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  • 平成16年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 平成14年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

一般国道の道路敷となっている国有林野の取扱いについて


(1)一般国道の道路敷となっている国有林野の取扱いについて

  平成14年度決算検査報告参照
  平成15年度決算検査報告参照

1 本院が要求した是正改善及び改善の処置

(検査結果の概要)

 林野庁では、国有林野事業特別会計所属の行政財産である国有林野を国道(道路法(昭和27年法律第180号)に基づく一般国道をいう。以下同じ。)の道路敷として使用させる場合には、国道の管理を道路整備特別会計において行う国土交通省に対して、原則として所管換をすることとしている。また、同省の事務又は事業の遂行上、所管換の手続前に、又は臨時に一定期間に限って国有林野を使用させる必要がある場合には使用承認をすることとしている。
 そして、所管換は、森林管理署が所管換を受けようとする部局等から所管換の協議を受け、森林管理局がこれを行うこととなっている。また、使用承認は、使用しようとする部局等から申請書を提出させ、森林管理署がこれを行うこととなっている。
 異なる会計間において所管換又は使用承認をする場合には、国有財産法(昭和23年法律第73号。以下「法」という。)等の規定により、財産価額が3000万円以上のものは有償によることとなっている。また、財産価額が3000万円に達しないものについては、所管換又は使用承認を有償とするか無償とするかについて、それぞれの会計の長が決定することとなっている。
 林野庁では、平成9年に、使用承認をしているすべての国道の道路敷について財産価額の調査を行い、財産価額が3000万円以上の36路線に係る国有林野及び財産価額が3000万円に達しない183路線に係る国有林野について、早期に有償により所管換をすることとし、所管換までの間は有償による使用承認とすることとしている。
 そこで、国道の道路敷となっている9森林管理局管内の国有林野について検査したところ、5森林管理局管内の財産価額が3000万円以上の路線に係る約558万m 及び9森林管理局管内の財産価額が3000万円に達しない路線に係る約624万m について、有償による所管換がされていなかったり、これらの一部について無償のまま使用承認が継続されていたりしている事態が見受けられた。
 このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められた。
(ア)森林管理局及び森林管理署において、法の規定に関する認識が十分でなく、所管換までの期間中の使用承認の更新の際、使用承認を有償へ切り替える取扱いが十分徹底されていなかったこと
(イ)使用承認をしている路線に関係する森林管理局と国土交通省の地方整備局(北海道開発局を含む。)との間及び森林管理署と道路管理者(指定区間内については国土交通大臣、指定区間外については都道府県等をいう。以下同じ。)との間において、計画的な所管換をするための定期的な連絡調整を行う場が設けられていなかったこと

(検査結果により要求した是正改善及び改善の処置)

 林野庁では、本院の検査の進行に伴い、国道の道路敷として使用承認をしている国有林野の取扱いについて、国土交通省と協議し、森林管理署及び道路管理者間の定期的な連絡調整の場を設け、所管換に係る年次計画の策定等の措置を講ずることで同省と合意するなどした。
 本院では、林野庁において、森林管理局及び森林管理署に対し、法の規定に基づく取扱いの徹底を図るなどし、更に次のような処置を講じて、有償による所管換の推進及び無償による使用承認の早期解消を図るよう、林野庁長官に対し15年11月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を要求し、及び同法第36条の規定により改善の処置を要求した。
(ア)森林管理署において、現に国道の道路敷として使用承認をしている国有林野であって財産価額が3000万円以上のものについて、道路管理者と引き続き協議して、法の規定により早期に有償により所管換をするよう年次計画を策定すること(会計検査院法第34条による是正改善の処置要求)
(イ)森林管理署において、現に国道の道路敷として使用承認をしている国有林野であって財産価額が3000万円に達しないものについて、道路管理者と引き続き協議して、国有林野事業特別会計の独立性に影響を及ぼすことなく早期に有償により所管換をするよう年次計画を策定すること(同法第36条による改善の処置要求)

2 当局の処置状況

 林野庁では、本院指摘の趣旨に沿い、国土交通省と引き続き協議している。また、森林管理署では、同省との合意に基づき、道路管理者との定期的な連絡調整の場において年次計画の策定に関し協議するなどしている。そして、本院が是正改善及び改善の処置を要求した15年11月から17年8月末までの間における、本院が検査を行った前記の9森林管理局にその他の森林管理局を加えた全森林管理局に係る年次計画の策定状況は以下のとおりである。
(ア)森林管理署では、財産価額が3000万円以上の39路線(注) に係る約691万m のうち20路線に係る約328万m について年次計画を策定しており、残りについても年次計画を策定して早期に有償により所管換などをするよう道路管理者と引き続き協議していくこととしている。
(イ)森林管理署では、財産価額が3000万円に達しない195路線(注) に係る約924万m のうち72路線に係る約254万m について年次計画を策定しており、残りについても年次計画を策定して早期に有償により所管換などをするよう道路管理者と引き続き協議していくこととしている。

新設等により新たに使用承認をするなどしたため、財産価額が3000万円以上のものは前記の平成9年における36路線から39路線へ、財産価額が3000万円に達しないものは同183路線から195路線へと、それぞれ増加している。