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  • 平成15年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第22 独立行政法人理化学研究所|
  • 平成14年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況 物品の管理について

物品の管理について


物品の管理について

(平成14年度決算検査報告参照)

1 本院が要求した是正改善の処置

(検査結果の概要)

 独立行政法人理化学研究所(以下「理研」という。)は、独立行政法人理化学研究所法(平成14年法律第160号)に基づいて、平成15年10月1日に理化学研究所(以下「旧研究所」という。)から一切の権利及び義務を承継して設立された。そして、科学技術基本計画の策定を受けて理研が研究を行っている分野に重点的に研究資源が配分されているため、理研の事業費は増加してきており、組織も研究所を新たに開設するなど拡大してきている。また、組織の拡大に伴い、研究等の用に供するための物品も増加してきている。
 旧研究所の物品管理については、会計規程(平成12年規程第4号)等の定めるところによるほか、物品管理事務取扱要領(平成12年達第42号。以下「要領」という。)の定めるところにより行うこととされていた。そして、要領により、和光本所経理部長(以下「経理部長」という。)は、物品の管理に関する事務を総括し、固定資産台帳を備えて、旧研究所全体の物品の増減額、現在額等を明らかにし、物品の管理について必要な調整をすることとなっていた。また、物品管理役である経理部長及び各研究所の研究推進部長等は、物品管理簿を備えて、その研究所等に属する物品の管理を行うこととなっていた。さらに、物品使用責任者である各課長等は、物品使用簿を備えて、所属組織の物品について、その使用者を指定するなどの管理を行うこととなっていた。
 そこで、物品の管理が適切に行われているかに着眼し、帳簿の整備状況について検査するとともに、14事業年度末現在固定資産台帳に登載されている物品及び同事業年度中に除却した物品を対象として検査したところ、次のとおり物品の管理について適切とは認められない事態が見受けられた。

(1)研究所等によっては、物品管理役により備えることとされている物品管理簿が作成されていなかったり、物品使用責任者により備えることとされている物品使用簿が要領に規定されていない固定資産カードで代用されていて、過去の管理状況等が把握できない状態となっていたりしていた。

(2)14事業年度末現在の固定資産台帳に廃止された研究室等が管理箇所として記載されるなどしていて帳簿の記載が適切でないものなどがあった。

 このような事態が生じているのは、適切な物品管理に対する認識が十分でなかったことのほか、理研の予算の増加に伴い、10事業年度以降、研究用機器の取得も増大し、また、新しい研究所の設置や組織の見直しに伴う研究室等の改廃等が行われてきたにもかかわらず、要領等に基づいて事務の適切な処理が行われているか確認が十分でなかったこと、十分な事務処理体制の見直しがなされていなかったことなどによると認められた。

(検査結果により要求した是正改善の処置)

 正確な物品管理の実態を把握するとともに、物品の管理の適正を期するため、次のとおり、独立行政法人理化学研究所理事長に対し15年11月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求した。

(1)物品管理に携わる者に物品管理に対する認識を徹底させ、必要な帳簿を整備して正確に記帳することにより、各研究所における物品の現況を十分把握して適正かつ効率的な管理を図ることができるようマニュアル等を作成すること

(2)物品管理を適切に行うよう事務処理体制の整備を図ること

2 当局が講じた是正改善の処置

 理研では、本院指摘の趣旨に沿い、正確な物品管理の実態を把握するとともに、物品の管理の適正が図られるよう、次のような処置を講じた。

(1)物品管理に携わる者に物品管理に対する認識を徹底させるため、15年11月に理事長より全職員に対して物品の適正な管理を行うよう指示を行った。そして、帳簿を整備して正確に記帳するため、新たな物品管理システムにより物品管理簿及び物品使用簿を整備するとともに、物品の適正かつ効率的な管理を図るため、マニュアルとして「物品管理事務の手引」を16年2月に作成し、これによる説明会を全研究所に対して3月から4月までの間に開催した。

(2)物品管理を適切に行うよう事務処理体制の整備を図るため、撤去申請書等の確認、データ入力等を行う職員等の増員及び事務手続等に係る役割分担の明確化を行った。