この機構は、預金者等の保護及び破綻金融機関に係る資金決済の確保を図るため、次のような業務を行うことなどにより、もって信用秩序の維持に資することを目的として設置されているものである。
(ア)金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に必要な保険金等の支払等を行うとともに、破綻金融機関に係る合併等に対する適切な資金援助等を行う業務、金融整理管財人の業務、及び金融整理管財人の管理に係る金融機関の業務を承継する銀行の設立、当該設立された銀行の経営管理等を行う業務
(イ)金融危機に対応するため必要と認められた場合において、金融機関の株式等の引受け等を行う業務
(ウ)住宅金融専門会社から財産を譲り受けてその処理等を行う会社を設立し、当該設立された会社に対して資金援助等を行う業務
(エ)金融機関等の資産の買取り等を行う業務
(オ)金融機関等が発行する株式等の引受け等を協定銀行に委託し、これに伴い必要となる財務上の支援を行う業務
(カ)株式会社産業再生機構の設立の発起人となり、及び同会社に出資を行う業務
(キ)金融機関等又は組織再編成金融機関等が発行する株式等の引受け等又は協同組織中央金融機関からの信託受益権等の買取りを協定銀行に委託し、これに伴い必要となる財務上の支援を行う業務
その資本金は16事業年度末現在で54億5500万円(うち国の出資51億5000万円)となっている。
同機構の会計は、一般、危機対応、特定住宅金融専門会社債権債務処理、金融再生、金融機能早期健全化、金融機関等経営基盤強化、産業再生及び金融機能強化の8勘定に区分して経理されている。このうち、金融機能強化勘定は、金融機能の強化のための特別措置に関する法律(平成16年法律第128号)第35条の規定により、16年8月1日に同機構が上記の(キ)に含まれる新たな業務を行うこととなり、これに関する経理を行うために設置されたものである。なお、同勘定については、16事業年度において経理される業務の実績はない。
同機構の勘定別の16事業年度の収入支出決算、損益、借入金等及び主な業務実績は次のとおりである。
(一般勘定)
1 収入支出決算
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
(収入) | ||
収入決定済額 | 5,813,403,642 | 9,015,257,934 |
(支出) | ||
支出予算現額 | 8,936,424,389 | 13,963,526,031 |
支出決定済額 | 6,014,841,857 | 9,403,861,448 |
不用額 | 2,921,582,531 | 4,559,664,582 |
不用額の主なものは、協定銀行貸付金(支出予算現額2兆7102億円)の1兆4595億円、借入返済金(同6兆1002億円)の1兆4269億円及び事業外費用(借入金の利息等。同408億2785万円)の329億5754万余円である。
2 損益
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
経常収益 | 656,581,956 | 742,728,120 |
(うち保険料収入) | (529,386,943) | (522,106,574) |
経常費用 | 139,773,869 | 230,070,457 |
(うち国庫納付金) | (75,416,357) | (168,363,199) |
特別損失 | 9,974 | 284 |
当期利益金 | 516,798,112 | 512,657,378 |
(利益金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 | 516,798,112 | 512,657,378 |
(繰越欠損金 | 3,493,847,035 | 4,006,504,413) |
3 借入金等
区分 | 16事業年度末 | (15事業年度末) |
千円 | 千円 | |
借入金残高 | 2,127,500,000 | 4,174,600,000 |
(市中金融機関) | ||
預金保険機構債券発行残高 | 2,140,000,000 | 1,140,000,000 |
4 主な業務実績
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) | ||
協定銀行への特別危機管理銀行からの資産の買取りの委託(注1) | 金額 | 61,517,565千円 | — | |
破綻した金融機関からの買取資産(貸付金)の回収(注2) | 金額 | 23,361,716千円 | 9,818,457千円 | |
事業年度末買取資産残高 | 金額 | 50,831,482千円 | 74,193,198千円 | |
上記のうち民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考に機構において開示している債権 | ||||
破綻先債権 | 13,564,983千円 | 14,952,909千円 | ||
延滞債権 | 30,354,433千円 | 38,185,882千円 | ||
3ヵ月以上延滞債権 | 919,431千円 | 1,574,041千円 | ||
貸出条件緩和債権 | 717,220千円 | 1,142,531千円 | ||
計 | 45,556,068千円 | 55,855,365千円 | ||
貸倒引当金(注) | 42,123,136千円 | 48,648,795千円 | ||
(注) | 貸倒引当金に計上する金額は、破綻先、実質破綻先の債務者に係る債権については、債権額から担保の処分可能見込額等を控除した額とされている。また、破綻懸念先の債務者に係る債権については、債権額から担保の処分可能見込額等を控除し、その残額のうち債務者の支払能力を総合的に判断して必要と認める額とされている。上記以外の債務者に係る債権については、過去の一定期間における貸倒実績に基づき算出した貸倒実績率を債権額に乗じた額とされている。 |
(注1) | 預金保険法(昭和46年法律第34号)第129条第1項の規定による特別危機管理銀行からの資産の買取り |
(注2) | 10年2月の預金保険法の改正が行われる前までは、預金保険機構が株式会社整理回収銀行に対して破綻した金融機関の資産の買取りを委託できるのは、信用組合に限られていたため、同機構は10年1月に破綻した株式会社阪和銀行の貸付金等資産2082億余円を直接買い取っている。 |
