債務保証業務については、引き続き実施。]