(平成18年度決算検査報告 参照)
社会保険庁は、事業主等から提出された健康保険・厚生年金保険適用関係の各種届書(以下、これらを「届書」という。)のデータ入力業務及び届書等を社会保険事務所等と当該データ入力を行う作業場との間で搬送する業務(以下、これらの業務を「データ入力等業務」という。)を外部の業者に委託して実施しており、平成18年度においては、富山、石川、福井各社会保険事務局(北陸ブロック)分、京都、奈良、和歌山各社会保険事務局(南近畿ブロック)分及び山口、福岡、熊本、大分各社会保険事務局(北九州ブロック)分の契約について、それぞれ一括して一般競争契約により締結していた。
このデータ入力等業務委託契約の予定価格の積算において、データ入力経費については、数字、カナ、漢字ごとの文字数に、それぞれ入力単価を乗ずるなどして算定しており、また、搬送経費については、契約期間内における搬送予定回数に、人件費等を乗ずるなどして算定していた。 そこで、経済性等の観点から、データ入力経費の算定がデータ入力業務に使用する装置の持つ効率的な機能を考慮したものとなっているか、搬送経費の算定が配送業者を活用した経済的なものとなっているかなどに着眼して前記の3ブロック分の契約について会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
ア データ入力経費については、個別の届書ごとに共通して使用する届書コードなど、同一のデータを入力する項目について固定項目の設定を行うことになっていなかったため、届書の入力データ1件ごとに届書コード等の文字数をすべて合計して積算を行っていた。
イ 搬送経費については、配送業者を活用することについての検討を行うことなく、契約期間における1週間の平均の搬送予定回数を算出して、これに人件費等を乗ずるなどして、委託業者の車両で搬送するとして積算を行っていた。
本院は、社会保険庁において予定価格の積算を適切なものとするよう、次のとおり、社会保険庁長官に対して19年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
ア データ入力経費について、データ入力業務を効率的に行うため、同一のデータを入力する項目については固定項目の設定を行い、それを前提としたデータ入力文字数を定めること
イ 搬送経費について、委託業者の車両による搬送経費と、個人情報保護等の安全性が確保された配送業者を活用した搬送経費との比較検討を十分行うこと
本院は、社会保険庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、社会保険庁は、本院指摘の趣旨に沿い、20年度に締結する契約から次のような処置を講じていた。
ア データ入力業務については、効率的にデータ入力を行うため、個別の届書ごとに変わらない項目については、データ入力項目の固定項目の設定を行い、これを前提としたデータ入力文字数を定めることとした。
イ 搬送経費については、委託業者の車両による搬送経費と、個人情報保護等の安全性が確保された配送業者を活用した搬送経費との比較を行い、より経済的な積算額を算定することとした。