(危機対応勘定)
1 収入支出決算
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
(収入) | ||
収入決定済額 | 3,021,318,151 | 3,460,400,511 |
(支出) | ||
支出予算現額 | 3,044,919,749 | 3,932,119,225 |
支出決定済額 | 3,021,248,398 | 3,460,360,023 |
不用額 | 23,671,350 | 471,759,201 |
不用額の主なものは事業外費用(債券の利息等。支出予算現額286億9551万余円)の235億6947万余円である。
2 損益
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
経常収益 | 8,526,510 | 511 |
(うち取得株式等事業収入) | (8,347,500) | (—) |
経常費用 | 1,949,775 | 748,544 |
(うち事業外費用) | (1,927,421) | (696,250) |
当期利益金(△当期損失金) | 6,576,734 | △748,032 |
(利益金又は損失金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金として整理 | — | 748,032 |
翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 | 748,032 | — |
翌事業年度に積立金として整理 | 5,828,701 | — |
(繰越欠損金 | 748,032 | —) |
3 借入金等
区分 | 16事業年度末 | (15事業年度末) |
千円 | 千円 | |
借入金残高 | 353,400,000 | 1,960,400,000 |
(市中金融機関) | ||
預金保険機構債券発行残高 | 1,600,000,000 | — |
(特定住宅金融専門会社債権債務処理勘定)
1 収入支出決算
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
(収入) | ||
収入決定済額 | 18,096,298 | 14,043,108 |
(支出) | ||
支出予算現額 | 18,251,754 | 14,225,881 |
支出決定済額 | 18,124,504 | 14,069,082 |
不用額 | 127,250 | 156,799 |
2 損益
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
経常収益 | 33,857,916 | 27,865,293 |
(うち金融安定化拠出基金戻入) | (15,746,421) | (13,510,545) |
(うち資産運用収入) | (15,712,111) | (13,779,912) |
経常費用 | 93,779,655 | 70,110,285 |
(うち債権処理会社助成事業費) | (75,671,163) | (55,760,986) |
特別損失 | 2,712 | 204 |
当期損失金 | 59,924,450 | 42,245,196 |
(損失金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金として整理 | 59,924,450 | 42,245,196 |
(繰越欠損金 | 164,614,976 | 122,369,780) |
3 金融安定化拠出基金
区分 | 16事業年度末 | (15事業年度末) |
千円 | 千円 | |
金融安定化拠出基金残高 | 909,027,589 | 909,061,899 |
4 主な業務実績
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) | |
債権処理会社への業務推進助成金の交付 | 金額 | 15,746,421千円 | 13,510,545千円 |
(金融再生勘定)
1 収入支出決算
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
(収入) | ||
収入決定済額 | 4,468,555,307 | 6,671,512,126 |
(支出) | ||
支出予算現額 | 15,271,536,757 | 18,461,910,525 |
支出決定済額 | 4,357,387,636 | 7,156,807,625 |
不用額 | 10,914,149,120 | 11,305,102,899 |
不用額の主なものは、借入返済金(支出予算現額9兆3028億円)の5兆4956億円、特定協定銀行貸付金(同4兆7408億円)の4兆6534億円及び資産買取事業費(同4278億3310万円)の3778億4305万余円である。
2 損益
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
経常収益 | 474,322,446 | 484,522,337 |
(うち資産買取事業収入) | (96,270,701) | (42,618,759) |
経常費用 | 337,742,844 | 462,445,962 |
(うち資産買取事業費) | (44,678,574) | (129,645,346) |
特別損失 | 466 | — |
当期利益金 | 136,579,135 | 22,076,375 |
(利益金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 | 136,579,135 | 22,076,375 |
(繰越欠損金 | 986,266,746 | 1,008,343,121) |
3 借入金等
区分 | 16事業年度末 | (15事業年度末) |
千円 | 千円 | |
借入金残高 | 1,219,600,000 | 3,464,900,000 |
(市中金融機関) | ||
預金保険機構債券発行残高 | 2,900,000,000 | 1,200,000,000 |
4 主な業務実績
