この独立行政法人は、スポーツの振興及び児童、生徒、学生又は幼児(以下「児童生徒等」という。)の健康の保持増進を図るため、その設置するスポーツ施設の適切かつ効率的な運営、スポーツの振興のために必要な援助、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、特殊教育諸学校(盲学校、聾学校又は養護学校をいう。)又は幼稚園の管理下における児童生徒等の災害に関する必要な給付その他スポーツ及び児童生徒等の健康の保持増進に関する調査研究並びに資料の収集及び提供等を行い、もって国民の心身の健全な発達に寄与することを目的として設置されているものである。その資本金は17事業年度末現在で1953億5640万余円(全額国の出資)となっている。
同法人の会計は、投票、災害共済給付、免責特約、一般及び特例業務の5勘定に区分して経理されている。
同法人の経理については、平成16年度決算検査報告に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として「スポーツ振興投票に係る財政状態及び運営状況を適切に開示するために財務諸表を正確かつ明瞭な表示に改めるよう改善させたもの」を掲記した(平成16年度決算検査報告参照
)。その概要を示すと次のとおりである。
本院の指摘により、同法人は欠損金154億0547万余円(注1) を16事業年度の貸借対照表に計上するとともに、17年9月に、18事業年度から21事業年度までの4年間で欠損金を解消するとした収支計画(注2) を策定し、スポーツ振興投票の財務の健全化に努めることとしている。そこで、前記5勘定のうちスポーツ振興投票に係る投票勘定について、17事業年度の貸借対照表、損益計算書及び主な業務実績を示すと次のとおりである。
16事業年度決算において、本院の指摘による金額15,405,479千円を費用に計上しなければ、29,764千円の当期総利益であったが、これを費用に計上したことにより、15,375,714千円の当期総損失となった。
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18年9月に、収支計画を変更し、19事業年度から29事業年度までの11年間で欠損金を解消するとした新たな収支計画案を策定した。
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(投票勘定)
1 貸借対照表
区分
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17事業年度末
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(16事業年度末)
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千円
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千円
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資産
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14,185,495
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3,637,594
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(うち工具器具備品)
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(4,137,278)
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(2,306)
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(うちソフトウェア)
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(5,376,844)
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(—)
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負債
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43,455,973
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19,141,881
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(うち未払金)
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(31,186,056)
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(18,612,304)
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(うちリース債務(長期))
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(8,260,714)
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(1,007)
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資本
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△29,270,478
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△15,504,286
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(うち当期未処理損失)
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(13,766,191)
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(15,375,714)
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2 損益計算書
区分
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17事業年度
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(16事業年度)
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千円
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千円
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経常費用
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29,018,545
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22,390,187
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(うちスポーツ振興投票業務委託費)
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(17,505,275)
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(13,798,871)
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経常収益
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15,098,253
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15,842,641
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(うちスポーツ振興投票事業収入)
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(15,098,248)
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(15,841,676)
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経常損失
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13,920,292
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6,547,546
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臨時損失
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89,648
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9,406,212
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臨時利益
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243,750
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578,043
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当期純損失
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13,766,191
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15,375,714
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当期総損失
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13,766,191
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15,375,714
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(損失の処理)
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(当期未処理損失)
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当期総損失
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13,766,191
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15,375,714
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前期繰越欠損金
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15,504,286
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128,571
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(損失処理額)
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次期繰越欠損金
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29,270,478
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15,504,286
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3 主な業務実績
区分
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17事業年度
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(16事業年度)
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千円
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千円
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スポーツ振興くじ発売総額
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14,905,303
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15,694,984
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スポーツ振興くじ助成額
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243,750
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552,722
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なお、この法人について検査した結果、「第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等」に「政府出資法人における内部監査等の状況について」 を掲記した。