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  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 厚生労働省|
  • 平成19年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

生活保護事業の実施における詐取等の事態の防止について


(1) 生活保護事業の実施における詐取等の事態の防止について

平成19年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

 生活保護の実施に当たり、社会福祉法(昭和26年法律第45号)に規定する福祉に関する事務所等(以下「福祉事務所」という。)において、保護費等の支給事務等が適正に行われていなかったために現業を担当する所員(以下「現業員」という。)等による保護費の詐取、領得、事務け怠(事務処理を怠って保護費を過大に支給するなどしていたもののうち、懲戒処分を受けたものをいう。)及び亡失(以下、これらを合わせて「詐取等」という。)が発生して、その再発防止対策についても十分でなかったり、詐取等が発生していない福祉事務所においても同様に、事務処理が適正に行われていなかったりしている事態が見受けられた。また、詐取等に係る保護費等について、国庫負担金の精算が速やかに行われていなかったり、厚生労働省において、現業員等による保護費の詐取等について直ちに報告を受ける体制を執っていなかったり、詐取等に係る保護費等が国庫負担の対象とならないよう国庫負担金の精算方法を明確にしていなかったりしている事態が見受けられた。
 したがって、厚生労働省において、精算が速やかに行われていなかった詐取等に係る保護費等について速やかに精算を行うよう事業主体に対して指導して、また、詐取等を防止するため、事業主体における内部統制を十分機能させることなどにより保護費の支給事務等を適正に実施させるとともに、詐取等に係る事案の把握体制や負担金の精算方法等について整備するなどの処置を講ずるよう、厚生労働大臣に対して平成20年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。

2 当局が講じた処置

 本院は、厚生労働本省等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、精算が速やかに行われていなかった詐取等に係る保護費等について速やかに精算を行うよう事業主体に対して指導していた。また、21年3月に都道府県等に対して「現業員等による生活保護費の詐取等の不正防止等について」(厚生労働省社会・援護局保護課長通知)を発して、生活保護費の支給等の事務処理の適正化とその実施状況についての指導監査時における確認、現業員等による詐取等不正事案の速やかな報告及び現業員等の詐取等に係る国庫負担金の適正な精算等について通知していた。
 さらに、21年5月に生活保護費等国庫負担金交付要綱の一部を改正して、詐取等に係る保護費等が国庫負担の対象とならないよう精算方法を明示するなどの処置を講じていた。