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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第13 環境省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(819) 廃棄物処理施設整備事業の実施に当たり、仕様書で定めた設備能力についての確認が十分でないまま施設の引渡しを受けたなどのため施設が所期の機能を発揮できず、補助の目的を達していないもの


(819) 廃棄物処理施設整備事業の実施に当たり、仕様書で定めた設備能力についての確認が十分でないまま施設の引渡しを受けたなどのため施設が所期の機能を発揮できず、補助の目的を達していないもの

会計名及び科目
一般会計 (組織)環境省 (項)廃棄物処理施設整備費
部局等
鹿児島県
補助の根拠
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
補助事業者
(事業主体)
鹿児島県日置郡市来町(平成17年10月11日以降はいちき串木野市)
補助事業
廃棄物処理施設整備
補助事業の概要
一般ごみと肉骨粉から燃料ガスを生成する施設と、このガスを主燃料として発電する施設を整備するもの
事業費
860,788,765円
(平成14、15両年度)
補助対象事業費
745,566,560円
(平成14、15両年度)
上記に対する国庫補助金交付額
247,938,000円
 
不当と認める補助対象事業費
745,566,560円
(平成14、15両年度)
不当と認める国庫補助金交付額
247,938,000円
(平成14、15両年度)

1 補助事業の概要

 廃棄物処理施設整備費国庫補助金は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)等に基づき、廃棄物の円滑かつ適正な処理を行うことにより生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的として、ごみ処理施設等の廃棄物処理施設の整備を行う市町村等に対して交付されるものである。そして、同法によると、国及び都道府県は、当該施設の整備を行おうとする市町村等に対して必要な技術的援助を与えることに努めなければならないこととされている。
 本件補助事業は、鹿児島県日置郡市来町(平成17年10月11日以降はいちき串木野市)が、14、15両年度に、新技術を導入して一般ごみと肉骨粉を混合して処理する廃棄物処理施設を総事業費860,788,765円(補助対象事業費745,566,560円、国庫補助金247,938,000円)で整備したものである。同施設は、一般ごみと肉骨粉を混合して処理することにより燃料ガスを発生させるためのごみ処理施設と、発生した燃料ガスを主燃料、軽油等を補助燃料として発電するための発電施設(最大900kW)から成るものであり、本件補助事業は、これらの施設のうち、ごみ処理施設及び発電した電力をごみ処理施設の自家消費に充てる分(252kW)の発電施設の設置に必要な経費の一部を補助するものである。
 なお、同町は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(15年9月30日以前は新エネルギー・産業技術総合開発機構)から、上記の発電した電力が商用電源として売電事業に供される発電機4基分に相当する発電施設を対象として、地域新エネルギー導入促進対策費補助金の交付を受けている(同機構の補助金に係る指摘事項については、後掲「地域新エネルギー導入促進事業で設置した発電施設が、ごみ処理施設から発電に適した燃料ガスが供給されないため稼動することができず、補助の目的を達していないもの」 参照)。
 そして、同町は、本件施設の建設工事等の契約を締結するに当たり、発注仕様書において、1日当たりごみ処理能力、ごみ処理施設から生成される燃料ガスの流量、組成等の条件、燃料ガスを主燃料として発電を行う場合の発電出力等を定めていた。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性、有効性等の観点から、施設が発注仕様書どおりの能力を有していて、計画どおりに稼働しているかなどに着眼して、いちき串木野市において、現地の状況を確認するとともに、実績報告書等の関係書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
 市来町が16年2月に発電施設の引渡しを受けた際には、ごみ処理施設で生成された燃料ガスを使った引渡し確認試験は実施しておらず、また、同年3月にごみ処理施設の引渡しを受けた当時も、ごみ処理施設からは発電が可能となる燃料ガスが生成されていなかったことから、生成ガスの燃料としての適格性を確認できていない状況であった。
 そして、同町は、上記のとおり設備能力の確認ができていないのに、施設が完成したとする検査調書を添付するなどして、鹿児島県に実績報告書を提出していた。
 また、施設の引渡し以降、ごみ処理施設は低調な稼働状況となっており、ごみ処理施設から生成される燃料ガスは燃料としての適格性を欠いていて、発電施設は燃料ガスによる稼働ができない状況となっていた。
 このような状況において、いちき串木野市は、本件施設の改善に向けた取組を行うとしていたものの、改良工事の費用が多額に上り、確実な効果も見込めないこと、基本設計業者等の協力が得られないことなどから、改良工事等を行っておらず、全く改善のめどが立たないため、依然としてごみ処理施設の稼働は低調であり、発電施設は稼働しないままとなっていた。
 したがって、本件補助事業で整備した施設は、一般ごみと肉骨粉を混合して処理することにより燃料ガスを生成して、これを主燃料として発電するという補助の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金247,938,000円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、次のようなことなどによると認められる。
ア 市来町において、仕様書で定めた設備能力を十分確認しないまま施設の引渡しを受けて、実績報告書を提出するなど、本件補助事業の適正な実施に対する認識を欠いていたこと
イ 環境省及び鹿児島県において、廃棄物処理施設整備事業の事業主体に対して、新技術を導入して廃棄物処理施設を整備する際には十分検討を行う必要があることについての周知が徹底していなかったこと