ページトップ
  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第6 外務省|
  • 平成19年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

政府開発援助の効果の発現について


政府開発援助の効果の発現について

(平成19年度決算検査報告 2か所参照    参照)

1 本院が表示した意見

 外務省、独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)等の援助実施機関が行う政府開発援助について、〔1〕 無償資金協力において、ガーナ共和国が資材調達型の援助により建設した橋りょうの安全性及び耐久性が損なわれていたり、モザンビーク共和国が我が国の援助により実施したかんがい施設の改修は完了していたが他の援助国・機関の援助により実施する改修が遅れているためかんがい施設が十分に効果を発揮していなかったりしている事態、〔2〕 円借款において、インドが建設した火力発電所の稼働実績が計画を大幅に下回っていたり、同国が建設したアンモニアプラントが稼働していなかったりしている事態が見受けられた。
 したがって、外務省及び機構において、資材調達型の援助については相手国が行う工事の完成時に出来型の確認を行ったり、相手国の事業計画に多数の国等が関係している場合には相手国及び関係国等との調整を綿密に行い事業の早期完了に向けて進ちょくが一層図られるように努めたり、事後評価及び事後モニタリングで得られた教訓及び提言が十分に活かされるように積極的な事後監理に取り組んだりなどして、援助の効果が十分に発現するよう、外務大臣及び独立行政法人国際協力機構理事長に対して平成20年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

 本院は、外務本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、外務省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア ガーナ共和国が我が国の援助により建設した橋りょうについては、その安全性及び耐久性が回復されるよう同国事業実施機関に働きかけを行った結果、高力ボルトが欠落するなどしていた1橋りょうについては、20年8月にボルトを補充するなどの手直し工事が行われ、同国事業実施機関及び機構が現状を確認した橋りょうのうち不具合のあった4橋りょうについては、21年7月までにボルトを補充するなどの必要な手直し工事が行われた。また、機構は、同年6月に無償資金協力実施監理業務の手引き等を改訂して、今後実施する資材調達型の援助については、相手国実施機関からすべての施設の現状を網羅した報告書の提出を受けるとともに、可能な限り外務省又は機構の担当者が現地へ赴くなどして、相手国が行う工事の出来型の確認を行うこととした。
イ モザンビーク共和国が我が国の援助により改修したかんがい施設については、十分に効果が発揮されるよう同国及び関係国等に働きかけを行った結果、21年7月に他の援助国・機関の援助により実施する予定の改修工事について、イスラム開発銀行の資金協力により調査が開始され、かんがい施設が十分に活用される見通しとなった。また、同月に外務省及び機構は、在外公館及び機構在外事務所に文書を発して、今後実施する複数の関係国等が関与する援助については、案件形成の際に相手国及び関係国等との連絡・調整を綿密に行い、関係国等の事業参加の確実性等について情報を収集したり、関係国等との会合等を通じて関係国等の活動のモニタリングを行ったりして、事業が早期に実現するように働きかけることとした。
ウ インドが我が国の円借款により実施した火力発電所、アンモニアプラント両建設事業については、十分に稼働するよう同国事業実施機関に働きかけを行った結果、同国事業実施機関の負担によりナフサからLNGへの燃料又は原料の転換等を図るコンサルタント契約が締結された。また、機構は、21年8月に通達を発して、今後実施する円借款について、事後評価及び事後モニタリングで得られた教訓及び提言が十分に活用されるよう、現状の把握、適時適切な助言等の積極的な事後監理に取り組むこととするとともに、同年7月に通達を発して、案件形成時や審査時において、相手国政府の助成政策や原料の国際市場価格動向等について適切な調査と検討を行うこととした。