会計名及び科目 | 農業共済再保険特別会計(家畜勘定) | ||
(項)農業共済組合連合会等交付金 | |||
部局等 | 農林水産本省 | ||
交付の根拠 | 農業災害補償法(昭和22年法律第185号) | ||
交付金事業者 (事業主体) |
山形県農業共済組合連合会 | ||
交付金事業 | 家畜共済損害防止事業 | ||
交付金事業の概要 | 家畜共済事業等の収支の安定を図るために、牛の健康検査、疾病の予防のための指導等の共済事故の防止の処置を行うもの | ||
事業費 | 128,019,070円 | (平成18、19両年度) | |
上記に対する交付金交付額 | 76,803,000円 | ||
不当と認める事業費 | 16,335,085円 | (平成18、19両年度) | |
不当と認める交付金相当額 | 9,800,005円 | (平成18、19両年度) |
この交付金事業は、山形県農業共済組合連合会(以下「連合会」という。)が、農業災害補償制度(後掲の「牛に係る家畜共済事業の運営において、農業共済組合連合会等が共済金算定の基礎となる基準単価を適切に設定できるようにすることにより、共済金が適切に算定されるよう改善させたもの」
参照)に基づく家畜共済事業等の収支の安定を図るために、平成18、19両年度に、農林水産大臣が定める牛の尿石症等7疾病を対象として、健康検査、疾病の予防のための指導等の共済事故の防止の処置を行ったものである。交付対象事業費は、「家畜共済の事務取扱要領及び事務処理要領について」(昭和61年61農経B第804号農林水産省経済局長通知)等に基づき、獣医師の前年度における自動車の使用実績から算出した自動車の1km当たりの単価(以下「1km当たりの単価」という。)に当年度における本件交付金事業で使用した自動車の走行距離を乗じて算出した自動車の使用料、薬剤費等の経費とされている。
そして、連合会は、本件交付金事業を18年度58,013,880円、19年度70,005,190円、計128,019,070円(交付対象事業費同額)で実施したとして、農林水産本省に実績報告書を提出して、これに対して交付金18年度34,803,000円、19年度42,000,000円、計76,803,000円の交付を受けていた。
本院は、農林水産本省及び連合会において、合規性等の観点から、交付金事業の経理が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件交付金事業について、実績報告書等の書類により検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、連合会は、交付決定時の交付対象事業費どおりに事業を実施したこととするために、この交付対象事業費から薬剤の購入費の実績額等を差し引いた残額全額を自動車の使用料とすることとし、これを1km当たりの単価で除して走行距離(18年度374,288.9km、19年度504,838.7km、計879,127.6km)を算出していた。そして、自動車の実際の走行距離を把握することなく、獣医師等が作成する勤務表に、本件交付金事業に係る合計距離がこの距離に合致するように記入させていた。
そこで、本院が勤務表等に記入された上記の処置の実施箇所を基に自動車の走行距離を計測したところ、18年度154,865km、19年度175,528km、計330,393kmとなり、上記の獣医師等が記入した勤務表の合計距離はこれに比べて著しく過大となっていた。このことなどから自動車の使用料が過大に算定されて、交付対象事業費が過大に精算されていた。
このような事態が生じていたのは、連合会において、本件交付金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、農林水産本省において、実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件交付金事業に係る18、19両年度の適正な交付対象事業費は、次表のとおり、計111,683,985円となり、前記の交付対象事業費計128,019,070円との差額計16,335,085円が過大に精算されていて、これに係る交付金相当額計9,800,005円が不当と認められる。
年度 | 交付対象事業費 | 交付金交付額 | 適正な交付対象事業費 | 過大に精算されていた交付対象事業費 | 左に係る交付金相当額 |
平成18 | 58,013,880 | 34,803,000 | 51,250,551 | 6,763,329 | 4,057,377 |
19 | 70,005,190 | 42,000,000 | 60,433,434 | 9,571,756 | 5,742,628 |
計 | 128,019,070 |
76,803,000 | 111,683,985 | 16,335,085 | 9,800,005 |