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  • 保険給付

雇用保険の地域雇用開発促進助成金の支給が適正でなかったもの


(77) 雇用保険の地域雇用開発促進助成金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目
労働保険特別会計(雇用勘定)
(項)雇用安定等事業費
部局等
熊本労働局
契約の相手方
1事業主
不適正な支給となっていた地域雇用開発促進助成金
地域雇用促進特別奨励金
地域雇用促進特別奨励金の支給額
2,500,000円
(平成18年度)
不適正支給額
2,500,000円
(平成18年度)

1 保険給付の概要

(1) 地域雇用開発促進助成金

 地域雇用開発促進助成金(以下「助成金」という。)は、雇用保険(前掲「雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの」 参照)で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、同意雇用機会増大促進地域(注) (以下「促進地域」という。)等における雇用構造の改善を図るため、当該地域において事業所の施設や設備の新設・増設等(以下「事業所の整備等」という。)を行い、当該地域に居住する求職者(以下「地域求職者」という。)等を雇い入れるなどした事業主に対して支給されるもので、地域雇用促進奨励金、地域雇用促進特別奨励金(以下「特別奨励金」という。)等がある。

 同意雇用機会増大促進地域  多数の求職者が居住し、雇用機会が相当程度不足していて、その状態が相当期間にわたり継続することが認められる地域として、都道府県が当該地域に係る地域雇用開発の促進に関する計画を策定し、厚生労働大臣の同意を得た地域


(2) 特別奨励金の支給

 特別奨励金は、促進地域において事業所の整備等を行う事業主が、「事業所設置・整備及び雇入れ計画書」を公共職業安定所に提出した日から「事業所設置・整備及び雇入れ完了届」を公共職業安定所に提出した日(以下「完了日」という。)までの間に事業所の整備等の費用として合計500万円以上を支払うとともに地域求職者で過去3年間に当該事業主の事業所で雇用されたことがない者(以下「対象労働者」という。)を継続して雇用することなどが支給要件となっている。そして、支給は毎年1回(最大3回)、支給額は、事業所の整備等に要した費用と対象労働者の人数に応じ、1回当たり25万円から500万円となっている。
 特別奨励金の支給を受けようとする事業主は、事業所の整備等及びこれに伴う雇入れ完了後、「地域雇用開発促進助成金雇入れ労働者申告書」(以下「申告書」という。)等を、完了日の翌日から起算して1箇月以内に公共職業安定所に提出することとなっている。そして、公共職業安定所では、申告書等に記載されている対象労働者の過去3年間の雇用歴等を審査する。さらに、都道府県労働局では、不正受給を行った事業主でないことなどを審査した上、支給決定を行い、これに基づいて特別奨励金の支給を行うこととなっている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、全国47労働局の468公共職業安定所(平成19年3月末現在)のうち、6労働局管内の14公共職業安定所において会計実地検査を行い、18年度に助成金の支給を受けた事業主のうち43事業主を選定し、合規性等の観点から、これらの事業主に対する助成金の支給決定が適正に行われているかに着眼して、事業主から提出された申告書等の書類により検査した。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、更に当該公共職業安定所等に調査及び報告を求め、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。

(2) 不適正支給の事態

 検査したところ、熊本労働局阿蘇公共職業安定所管内における1事業主に対する特別奨励金の支給額2,500,000円全額が適正に支給されておらず、不当と認められる。
 上記の不適正支給の態様は、過去3年間に当該事業主の事業所で雇用されていた者を対象労働者に含めて申請した事業主に対し、特別奨励金を支給していたものである。
 このような事態が生じていたのは、事業主が制度を十分に理解していなかったため申告書等の記載内容が事実と相違していたのに、これに対する阿蘇公共職業安定所による調査確認が十分でないまま、熊本労働局において支給決定を行っていたことによると認められる。
 なお、この不適正支給額については、本院の指摘により、返還の処置が執られた。