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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第27 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構、第28 東日本高速道路株式会社、第29 首都高速道路株式会社、第30 中日本高速道路株式会社、第31 西日本高速道路株式会社、第32 阪神高速道路株式会社、第33 本州四国連絡高速道路株式会社|
  • 平成17年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

民営化に伴う資産の承継・評価について


民営化に伴う資産の承継・評価について

(平成17年度決算検査報告)

1 本院が求めた是正改善の処置

(検査結果の概要)

 平成17年10月1日、道路関係4公団(注1) は解散するとともに、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」という。)並びに東日本高速道路株式会社、首都高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社及び本州四国連絡高速道路株式会社(以下、これらの6会社を総称して「道路会社」という。)がそれぞれ設立された。
 道路関係4公団から機構及び道路会社にそれぞれ承継させる資産(以下「承継資産」という。)のうち、高速道路に係る構築物(トンネル、橋りょう等)、土地等の固定資産は機構が承継し、料金徴収施設等の固定資産は道路会社が承継することとされた。そして、承継資産の価額については、機構への承継資産も含めて道路会社が、標準的単金(注2) 、鑑定評価等を用いて算定した。
 そこで、正確性、合規性等の観点から、承継資産の価額が適切に算定されているか、資産の承継先は適切なものとなっているかなどに着眼して検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 承継資産の価額が過大又は過小に算定されていたもの

 誤った標準的単金を適用して資産を評価していたり、箇所ごとに一体として評価された鑑定評価等の額を個々の資産の価額に配分する際の計算等を誤ったりなどしていたため、承継資産の価額が過大又は過小に算定されていた。

(2) 資産の承継先が適切でなかったもの

 サービスエリア等における構築物等の償却資産について、機構が承継すべき資産が道路会社の資産とされていたり、道路会社が承継すべき資産が機構の資産とされていたりしていて、構築物等の承継先が適切でなかった。

(3) 機構と道路会社との間で生じた土地の使用に係る権利関係が整理されないままとなっており、適切でなかったもの

 道路会社が保有するサービスエリア等の土地について、機構に帰属させるべき駐車場等が道路会社の土地として造成されているのに、土地の使用に係る権利関係が整理されていないままとなっていた。また、サービスエリア等において、機構が承継した施設が道路会社の承継した土地にあったり、道路会社が承継した施設が機構の承継した土地にあったりしていた。
 このような事態が生じているのは、資産の評価や承継区分の作業が膨大であったことにもよるが、機構及び道路会社において、次のことなどによると認められた。
(ア) 承継資産の価額を算定するに当たり、その算定及び算定結果の確認に係る事務処理を適切に行う体制が十分でなかったこと
(イ) 資産の承継先を機構と道路会社に区分し、機構と道路会社との間で生じた土地の使用に係る権利関係を整理するに当たり、個々の施設の機能や現況等についての把握に係る事務処理を適切に行う体制が十分でなかったこと

(検査結果により求めた是正改善の処置)

 機構の理事長及び道路会社の各代表取締役社長に対し18年10月に、会計検査院法第34条の規定により、次のとおり是正改善の処置を求めた。
 すなわち、機構及び道路会社において、資産の価額を修正し、資産の承継先を適切なものとする措置を講じ、正確な資産の価額を計上した財務諸表を作成するなどするとともに、今後とも、新たに取得する資産についても、その把握・管理が適切に行われるよう、決算及び資産管理に係る事務処理を適切に行うための体制の整備を図る要がある。

2 当局が講じた処置

 本院は、機構本部、道路会社本社等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、機構及び道路会社では、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
 すなわち、機構及び道路会社では、18年度決算において、資産の価額を修正し、資産の承継先を適切なものとする措置を講じ、正確な資産の価額を計上した財務諸表を作成するなどした。そして、新たに取得する資産についても、その把握・管理が適切に行われるよう、19年7月までに、機構と道路会社との役割分担を明確化したり、機構及び道路会社のそれぞれにおいてチェック体制を強化したり、資産管理マニュアル等を作成したりするなど、決算及び資産管理に係る事務処理を適切に行うための体制の整備を図った。

 道路関係4公団  日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団
 標準的単金  近年の工事の実績を調査・集計して、資産の種類ごとに設定した標準的な単位当たりの金額であり、承継資産の価額を算定する際に用いられる。