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  • 平成14年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 厚生労働省|
  • 平成13年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

特定求職者雇用開発助成金と中小企業雇用創出人材確保助成金との併給調整について


(1)特定求職者雇用開発助成金と中小企業雇用創出人材確保助成金との併給調整について

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 特定求職者雇用開発助成金(以下「特開金」という。)は、高年齢者など就職が特に困難な者(以下「特定求職者」という。)の雇用機会の増大を図るため、特定求職者を雇い入れた事業主に対し、特定求職者に支払った賃金の一部を助成するものである。特開金の支給を受けようとする事業主は、公共職業安定所に対し、特定求職者の氏名等を記載した支給申請書及び添付書類を提出することとなっている。そして、公共職業安定所は、支給申請書等の記載内容を確認の上、支給要件に適合しているかなどについて審査して支給を決定し、これに基づいて都道府県労働局(以下「労働局」という。)が特開金を支給することとなっている。
 また、中小企業雇用創出人材確保助成金(以下「雇用創出助成金」という。)は、中小企業者で新たな事業分野への進出又は事業の開始に必要となる労働者(以下「対象労働者」という。)を新たに雇い入れた事業主に対し、対象労働者に支払った賃金の一部を助成するものである。雇用創出助成金の支給を受けようとする事業主は、雇用・能力開発機構(以下「機構」という。)の都道府県センター(以下「センター」という。)に対し、対象労働者の氏名等を記載した支給申請書及び添付書類を提出することとなっている。そして、センターは、支給申請書等の記載内容を確認の上、支給要件に適合しているかなどについて審査して支給を決定し、これに基づいて雇用創出助成金を支給することとなっている。
 特開金及び雇用創出助成金は、賃金の一部をそれぞれ助成するものであることから、特定求職者に該当し、かつ、対象労働者にも該当する労働者(以下「両助成該当労働者」という。)に対して、特開金と雇用創出助成金を併給することはできないこととなっている。
 そこで、両助成該当労働者に対して、特開金と雇用創出助成金との併給調整が適正に行われているか検査したところ、両助成該当労働者について特開金が雇用創出助成金と併給されており、不適正な支給と認められる事態が見受けられた。
 このような事態が生じているのは、事業主が誠実でないことなどにもよるが、主として、労働局の下に設置されている公共職業安定所と厚生労働省が所管している機構のセンターとの間において、相互に連絡調整する体制が整備されていないなどのため、併給について審査・確認が十分でないこと及び厚生労働省において、労働局及び機構に対する指導が十分でないことによると認められた。

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 特開金等の支給の適正化を図るため、次のとおり、厚生労働大臣に対し平成14年11月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。
(ア) 労働局とセンターとの間において、併給について相互に連絡調整する体制を整備することなどにより併給について審査・確認を徹底させること
(イ) 特開金と雇用創出助成金との併給調整について、労働局及び機構に対して十分指導すること

2 当局が講じた是正改善の処置

 厚生労働省では、本院指摘の趣旨に沿い、14年11月及び15年4月に労働局等に対し通知等を発するなどして、次のような処置を講じた。
(ア) 労働局とセンターとの間において、支給決定の有無を照会するなど併給について相互に連絡調整する体制を整備することなどにより審査・確認を徹底させることとした。
(イ) 特開金と雇用創出助成金との併給調整に係る的確な審査・確認について、労働局及び機構に対して指導した。