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) | |
特定協定銀行への一般金融機関からの資産の買取りの委託 | 金融機関数 | 60金融機関 | 89金融機関 |
金額 | 23,326,577千円 | 64,147,435千円 |
(金融機能早期健全化勘定)
1 収入支出決算
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
(収入) | ||
収入決定済額 | 5,134,233,029 | 8,894,119,548 |
(支出) | ||
支出予算現額 | 8,674,884,811 | 9,097,022,000 |
支出決定済額 | 5,318,750,511 | 8,481,439,467 |
不用額 | 3,356,134,299 | 615,582,532 |
不用額の主なものは、協定銀行貸付金(支出予算現額4兆7063億円)の2兆7054億3948万余円及び借入返済金(同1兆9793億円)の6328億円である。
2 損益
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
経常収益 | 29,305,786 | 93,756,165 |
(うち協定銀行貸付金利息収入) | (29,302,332) | (33,771,845) |
(うち協定銀行納付金収入) | (—) | (59,983,046) |
経常費用 | 52,021,725 | 32,043,360 |
(うち事業外費用) | (29,530,250) | (31,912,416) |
(うち協定銀行損失補填金) | (22,412,129) | (—) |
特別損失 | 102 | — |
当期利益金(△当期損失金) | △22,716,041 | 61,712,805 |
(利益金又は損失金の処理) | ||
翌事業年度に積立金として整理 | — | 61,712,805 |
翌事業年度に積立金を減額整理 | 22,716,041 | — |
(積立金 | 169,905,208 | 108,192,403) |
3 借入金等
区分 | 16事業年度末 | (15事業年度末) |
千円 | 千円 | |
借入金残高 | 983,900,000 | 1,273,100,000 |
(市中金融機関) | ||
預金保険機構債券発行残高 | 5,540,000,000 | 6,660,000,000 |
(金融機関等経営基盤強化勘定)
1 収入支出決算
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
(収入) | ||
収入決定済額 | 12,121,988 | 6,100,000 |
(支出) | ||
支出予算現額 | 12,186,318 | 1,334,068,288 |
支出決定済額 | 12,124,311 | 6,042,403 |
不用額 | 62,006 | 1,328,025,884 |
2 損益
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
経常収益 | 121,174 | 1,777 |
(うち協定銀行納付金収入) | (118,704) | (—) |
経常費用 | 23,116 | 44,151 |
(うち一般管理費) | (20,895) | (42,344) |
当期利益金(△当期損失金) | 98,058 | △42,374 |
(利益金又は損失金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金として整理 | — | 42,374 |
翌事業年度に繰越欠損金の補てんに充当 | 42,374 | — |
翌事業年度に積立金として整理 | 55,683 | — |
(繰越欠損金 | 42,374 | —) |
3 借入金
区分 | 16事業年度末 | (15事業年度末) |
千円 | 千円 | |
借入金残高 | 6,000,000 | 6,100,000 |
(市中金融機関) |
なお、金融機関等経営基盤強化勘定については、金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法(平成14年法律第190号)附則第5条の規定により、16年度末をもって廃止され、廃止の際に同勘定に属する資産及び負債を金融機能強化勘定に帰属させた。
(産業再生勘定)
〔この勘定は、株式会社産業再生機構に対する出資等に関する経理を行うものである。〕
1 収入支出決算
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
(収入) | ||
収入決定済額 | 0 | 50,135,968 |
(支出) | ||
支出予算現額 | 5,981 | 101,147,110 |
支出決定済額 | 4,604 | 50,110,715 |
不用額 | 1,376 | 51,036,394 |
2 損益
区分 | 16事業年度 | (15事業年度) |
千円 | 千円 | |
経常収益 | 0 | 348,968 |
(事業外収益) | ||
経常費用 | 4,604 | 353,715 |
(一般管理費) | ||
当期損失金 | 4,604 | 4,746 |
(損失金の処理) | ||
翌事業年度に繰越欠損金として整理 | 4,604 | 4,746 |
(繰越欠損金 | 4,746 | —) |
(金融機能強化勘定)
1 収入支出決算
区分 | 16事業年度 | |
千円 | ||
(収入) | ||
収入決定済額 | — | |
(支出) | ||
支出予算現額 | 2,668,090,637 | |
支出決定済額 | — | |
不用額 | 2,668,090,637 |
不用額の主なものは、協定銀行貸付金(支出予算現額1兆9983億円)の1兆9983億円及び借入返済金(同6667億円)の6667億円である。
損益、借入金等及び主な業務実績については、該当はない。
なお、この機構について検査した結果、「第4章 国会からの検査要請事項及び特定検査対象に関する検査状況」に「株式会社日本長期信用銀行及び株式会社日本債券信用銀行に係る特別公的管理の終了に伴い実施された措置及び預金保険機構の財務の状況について」
を掲記した。