総務省は、地方団体に対して、市町村合併に係る財政需要額として、合併後のまちづくりのために都道府県が交付する補助金等の経費、市町村が合併準備のために必要とする経費及び合併関係市町村が合併市町村の一体性の速やかな確立を図るために必要とする経費に係る額(以下「合併支援経費等」という。)を地方団体から報告させて、その報告額の2分の1に相当する額等を特別交付税で措置している。この特別交付税の額の算定において、合併支援経費等に係る財政需要が適切に報告されていなかったり、報告額が決算額を上回り多額の開差が生じたりするなどしていて、特別交付税が地方団体の財政需要の決算額に基づいて算定した額と比べて過大に措置されるなどしている事態が見受けられた。
したがって、総務省において、適正な財政需要に基づき特別交付税を交付できるようにするための規定を整備するとともに、地方団体に対して、事業費等を精査して可能な限り適切な報告額を報告して、報告後に報告額に変動が生じたものについてはその額を翌年度に報告するように要請することにより、財政需要を適切に把握して、当該年度の報告額に過年度の開差額を反映させて特別交付税の額を減額するなどの処置を講ずるよう、総務大臣に対して平成20年10月に、会計検査院法34条の規定により是正改善の処置を求め及び同法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、総務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、総務省は、本院指摘の趣旨に沿い、20年10月までに特別交付税に関する省令(昭和51年自治省令第35号)の改正、地方団体に対する合併支援経費等に係る算定資料の精査実施の要請、合併関係項目に係る特別交付税算定資料の検査要領の整備等の処置を講じていた。さらに、21年8月までに19年度の合併支援経費等に係る財政需要の決算額及び開差額を地方団体から報告させ、また、整備した検査要領に基づき、19年度の特別交付税の算定資料の検査を自ら実施したり、都道府県に検査を実施させて報告をさせたりすることにより、財政需要を把握して、上記の改正した省令に基づき、20年度の特別交付税の算定資料の報告額に19年度の開差額を反映させて特別交付税を減額する処置を講じていた。