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  • 平成15年度|
  • 第6章 歳入歳出決算その他検査対象の概要|
  • 第2節 歳入歳出決算等検査対象別の概要|
  • 第7 政府関係機関及びその他の団体|
  • 2 国が資本金の2分の1以上を出資している法人の決算|
  • [2]公団、事業団等の決算|
  • (その他)

預金保険機構


(7)預金保険機構

 この機構は、預金者等の保護及び破綻金融機関に係る資金決済の確保を図るため、次のような業務を行うことなどにより、もって信用秩序の維持に資することを目的として設置されているものである。

(ア)金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に必要な保険金等の支払等を行うとともに、破綻金融機関に係る合併等に対する適切な資金援助等を行う業務、金融整理管財人の業務、及び金融整理管財人の管理に係る金融機関の業務を承継する銀行の設立、当該設立された銀行の経営管理等を行う業務
(イ)金融危機に対応するため必要と認められた場合において、金融機関の株式等の引受け等を行う業務
(ウ)住宅金融専門会社から財産を譲り受けてその処理等を行う会社を設立し、当該設立された会社に対して資金援助等を行う業務
(エ)金融機関等の資産の買取り等を行う業務
(オ)金融機関等が発行する株式等の引受け等を協定銀行に委託し、これに伴い必要となる財務上の支援を行う業務
(カ)組織再編成金融機関等が発行する優先株式等の引受け等又は協同組織中央金融機関からの信託受益権等の買取りを協定銀行に委託し、これに伴い必要となる財務上の支援を行う業務
(キ)株式会社産業再生機構の設立の発起人となり、及び同会社に出資を行う業務

 その資本金は15事業年度末現在で54億5500万円(うち国の出資51億5000万円)となっている。
 同機構の会計は、一般、危機対応、特定住宅金融専門会社債権債務処理、金融再生、金融機能早期健全化、金融機関等経営基盤強化及び産業再生の7勘定に区分して経理されている。このうち、金融機関等経営基盤強化勘定は、金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法(平成14年法律第190号)第18条の規定により、同機構が15事業年度から新たに上記(カ)の業務を行うこととなり、これに関する経理を行うために設置されたものである。また、産業再生勘定は、株式会社産業再生機構法(平成15年法律第27号)第47条の規定により、同機構が15事業年度から新たに上記(キ)の業務を行うこととなり、これに関する経理を行うために設置されたものである。
 同機構の勘定別の15事業年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。

(一般勘定)

 この勘定は、ペイオフコスト(金融機関が破綻した場合、預金者一人当たりの保険金の支払限度額は1000万円とされ、これを基に計算した保険金の支払を行うときに要すると見込まれる費用)以内の資金援助等の実施に関する経理を行うものである。
 なお、15事業年度において、預金保険法(昭和46年法律第34号)附則第21条の規定により、ペイオフコストを超える特別資金援助等の実施に関する経理を行っていた特例業務勘定に属する資産及び負債は、一般勘定に承継されている。

1 収入支出決算

区分 15事業年度 (14事業年度)
   千円 千円
(収入)      
 収入決定済額 9,015,257,934 5,597,319,868
(支出)      
 支出予算現額 13,963,526,031 7,881,740,651
 支出決定済額 9,403,861,448 5,654,155,729
 不用額 4,559,664,582 2,227,584,922

 不用額の主なものは、借入返済金(支出予算現額10兆0745億円)の2兆9570億円、協定銀行貸付金(同3兆6569億円)の1兆5569億円及び事業外費用(借入金の利息等。同517億5678万円)の441億6129万余円である。

2 損益

区分 15事業年度 (14事業年度)
   千円 千円
 経常収益 742,728,120 523,719,846
 (うち保険料収入) (522,106,574) (509,944,606)
 経常費用 230,070,457 1,389,160,346
 (うち国庫納付金) (168,363,199) (−)
 特別損失 284
 当期利益金(△当期損失金) 512,657,378 △865,440,500
(利益金又は損失金の処理)      
 翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 512,657,378
 翌事業年度に繰越欠損金として整理 865,440,500
(繰越欠損金 4,006,504,413(注) 3,055,395,961)
 14事業年度限りで廃止された特例業務勘定に属していた資産等を承継したことに伴い、繰越欠損金に85,667,951千円の開差がある。

3 借入金等

区分 15事業年度末 (14事業年度末)
   千円 千円
借入金残高 (市中金融機関) 4,174,600,000 3,926,400,000
預金保険機構債券発行残高 1,140,000,000

