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  • 平成15年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第9 独立行政法人種苗管理センター、      第10独立行政法人林木育種センター、      第11独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構、      第12独立行政法人農業生物資源研究所、      第13独立行政法人農業環境技術研究所、      第14独立行政法人農業工学研究所、      第15独立行政法人食品総合研究所、      第16独立行政法人国際農林水産業研究センター、      第17独立行政法人森林総合研究所、      第18独立行政法人水産総合研究センター|
  • 平成13年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

国から承継した資産等に係る会計経理について


国から承継した資産等に係る会計経理について

 

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 独立行政法人は、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務・事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものなどについて効率的かつ効果的に行わせることを目的として、国が有する権利及び義務を承継して設立されたものである。
 独立行政法人の設立の際に国から承継される権利及び義務は、〔1〕 国の部局又は機関の所属に属する土地、建物等に関する権利及び義務、〔2〕 独立行政法人の設立の際、現に国の部局又は機関に使用されている物品に関する権利及び義務、〔3〕 独立行政法人の業務に関し国が有する権利及び義務のうち〔1〕及び〔2〕以外のものであって、主務大臣が指定するものとなっている。
 独立行政法人の会計は、原則として企業会計原則によるものとされている。そして、独立行政法人の有する公共的な性格等の特殊性を踏まえて企業会計原則に必要な修正を加えた独立行政法人会計基準(以下「会計基準」という。)等が公表され、独立行政法人がその会計を処理するに当たって従わなければならない基準とされた。また、そこに定められていない事項については一般に公正妥当と認められる企業会計原則に従うものとされている。
 独立行政法人の制度については、国による事前関与・統制を極力排し、事後チェックへの重点の移行を図ることとされ、この事後チェックのためには業績評価が正しく行われるように正確な財務報告が求められるところである。
 そこで、独立行政法人の最初の決算期となる平成13事業年度の決算に当たり、国から承継された権利及び義務が財務諸表等に適正に計上されているかなどについて検査したところ、10独立行政法人において、次のとおり会計基準等に照らして適切でない事態が見受けられた。

(1)承継資産の計上について

ア 10独立行政法人では、国が12年度に新規に調達して独立行政法人に承継した会計システムのソフトウェアについて、国において消耗品として取り扱われ承継財産リストに登載されていなかったことなどから、評価額はないとして財務諸表に計上していなかった。
イ 7独立行政法人では、国から承継した電話加入権について、承継時において適正な時価評価ができなかったなどとして、財務諸表に計上していなかった。

(2)国有資産の維持・運営に要する費用の計上について

 10独立行政法人では、国が独立行政法人等の研究業務を支援するために設置した共同利用施設を対価を支払わないで利用しているが、国においてこれら施設の維持・運営に要する費用のうち当該独立行政法人の業務に係る費用を財務諸表に計上していなかった。
 このような事態が生じているのは、13事業年度は独立行政法人として設立されて1年目と日が浅いこと、会計基準等の運用に係る助言等が必ずしも十分でなかったことにもよるが、各独立行政法人において会計基準、企業会計原則等に関する理解が十分でなかったことなどによると認められた。

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 第2期の財務諸表等の作成に向けて、会計基準、企業会計原則等に関する理解を深め、資産及び費用等の認識・計上処理を適切に行い、財務諸表等の真実性の向上を期する要があるとして、10独立行政法人の理事長に対し14年11月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。

2 当局が講じた是正改善の処置

 各独立行政法人では、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じた。
(1)ソフトウェア及び電話加入権を財務諸表に計上していなかった事態については、14事業年度の財務諸表に計上し、正確な財務情報を開示した。
(2)国が設置した共同利用施設の維持・運営に要する費用のうち当該独立行政法人の業務に係る費用を財務諸表に計上していなかった事態については、15事業年度から、施設を維持・運営する国から各独立行政法人ごとに費用の通知を受け、財務諸表の注記事項に行政サービス実施コストに準ずる費用として注記することとした。
 なお、15事業年度における上記行政サービス実施コストに準ずる費用を法人別に示すと、次のとおりである。

法人名 行政サービス実施コストに準ずる費用
 
独立行政法人種苗管理センター 3,917,748
独立行政法人林木育種センター 10,773,808
独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
(15年9月30日以前は独立行政法人農業技術研究機構)
311,236,634
独立行政法人農業生物資源研究所 78,476,490
独立行政法人農業環境技術研究所 154,774,822
独立行政法人農業工学研究所 45,834,888
独立行政法人食品総合研究所 43,822,105
独立行政法人国際農林水産業研究センター 12,670,825
独立行政法人森林総合研究所 42,115,796
独立行政法人水産総合研究センター 38,198,047