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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第41 東日本電信電話株式会社、第42 西日本電信電話株式会社|
  • 平成17年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

第1種公衆電話の設置及び管理等について


第1種公衆電話の設置及び管理等について

(平成17年度決算検査報告参照)

1 本院が表示した意見

(検査結果の概要)

 東日本電信電話株式会社(以下「NTT東日本」という。)及び西日本電信電話株式会社(以下「NTT西日本」という。)(以下、これらを「両会社」という。)では、「公衆電話の設置について」(昭和57年電業電第39号)等に基づき、公衆電話を、〔1〕利用度にかかわらず社会生活上の安全及び戸外において最低限の通信手段を確保することを目的とした第1種公衆電話と、〔2〕多くの収益を上げることを目的とした第2種公衆電話とに区分して設置し、管理している。このうち、第1種公衆電話については、市街地ではおおむね500m四方の範囲内に1台、その他の地域ではおおむね1km四方の範囲内に1台設置することを目安とする基準により、原則として24時間不特定多数の者が利用できる場所に設置することとしている。また、両会社では、平成15年4月以降、第1種公衆電話の新設は行わないこととしている。
 国は、あまねく日本全国において公平かつ安定的な提供が確保されるユニバーサルサービスの提供を確保するため、14年6月、両会社を含む各電気通信事業者が負担金を納付し、同サービスに係る費用の一部をその負担金から交付するユニバーサルサービス基金制度を創設した。そして、両会社では、18年3月、適格電気通信事業者の指定を受けたことから、両会社が設置している第1種公衆電話から発信される市内通信、離島特例通信、緊急通報に係る営業費用を営業収益で賄えない赤字分の一部について、ユニバーサルサービス基金から費用補てんを受けられることとなった。
 そこで、効率性、有効性等の観点から、第1種公衆電話の配置や設置場所が効率的となっているか、その役割を有効に果たしているかなどに着眼して検査したところ、18年3月末における二分の一地域メッシュ(約500m四方の区画)及び基準地域メッシュ(約1km四方の区画)ごとの公衆電話の設置状況は、同一メッシュ内に第1種公衆電話が多数設置されているメッシュがある一方で、第2種公衆電話のみが設置されているメッシュや公衆電話が全く設置されていないメッシュも相当数ある状況となっていた。
 また、第1種公衆電話の設置場所についてみると、NTT東日本では12.4%、NTT西日本では13.3%が、24時間利用が可能な設置状況となっておらず、これらの中には、民間会社の独身寮や遊技場内等に設置されているなどしていて、不特定多数の者にいつでも利用できるように供されているとは認められない状況となっているものも見受けられた。
 さらに、第1種公衆電話に関する情報については、都道府県ごとの設置台数は公表されているものの、その他の情報については提供されていない状況であった。
 このような事態が生じているのは、両会社において、第1種公衆電話の設置及び管理について、現状の総設置台数とメッシュ・カバー率を維持することを重視し、第1種公衆電話の役割を有効に果たすことなどについての検討が十分に行われてこなかったことなどによると認められた。

(検査結果により表示した意見)

 両会社において、第1種公衆電話を含めた公衆電話の設置及び管理等について検討し、第1種公衆電話に係るサービスが効率的に実施され、その役割を有効に果たすよう、次のとおり、両会社の代表取締役社長に対し18年10月に会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

ア 公衆電話が設置されているメッシュについて、次のようなことを検討すること

(ア) 第1種公衆電話が複数台設置されているメッシュについて、現在の台数をそのまま残しておく必要性が乏しいと認められる場合には、同一メッシュ内に設置している公衆電話のうち、利便性が高く、多くの利用が見込まれるものの中から、必要な台数分を選択して第1種公衆電話とし、残りの第1種公衆電話は第2種公衆電話に指定替えすること
(イ) 第2種公衆電話のみが設置されているメッシュについて、地域の必要性等を勘案し、(ア)により第1種公衆電話から第2種公衆電話に指定替えした台数のうちの1台分により、同メッシュ内で利便性が高く、多くの利用が見込まれる1台を第1種公衆電話に指定替えするなどし、ユニバーサルサービスの充実を図ること

 なお、公衆電話が未設置となっているメッシュについては、公衆電話を設置しなくても特に支障はないか再度確認すること

イ 24時間利用可能な場所に設置されていない第1種公衆電話については、不特定多数の者が戸外における通信手段として有効に利用できるようにすること

ウ 第1種公衆電話に係る情報のうち、両会社の業務の遂行に支障を来すおそれがある情報等を除き、情報の提供をより一層進めること

2 当局が講じた処置

 本院は、両会社において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、両会社では、本院の指摘の趣旨に沿い、第1種公衆電話に係るサービスが効率的に実施され、その役割を有効に果たすために、第1種公衆電話の設置状況等の再検証及び検討を実施して、次のような処置を講じていた。

ア 公衆電話が設置されているメッシュについて

(ア) 第1種公衆電話が複数台設置されているメッシュについて、設置の必要性を損なわない範囲で、第1種公衆電話から第2種公衆電話へ指定替えを行った。
(イ) 第2種公衆電話のみが設置されているメッシュについて、地域の必要性等を勘案し、(ア)により第1種公衆電話から第2種公衆電話に指定替えした台数のうち、利用状況等を勘案して、24時間利用可能な第2種公衆電話を第1種公衆電話に指定替えした。

 なお、公衆電話が未設置となっているメッシュについては、設置の必要性を検証、検討した結果、地域の必要性、効率性を総合的に勘案して、現時点においては設置の必要性がないことを確認した。

イ 24時間利用可能な場所に設置されていない第1種公衆電話については、利用者の利便性などから設置しているものを除き、24時間利用可能な第2種公衆電話との指定替えを行った。

ウ 第1種公衆電話に係る情報のうち、これまで公表している都道府県別の設置台数に加え、19年3月に第1種公衆電話の単位料金区域別設置台数を公表した。
 両会社においては、上記の処置を実施するとともに、今後も引き続き第1種公衆電話の設置状況等を把握して見直しを図るため、19年8月に第1種公衆電話の配置に関する考え方などについて基本的な方針を定めた。