4 主な業務実績

区分 15事業年度 (14事業年度)(注1)
破綻した金融機関からの買取資産(貸付金)の回収(注2) 金額 9,818,457千円 10,121,530千円
事業年度末買取資産残高 金額 74,193,198千円 84,011,655千円
   上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に機構において開示している債権      
    破綻先債権 14,952,909千円 14,684,086千円
    延滞債権 38,185,882千円 42,862,728千円
    3ヵ月以上延滞債権 1,574,041千円 2,091,726千円
    貸出条件緩和債権 1,142,531千円 481,562千円
   55,855,365千円 60,120,104千円
貸倒引当金(注) 48,648,795千円 49,517,159千円
(注) 貸倒引当金に計上する金額は、破綻先、実質破綻先の債務者に係る債権については、債権額から担保の処分可能見込額等を控除した額とされている。また、破綻懸念先の債務者に係る債権については、債権額から担保の処分可能見込額等を控除し、その残額のうち債務者の支払能力を総合的に判断して必要と認める額とされている。上記以外の債務者に係る債権については、過去の一定期間における貸倒実績に基づき算出した貸倒実績率を債権額に乗じた額とされている。
(注1)  14事業年度は、特例業務勘定の業務実績である。
(注2)  10年2月の預金保険法の改正が行われる前までは、預金保険機構が株式会社整理回収銀行に対して破綻した金融機関の資産の買取りを委託できるのは、信用組合に限られていたため、同機構は10年1月に破綻した株式会社阪和銀行の貸付金等資産2082億余円を直接買い取っている。

(危機対応勘定)

 この勘定は、金融危機対応会議の議を経て、内閣総理大臣の認定を受けて行う金融危機への対応業務の実施に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

区分 15事業年度 (14事業年度)
   千円 千円
(収入)      
 収入決定済額 3,460,400,511
(支出)      
 支出予算現額 3,932,119,225
 支出決定済額 3,460,360,023
 不用額 471,759,201

 不用額の主なものは、借入返済金(支出予算現額1兆9661億円)の4661億円及び事業外費用(借入金の利息。同58億9830万円)の55億9057万余円である。

2 損益

区分 15事業年度 (14事業年度)
   千円 千円
 経常収益 (事業外収益) 511
 経常費用 748,544
 (うち事業外費用) (696,250) (−)
 当期損失金 748,032
(損失金の処理)      
 翌事業年度に繰越欠損金として整理 748,032

3 借入金

区分 15事業年度末 (14事業年度末)
   千円 千円
借入金残高 (市中金融機関) 1,960,400,000

4 主な業務実績

区分 15事業年度 (14事業年度)
株式の引受け 金融機関数 1金融機関
   金額 1,960,000,000千円

(特定住宅金融専門会社債権債務処理勘定)

 この勘定は、旧住宅金融専門会社から譲り受けた貸付債権等の財産の管理、回収及び処分等を行う債権処理会社への助成金の交付、借入れに係る債務の保証、納付金の収納等に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

区分 15事業年度 (14事業年度)
   千円 千円
(収入)      
 収入決定済額 14,043,108 13,805,878
(支出)      
 支出予算現額 14,225,881 14,001,271
 支出決定済額 14,069,082 13,774,918
 不用額 156,799 226,353

2 損益

区分 15事業年度 (14事業年度)
   千円 千円
 経常収益 27,865,293 26,398,723
 (うち資産運用収入) (13,779,912) (12,614,981)
 (うち金融安定化拠出基金戻入) (13,510,545) (12,577,560)
 経常費用 70,110,285 52,886,218
 (うち債権処理会社助成事業費) (55,760,986) (39,065,055)
 特別損失 204
 当期損失金 42,245,196 26,487,494
(損失金の処理)      
 翌事業年度に繰越欠損金として整理 42,245,196 26,487,494
(繰越欠損金 122,369,780 95,882,285)

3 金融安定化拠出基金

区分 15事業年度末 (14事業年度末)
   千円 千円
金融安定化拠出基金残高 909,061,899 908,792,532

4 主な業務実績

区分 15事業年度 (14事業年度)
債権処理会社への業務推進助成金の交付 金額 13,510,545千円 12,577,560千円

(金融再生勘定)

 この勘定は、一般金融機関からの資産の買取り等を行う特定協定銀行に対する貸付け等に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

区分 15事業年度 (14事業年度)
   千円 千円
(収入)      
 収入決定済額 6,671,512,126 8,354,849,113
(支出)    
 支出予算現額 18,461,910,525 15,452,712,198
 支出決定済額 7,156,807,625 7,718,336,201
 不用額 11,305,102,899 7,734,375,996

 不用額の主なものは、特定協定銀行貸付金(支出予算現額5兆7408億円)の5兆5220億円、借入返済金(同10兆6437億円)の4兆6080億円及び協定銀行貸付金(同1兆4884億円)の7535億円である。

