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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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高年齢者等共同就業機会創出助成金の支給が適正でなかったもの


(353) 高年齢者等共同就業機会創出助成金の支給が適正でなかったもの

科目
高齢・障害者雇用支援勘定
部局等
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構
支給の相手方
1事業主
高年齢者等共同就業機会創出助成金の支給額
4,234,000円
(平成17年度)
不適正支給額
4,234,000円
(平成17年度)

1 助成金の概要

(1) 高年齢者等共同就業機会創出助成金

 独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構(以下「機構」という。)では、雇用保険(前掲「雇用保険の失業等給付金の支給が適正でなかったもの」 参照)で行う事業のうちの雇用安定事業の一環として、45歳以上の求職者等(以下「求職者」という。)を雇い入れて継続的な雇用・就業機会を創出するため、高年齢者等共同就業機会創出助成金(以下「助成金」という。)の支給に係る業務を行っている。この助成金は、45歳以上の者(以下「中高年齢者」という。)3人以上が共同して法人を設立し、求職者を雇い入れて継続的な雇用・就業機会を創出した場合に、当該法人に対し、法人の運営に要した経費等の一部を助成するものである。
 なお、機構では、助成金の支給業務については、その一部を都道府県高年齢者雇用開発協会(注) (以下「都道府県協会」という。)に委託して実施している。

 都道府県高年齢者雇用開発協会 中高年齢者の雇用の安定等を図ることを目的として各都道府県に設立された社団法人又は財団法人


(2) 助成金の支給

 助成金は、3人以上の中高年齢者がそれぞれ出資して設立した法人であって、設立登記後6箇月以上事業を営んでいる雇用保険の適用事業主(以下「事業主」という。)が、法人の運営に要する経費等、助成金の支給対象となる経費(以下「支給対象経費」という。)の支払をしたことなどが支給要件となっている。そして、支給額は、法人の設立登記の日から起算して6箇月の期間内に費用が発生し、支払が完了した支給対象経費に3分の2を乗じて得た額(ただし、500万円を限度とする。)となっている。
 助成金の支給を受けようとする事業主は、法人の設立登記年月日、事業の概要等を記載した「高年齢者等共同就業機会創出事業計画書」に法人設立の際に必要とされた書類等を添付し、これを都道府県協会を通じて機構に提出することとなっている。また、法人の設立登記の日から6箇月経過後、支給対象経費の内訳等を記載した「高年齢者等共同就業機会創出助成金支給申請書」(以下「支給申請書」という。)に支給対象経費の支払を確認できる領収書等を添付し、これを都道府県協会を通じて機構に提出することとなっている。そして、機構では、支給申請書等の内容を審査した上、支給決定を行い、これに基づいて助成金の支給を行うこととなっている。また、事実と相違する内容の申請により助成金を支給した事業主に対しては、助成金の支給決定を取り消し全額返還させることとなっている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、機構において会計実地検査を行い、平成17年度に助成金の支給を受けた事業主のうち3事業主を選定し、合規性等の観点から、これらの事業主に対する助成金の支給決定が適正に行われているかに着眼して、事業主から提出された支給申請書等の書類により検査した。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、更に機構に調査及び報告を求め、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。

(2) 不適正支給の事態

 検査したところ、1事業主に対する助成金の支給額4,234,000円全額が適正に支給されておらず、不当と認められる。
 上記の不適正支給の態様は、法人の設立登記の日から6箇月経過後も未払のままとなっている経費を支払ったこととするなど事実と相違する内容の支給申請書等を作成し、都道府県協会を通じて機構に提出していた事業主に対し、助成金を支給していたものである。
 このような事態が生じていたのは、事業主が誠実でなかったため支給申請書等の記載内容が事実と相違していたのに、機構において、これに対する調査確認が十分でないまま支給決定を行っていたことによると認められる。
 なお、この不適正支給額については、本院の指摘により、返還の処置が執られた。