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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第23 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構|
  • 不当事項|
  • 補助金

(846) 地域新エネルギー導入促進事業で設置した発電施設が、ごみ処理施設から発電に適した燃料ガスが供給されないため稼働することができず、補助の目的を達していないもの


(846) 地域新エネルギー導入促進事業で設置した発電施設が、ごみ処理施設から発電に適した燃料ガスが供給されないため稼働することができず、補助の目的を達していないもの

科目
(新エネルギー勘定)
電源多様化業務経理
 
(項)その他の石油代替エネルギー開発等事業費
部局等
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(平成15年9月30日以前は新エネルギー・産業技術総合開発機構)本部
補助の根拠
石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律(昭和55年法律第71号)
補助事業者
(事業主体)
鹿児島県日置郡市来町(平成17年10月11日以降はいちき串木野市)
補助事業
地域新エネルギー導入促進事業(平成14、15両年度)
補助事業の概要
未利用資源(一般ごみと肉骨粉)を処理することにより発生したガスを主燃料として発電する施設を整備するもの
事業費
152,250,000円
(平成14、15両年度)
補助対象事業費
109,511,850円
(平成14、15両年度)
上記に対する機構の補助金交付額
54,755,925円
 
不当と認める補助対象事業費
109,511,850円
(平成14、15両年度)
不当と認める機構の補助金交付額
54,755,925円
 

1 補助事業の概要

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(平成15年9月30日以前は新エネルギー・産業技術総合開発機構。以下「機構」という。)は、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律(昭和55年法律第71号)、地域新エネルギー導入促進対策費補助金交付規程(平成10年度規程第17号。以下「交付規程」という。)等に基づき、国の補助金を財源として、地域新エネルギー導入促進対策費補助金を交付している。
 この補助金は、地域における新エネルギー導入の促進のための計画を策定した地方公共団体に対して、その計画に係る新エネルギー導入事業(以下「導入事業」という。)の実施に必要な経費の2分の1以内の額を補助するものである。
 機構は、鹿児島県日置郡市来町(17年10月11日以降はいちき串木野市)が14、15両年度に実施した導入事業に対して、それぞれ15年3月26日及び16年3月26日に同町から実績報告書の提出を受けて、補助金54,755,925円(補助対象事業費109,511,850円)を交付している。
 この導入事業は、町内で発生する一般ごみと肉骨粉を混合して処理することにより燃料ガスを発生させるためのごみ処理施設及び発生した燃料ガスを主燃料、軽油等を補助燃料として発電するための発電施設(発電機6基、最大900kW)を設置するものであり、本件補助事業は、これらの施設のうち、発電した電力を商用電源として売電事業に供する分(発電機4基、最大600kW)の発電施設の設置に必要な経費を補助するものである。
 なお、同町は、環境省から、上記のごみ処理施設及び発電した電力をごみ処理施設の自家消費に充てる分の発電施設の導入事業を対象として、廃棄物処理施設整備費国庫補助金の交付を受けている(同省の国庫補助金に係る指摘事項については、前掲の「廃棄物処理施設整備事業の実施に当たり、仕様書で定めた設備能力についての確認が十分でないまま施設の引渡しを受けたなどのため施設が所期の機能を発揮できず、補助の目的を達していないもの」 参照)。
 そして、同町は、発電施設の建設工事等の契約を締結するに当たり、発注仕様書において、流量、組成等の条件を満たした燃料ガスを主燃料として発電を行う場合の発電出力等を定めていた。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性、有効性等の観点から、事業が交付規程等に基づき適切に実施されているか、発電施設は計画どおりに稼働しているかなどに着眼して、機構本部及びいちき串木野市において、現地の状況を確認するとともに、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
 市来町は、16年2月に軽油のみを用いて本件発電施設の完成検査を行っていたものの、本件補助金に係る実績報告書を機構に提出した同年3月26日の時点では、ごみ処理施設は未完成であり、同町は、発注仕様書に定められた燃料ガスの流量、組成等の条件等を満たしているかを確認できていなかった。
 そして、同町は、上記のとおり発注仕様書に定められた条件等の確認ができていないのに、仕様書のとおり施工されているとする検査調書を添付して、機構に実績報告書を提出していた。
 その後、同年3月29日に完成したとするごみ処理施設から実際に供給される燃料ガスは、発電を行うために十分な量ではなかったり、発電機を損傷させるおそれのある腐食成分を含んでいたりしたため、発電施設をほとんど稼働させることができなかった。
 このような状況において、いちき串木野市は、本件ごみ処理施設及び発電施設の改善に向けた取組を行うとしていたものの、改良工事の費用が多額に上り、確実な効果も見込めないこと、基本設計業者等の協力が得られないことなどから、改良工事等を行っておらず、全く改善のめどが立たないため、20年10月現在、本件発電施設は依然として稼働していないままとなっていた。
 したがって、本件補助事業で整備した発電施設は、一般ごみと肉骨粉を混合して処理することにより発生した燃料ガスを主燃料として発電するという補助の目的を達しておらず、これに係る補助金54,755,925円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められる。
ア 市来町が、事実と異なる内容の検査調書を添付して実績報告書を機構に提出したり、長期にわたり本件施設の改善を図れていなかったりするなど、本件補助事業の適正な実施に対する認識を欠いていたこと
イ 機構が、実績報告書の審査及び確認並びに同町に対する本件補助事業の適正な実施についての指導を十分行っていなかったこと