2 損益

区分 15事業年度 (14事業年度)
   千円 千円
 経常収益 484,522,337 237,102,551
 (うち資産買取事業収入) (42,618,759) (38,272,202)
 経常費用 462,445,962 475,569,053
 (うち資産買取事業費) (129,645,346) (62,852,950)
 当期利益金(△当期損失金) 22,076,375 △238,466,501
(利益金又は損失金の処理)      
 翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 22,076,375
 翌事業年度に繰越欠損金として整理 238,466,501
(繰越欠損金 1,008,343,121 769,876,619)

3 借入金等

区分 15事業年度末 (14事業年度末)
   千円 千円
借入金残高 (市中金融機関) 3,464,900,000 5,655,800,000
預金保険機構債券発行残高 1,200,000,000

4 主な業務実績

区分 15事業年度 (14事業年度)
特定協定銀行への一般金融機関からの資産の買取りの委託 金融機関数 89金融機関 110金融機関
金額 64,147,435千円 205,697,889千円

(金融機能早期健全化勘定)

 この勘定は、金融機関等の株式等の引受け等(資本増強)を行う協定銀行に対する資金の貸付け等に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

区分 15事業年度 (14事業年度)
   千円 千円
(収入)      
 収入決定済額 8,894,119,548 10,995,662,486
(支出)      
 支出予算現額 9,097,022,000 14,035,589,544
 支出決定済額 8,481,439,467 10,995,803,985
 不用額 615,582,532 3,039,785,558

 不用額の主なものは、協定銀行貸付金(支出予算現額4兆8636億円)の5982億8980万円及び事業外費用(債券の利息等。同492億7436万余円)の170億7558万余円である。

2 損益

区分 15事業年度 (14事業年度)
   千円 千円
 経常収益 93,756,165 50,028,886
 (うち協定銀行納付金収入) (59,983,046) (18,638,263)
 (うち協定銀行貸付金利息収入) (33,771,845) (31,390,550)
 経常費用 32,043,360 30,192,052
 (うち事業外費用) (31,912,416) (30,017,329)
 当期利益金 61,712,805 19,836,834
(利益金の処理)      
 翌事業年度に積立金として整理 61,712,805 19,836,834
(積立金 108,192,403 88,355,568)

3 借入金等

区分 15事業年度末 (14事業年度末)
   千円 千円
借入金残高 (市中金融機関) 1,273,100,000 2,084,100,000
預金保険機構債券発行残高 6,660,000,000 6,120,000,000

(金融機関等経営基盤強化勘定)

 この勘定は、組織再編成金融機関等の優先株式等の引受け等(資本増強)を行う協定銀行に対する資金の貸付け等に関する経理を行うものである。

1 収入支出決算

区分 15事業年度
   千円
(収入)   
 収入決定済額 6,100,000
(支出)   
 支出予算現額 1,334,068,288
 支出決定済額 6,042,403
 不用額 1,328,025,884

 不用額の主なものは、協定銀行貸付金(支出予算現額9994億円)の9934億円及び借入返済金(同3333億円)の3333億円である。

2 損益

区分 15事業年度
   千円
 経常収益 (協定銀行貸付金利息収入) 1,777
 経常費用 44,151
 (うち一般管理費) (42,344)
 当期損失金 42,374
(損失金の処理)   
 翌事業年度に繰越欠損金として整理 42,374

3 借入金

区分 15事業年度末
   千円
借入金残高 (市中金融機関) 6,100,000

4 主な業務実績

区分 15事業年度
協定銀行への資本増強の委託 金融機関数 1金融機関
   金額 6,000,000千円

(産業再生勘定)

〔この勘定は、株式会社産業再生機構に対する出資等に関する経理を行うものである。〕

1 収入支出決算

区分 15事業年度
   千円
(収入)   
 収入決定済額 50,135,968
(支出)   
 支出予算現額 101,147,110
 支出決定済額 50,110,715
 不用額 51,036,394

 不用額の主なものは借入返済金(支出予算現額505億円)の505億円である。

2 損益

区分 15事業年度
   千円
経常収益 (事業外収益) 348,968
経常費用 (一般管理費) 353,715
当期損失金 4,746
(損失金の処理)   
翌事業年度に繰越欠損金として整理 4,746

3 主な業務実績

区分 15事業年度
株式会社産業再生機構に対する出資 金額 49,757,000千円

 なお、この機構について検査した結果、「第4章 特定検査対象に関する検査状況」に「株式会社りそな銀行及び株式会社足利銀行に対する金融危機対応措置の実施について」 を掲記した。